その3
2丁目から3丁目に。
2丁目から3丁目に。
ジョージ |
YAHOO知恵袋にね、 「同性愛、両性愛であると自称公言した有名人一覧」 っていうのがあるのよ。 それを見ると、何がおもしろいって、 「俺はゲイじゃなくて、バイセクシャルだよ」 っていうふうに言っている人もいるわけ。 |
つねさん |
カモフラージュで結婚してるんだけど、 それをカモフラージュって言わずに、 「両方好きです」って言う感じ。 |
ジョージ |
「自分の体質じゃなくて、癖(へき)だよ」っていう。 癖と体質って違うからね。 だってね、ピーターが バイセクシュアルって言われてもね。 |
── | あの方は早かったから。時代が違いますよ。 |
ジョージ |
じゃあ、楽しんご。 バイセクシュアルって言われてもって思うわよね。 |
── | たしかに、そう言われても‥‥。 |
ジョージ |
それに「妻子あり」っていう人も重いわ。 |
つねさん |
若い頃、地方都市のゲイバーに行くと、 たいがいみんな結婚してたよ。 家を継がなくちゃいけないとか、仕事上とか、 体裁のためにどうしても。 |
ジョージ |
そう。 |
つねさん |
そういう人、すごく多かった。 新橋系もそう。あそこは、スーツ専で、 サラリーマン同士が多いのね。 だから、年上の人は年下の人と付き合う時、 結婚を勧めたりした。 |
── | お互い所帯を持った上で 付き合いましょうってことですか。 そうか、大手町界隈(お役所や大企業) の人もいるわけですよね。きっと。 結婚していなければ上にいけない世界も、 いまもあるんでしょうね。 |
ジョージ |
結婚をするゲイは、今でもいるよ。 とりあえず一回結婚して、別れりゃ、 「バツイチなんです」って言えるから。 |
つねさん |
でも、ボク、昔付き合ってた人に、 別れて何年かして電話したら、 子どもが出たよ。 |
ジョージ |
それ、辛いよねぇ。 |
つねさん |
全ッ然(笑)! |
ジョージ |
そうなんだ?! |
── | メンタリティが違いますね。 |
ジョージ |
そういえば、私たちのアイドル、 フレディ・マーキュリーも、 自分はバイセクシュアルだって 言いきって死んだのよね。 |
つねさん |
一応、嫁さんいましたから。 |
ジョージ |
そう言われてもねぇ。 |
── | (リストを見て) ミック・ジャガーもバイセクシュアルを 公言しているんですか? |
ジョージ |
うん、そう。 |
ジョージ |
ミック・ジャガーはたぶん気持ちがいいことが 大好きなんだと思う。 |
── | はぁ、なるほど。 ミック・ジャガーあたりなら、 バイセクシュアルと言われても 「そうか、そうなんだろうな」って思えますね。 不思議ですけれど。 |
ジョージ |
思う、思う。 そもそも彼って、ゲイの美意識からはずれてるもん。 |
── | ゲイの美意識といっても、 ジャンルが多様ではありますよね。 お二人とは違う美意識もあるわけえすよね。 「このジャンルの人はまったく関心がなくても、 違うジャンルの人にとっては、 美しいんじゃないですか?」 ってことがあるんじゃないかと。 きっと流行もあるでしょうし。 |
つねさん |
もうまったく外見からはわからない人も、 出てくるんじゃないかなあ。 |
── | もともとこの連載は、 「新宿二丁目のほがらかな人々」なのに、 いまお二人はほとんど行かれないと。 |
ジョージ |
あぁ。壊滅状態だからね‥‥。 |
つねさん |
かつてのような人は、いませんから‥‥。 |
── | この連載が始まったころはまだ新宿2丁目で、 バシバシと「私はこういう系よ」っていうのを見せながら 恋愛が始まったんでしょうけれど、 この10年で大きく変わったのが、 明らかにネットで知り合ってるんだろうなと。 |
つねさん |
ボクたちも、ネットでーす! |
ジョージ |
ネット婚よ! |
── | ネット婚? 流行りじゃないですか、はしりですよ。 |
ジョージ |
超・はしりだよね。 |
つねさん |
15年前だもの。 |
ジョージ |
この世界は早かったのよ。 スペックをペッペッペッペッて入れると、 こういうのがチョローンと出てくるわけよ。 |
── | 「ドラえもん体型求む」みたいなことですか。 |
つねさん |
うっせぇ! |
ジョージ |
でね、そのころからその傾向はあったんだけれど、 じゃあネットで知り合った人たちが 出ていく場所って、2丁目である必要はないの。 出会った後が今、大切なわけよね。 ダーリンと「待ち合わせ、どこにする?」、 あるいは地方からお友達が出てきたりすると 「伊勢丹のメンズ館の前ね」ってなるわけ。 |
── | 2丁目ではなく、3丁目ですね。 |
ジョージ |
うまいこと言うわね。 「連絡通路の下辺りでっ!」ってね。 |
── | それは、一般的な待ち合わせ場所ですよね。 3丁目。 時代がそういうふうに、ズッと動いたんですよ。 |
ジョージ |
でも「新宿2丁目的」っていうのはあったのよね。 |
つねさん |
それに、たまにね、 「行こうか」みたいなノリで 行ってたよね、まだ。 |
── | 飲みに? |
つねさん |
飲みに。 |
ジョージ |
たとえば、新橋のゲイバーっていうのは、 サラリーマンが好きな人が集まるわけさ。 だから、どこ行っても同じ人がいるのよ。 |
── | え? お客さんが、回遊してる? |
ジョージ |
そう、お客さんが回遊してるの。 |
つねさん |
新橋っていう中で飲み歩くから。 |
ジョージ |
横浜の野毛もそうだし、 上野もそうだし、浅草もそうだし。 |
── | コミュニティが小っちゃい。 |
ジョージ |
でも、新宿っていうのは、 1つのビルの中に10軒バーが入ってるとすると、 若い子だけのバー、若い子とおじさんが集まるバー、 おじさんたちだけ、スポーツマン系とかって、 もう全部、ドアの向こう側、景色が違うのよね。 |
── | 例えが悪いかもしれないですけど、 博多の中洲の風俗ビルみたいな感じなんですね。 |
ジョージ |
そんな感じよ。知らないんだけど! それがたぶん2丁目的な世界。 今も残っているところは、 わりとそれに近いかもしれないね。 |
(話題はどんどんディープに。つづきまっす!) | |
2015-01-01-THU |