| ノリスケ |
玉の輿ってゴージャスかしら？
|
| ツネさん |
玉の輿はゴージャスって言わないんじゃない？
|
| ジョージ |
玉の輿はゴージャスよぉ！
だってゴージャスって言葉は
男より女にふさわしい言葉であって、
男はゴージャスじゃなくたって
権力があればいいわけでしょ？
でも、女の権力はゴージャスなんだから。
だから、女こそゴージャスなのよ。
で、男の中で唯一「ゴージャス」という
言葉を使うのを許されているのが、
おとこおんななのよ（笑）。
（一同爆笑）
|
| ツネさん |
美輪明宏さんとか？
|
| ジョージ |
だってぇ、ゴージャスな政治家って
ナンセンスでしょ？
|
| ノリスケ |
ナンセンス！
|
| ジョージ |
あと、権力関係で言うと、
ゴージャスな経営者っていうのもヘンね。
ゲイバーの経営者はゴージャスだけどね（笑）。
でも、ゴージャスな人妻とか、
ゴージャスな未亡人っていうのは
あり得るわけだから。
|
| ツネさん |
そうねえ。
偽ゴージャスな未亡人っていうのもいるけどね。
|
| ジョージ |
ああ、デビとかってこと？（笑）
|
| ノリスケ |
でも今回は、あなた（ジョージ）が
ほんとのゴージャスよ。
自腹でファーストで行くんだから。
|
| ジョージ |
しかも、“掛ける２”でね。
|
| ノリスケ |
だから、ゴージャス道を究めないと。
|
| ツネさん |
究める、ねえ・・・
でもたとえば、ワタシ、ジョージと一緒に
いるときだけ、ゴージャスができるわけじゃない。
でも単体になったら・・・・
|
| ノリスケ |
つかの間の夢ってことね。
|
| ツネさん |
まぼろし（笑）。
|
| ノリスケ |
でも、好きでしょ？ ゴージャスは。
ぜいたく好きでしょ。
|
| ツネさん |
うん。ぜいたくは好きだけど、
でも、別にぜいたくをしたいとか、するために
何か努力するってことはないし・・・
|
| ノリスケ |
やぁねえ、努力しちゃうアタシより、
努力しないあんたのほうが
ゴージャスってどういうことよ！
|
| ジョージ |
ゴージャスなムードが好きってことでしょ？
|
| ノリスケ |
どういうことよ、
“ゴージャスなムード”って（笑）。
|
| ジョージ |
“ゴージャスなムード”っていうと、
まずは人を掻き分けることよ。
人を掻き分けて前に出る。
人を踏みつけて上に立つ（笑）。
|
| ノリスケ |
“女王様”みたい（笑）。
|
| ジョージ |
「ワタシをご覧」。
|
| ノリスケ |
たとえば、ジョージさんがいま同じ収入があったとして
家庭があったらその生活できる？
|
| ジョージ |
ぜぇったいに、できない！
だって、いまぼくは自分の収入を
120％自分のために使っているけど、
そんなの子供なんかいたら、できっこないのよ。
経済的に余裕がないどうこうっていうより、
精神的に余裕がなくなっちゃうでしょ。
|
| ノリスケ |
うん、お金あってもね。
|
| ジョージ |
そう。たとえば1000万円というお金の中で
100万円、計画的に無駄に使えるっていう
生活よりも、
計画そのものを必要としない1000万円があるのよ。
|
| ノリスケ |
なぜそんなに可処分所得が多いの？
ジョージさんは経営者なの？
経営者一族？
|
| ジョージ |
そうよん。
|
| ノリスケ |
でもワタシたちの場合、
あなたのようにお金持ちの
経営者でなくたって、可処分所得は多いわよね。
つまりサラリーマンが20万円のお給料だとしても、
ゲイで家庭を持たないつもりでいる人は
やっぱり可処分所得が多いのよ。
|
| ツネさん |
給料が20万だったとしたら
全部か、それ以上、ぜんぶ自分のために
使えるもんね。
|
| ノリスケ |
何にだったらお金使える？
今回は旅行でしょ？
|
| ジョージ |
おいしいものっ、
きれいなおべべっ、
楽しい時間！
|
| ノリスケ |
“楽しい時間”って具体的にどういう時間？
ゴージャスに過ごす楽しい時間？
旅行は、まあ、そうよねえ。
ファーストクラスに乗って、
ちゃんとしたホテルに泊って
ちゃんとした劇場でお芝居見て、
ちゃんとしたものを食べるのね。
|
| ジョージ |
しかも、一切おみやげを買う必要のない旅！
|
| ノリスケ |
あら？ ぼくのは？（笑）
|
| ジョージ |
隣り近所よ。あと親戚一同。だからねー、
新婚旅行でファーストクラスでハワイに行って、
ハレクラニのスイートに泊ったところで、
マカデミアナッツを２ダース買わなきゃ
いけない旅行は
ゴージャスないのよっ（笑）。
|
| ノリスケ |
いやよね、そんなの。とんでもないわ。
ねえ、映画も指定席でしょ。
|
| ジョージ |
あたりまえよ。
|
| ツネさん |
でも混んでると思って入ってみたら、
ガラガラで別に指定席をとる必要もなかった、
ってこともあるわよね。
|
| ジョージ |
それゴージャスじゃないわよねー。
でも、あれよ、封切り直後の映画で
みんな並ばないと入れないところで、
予告編が終ったあたりから、
懐中電灯に照らされながら
入っていく二人っていうのはゴージャスじゃない？
たとえ、その相手がデブの男でも（笑）。
ねえ？
|
| ツネさん |
そうよ、“プチ・ゴージャス”ね。
|
| ジョージ |
でも、ゴージャスねー、むずかしいわぁ。
ゲイってゴージャスなのかなぁ？
|
| ノリスケ |
みんなじゃないと思うけどね。
でもゴージャス好きよね、おしなべて。
|
| ツネさん |
好きだけど、したくてもできないからって
ゴージャスを装ってる人いるよね。分不相応に。
そういうのはどうかと思うわ。
なんか、すごい大盤振る舞いで、
いいもの着てるのに、
家帰ってみれば、それこそ
みかん箱で生活してるような人。
|
| ジョージ |
僕、おぼっちゃま学校だったのよ。
某六大学のＫ大学。
この大学にはものすごくヒエラルキーがあって
受験勉強も一切せず、下（附属）から
ダーッと上がってきて、自宅から通っていて
しかもお父様、おじい様も
この大学の卒業生という人たちが
一番上にいるの。
その下には受験勉強もしてきて
自宅通学でお父様はお金持ちで、
お庭に犬がいる人たち。
で、その次に地方から出てきて
お父様は地方でお金持ちで、
ワンルームじゃない駐車場つきの
マンションに住んでいて
自家用車を買ってもらってる人たち。
プラス、地方から真面目に勉強して出てきて、
ふつうのところに下宿している人たち。
その４クラスでできてるの。
これは、まさしく若いときに放り出された
可処分所得の違いなわけよ。
可処分所得の違い、プラスお金で買えない
環境の違いというのがあって、
それが、掛ける掛ける掛けるで、
ものすごく細分化されてて、
じゃあどこが一番ゴージャスかというと、
わからないのよ。
おじいさんやお父さんの時代から
この学校に来ている人たちっていうのは、
けっこう質素で生活がゴージャスで
なかったりするの。
で、一番ゴージャスなのは、
地方から出てきて、
親にマンション買ってもらってる人たちで、
あの当時で麻布の上の……
|
| ノリスケ |
広尾？
|
| ジョージ |
そうそう、広尾にマンション買ってもらってる
ヤツいっぱいいたからね。
そういうヤツらって
すごく生活がゴージャスなのよ。
湯水のように金を使ってね。
そうやって考えたときに、
意識してはじめてゴージャスになるのかな、
って気はするよね。
じいさんの時代からいい生活をしてる人たちって
無意識にやってるから、
自覚がないから、表面的には
ゴージャスじゃないのよ。
|
| ノリスケ |
下からＫ大でほんとにお金持ちの子って
極力お金持ちってことがわからないように、
すごくつつましくて、
しかもボランティアとかに出たりするんだって。
過剰なまでにふつうの人に
なろうとしてるんだって。
|
| ジョージ |
なれやしないのにねぇ。
ツネさんはゴージャスなの？
|
| ツネさん |
うーん。買いたいもの買えないから
ゴージャスじゃない。
|
| ジョージ |
ぼくも買いたいもの買えないもーん。
|
| ノリスケ |
うそばっかり！
買いたいものが高すぎるだけでしょ。
|
| ツネさん |
いまはあれ？ 液晶大画面テレビ？
|
| ジョージ |
あんなのすぐ買えるわよ。
|
| ツネさん |
じゃあ、何が買えないのよ。
|
| ジョージ |
この前、会社買おうと思ったけど、
高すぎて買えなかった。
|
| ノリスケ |
…………。会社。
でも、あれよねえ、“ゴージャス”ってさ、
お金があることだっていう前提で
今話をしているけど、
そうとばかりも言えないんじゃないの？
まあ、お金のことは、そうなんだけど。
|
| ジョージ |
ゴージャスって言葉そのものに
魔物が棲んでいるのよ。
“ゴージャス”は英語なわけじゃない。
それを日本語に訳したらどうなるのかって言ったら
２通りあると思うのね。
ひとつは「豪華」、
もうひとつは「ぜいたく」っていう
訳し方があると思うの。
|
| ノリスケ |
両方あわせて「豪奢」っていうのもあるわね。
|
| ジョージ |
そうね。
で、ゴージャスということが
豪華・ぜいたくのどちらかで言い切れるかって
言うと表裏一体だと思うの。
たとえば、「豪華」という言葉の中には
「高価」という言葉が相当色濃く含まれていて、
じゃあ、値段が高ければゴージャスかって言えば、
値段が高くてもゴージャスじゃないものって
世の中いっぱいあるのね。
たとえば、紅白歌合戦の小林幸子と
美川憲一の衣装は
豪華だけどゴージャスじゃないでしょう。
で、安いんだけどゴージャスと言えるものも
世の中にはあるのよね、きっと。
たとえば、叶・姉の胸とかっていうのは、
あれは値段がつかないほど、安いんだけど、
ゴージャスな物体よね。
そこがひとつでしょ。
「ぜいたく」っていうのは、
これまた不思議な言葉で、
「ぜいたく」っていうと、
なにかマイナスなイメージがあるでしょ？
|
| ノリスケ |
ぼくは「ぜいたく」大好きよぉ。
でもたしかに、ちょっと悪びれちゃうかな。
|
| ジョージ |
たとえば、ポケットの中に1000円しか
ないとするわよね。
無けなしの金をはたけば、
1000円でもって、フレンチの店の
安いランチなら食べられる。
でもそれを食べないでいて、
いちばんいい揖保乃糸と
「吉兆しぼりだしつゆ」を使って
いいお水でうがいて食べる
ぜいたくさもあるわよね。
で、食べながら、
「1000円しかなかったのに、
こんなぜいたくをして」
っていう「ぜいたく」という言葉の裏側には
「バカなことをして・・・」
っていう必ずネガティブなものが
あるわけじゃない？
でも、「ゴージャス」の中には
ネガティブなものはないのよ。
そうすると、「豪華」のすごく積極的で
前向きな部分と
「ぜいたく」の後ろ向きをどけた部分。
これを足して、「ゴージャス」。
|
| ツネさん |
うーん、なんかすごく納得したわ〜。
|
| ノリスケ |
納得した！
|
| ジョージ |
でも、日本にはゴージャス少ないよねえ。
|
| ノリスケ |
少ないねー。
ゴージャスだと思う人っている？
みんながわかる例で。
|
| ジョージ |
ゴージャスね。
|
| ツネさん |
でもゴージャスな人ってむずかしいよ。
ゴージャスに見えてゴージャスじゃない人は
いっぱいいるけどね。
秋元康ってゴージャスかなー。
|
| ノリスケ |
（爆笑）違うわよー。
なんでその人が出てくるのよーっ？
|
| ツネさん |
かわいいじゃない！ それにお金持ち。
|
| ノリスケ |
金はあってもゴージャスじゃない人っているのよ。
まあ、秋元康のライフスタイルは知らないけどさ。
|
| ツネさん |
中身も大切だけど、
容れ物が大切ってことかしら。
|
| ノリスケ |
じゃあ、林真理子もゴージャスじゃないわ（笑）。
|
| ジョージ |
女優のＩＰ子もゴージャスじゃないもんね。
ＩＰ子のハワイシャネル物語ってすごいもん。
|
| ノリスケ |
（笑）何それ？
|
| ジョージ |
僕がハワイのアラモアナショッピングセンターに
たまたまいたときに、
僕の秘書がシャネルで買い物したいっていうんで
一緒に行ったのね。お店にはすでに
日本人の女の子が５人くらいダーっといたのよ。
そしたらねえ、ＩＰ子が入り口のところにきて、怒鳴ったの。
「あんたたち出て行きなさいっ。
ここにあるシャネルは
あんたたちの物じゃないの。
ワタシが全部買うのっ」
って言って、店員さんに、
「並べなさーいっ、ここに」
ってダーっと並べさせて全部買い占めて行ったの。
それってゴージャスじゃないでしょう？
|
| ノリスケ |
ゴージャスじゃないわねえ！ ぷんぷん。
|
| ツネさん |
そういうの「貧乏くさい」っていうのよ。
お金はあってもね。
|
| ジョージ |
そうなのよ、貧乏くさいのよね。
もしも芸能界にゴージャスがあったとしたら、
それは日本の大昔の映画女優の人たちよ。
世間知らずで、
いったい自分がいくら持っているのか知らないで、
欲しいものを次から次へと手に入れていくような
生活をした人。
|
| ツネさん |
岩下志麻とか？
|
| ノリスケ |
いや、もっと前でしょ。
|
| ジョージ |
小林旭の話、したことあったっけ？
『エクスカリバー』って車があるんだけど、
クラシックカーで、オープントップで、
いま買おうとしたら、
それこそ１台５、６千万するようなヤツなのよ。
小林旭がその車に自分で運転して
ダーっと乗ってくるの。
そんで、ホテルの前まできて降りるの。
で、降りるときに、ステップに足を置くわけね。
それが、ステップに足を置いた瞬間に
「ギターを抱いた渡り鳥」が
オルゴールでかかるのよ！
|
| ノリスケ |
キャー、かっこいいぃ！！
|
| ジョージ |
そんで皮ジャンびしっと羽織って
靴はウエスタンブーツの「トニー・ラマ」で、
そんでウエスタンブーツには
純金がついてたりしてたのよぉ！！
|
| ノリスケ |
もう、どうにかなっちゃってるくらい、
ゴージャスね。
|
| ジョージ |
無防備にゴージャスよねえ。
|
| ノリスケ |
でもかっこいい！
|
| ジョージ |
かっこいいよー。
だって「ギターを抱いた渡り鳥」そのものよぉ！？
そんな車って、もし小林旭が貧乏になって
売りたいって言っても
絶対誰も買ってくれないわけじゃない？
買ってくれたとしても、オプションつけたら
億になるかもしれないのが、
２束３文の１千万とかになっちゃうのよ。
だけど、それを平気で所有しちゃう
センスっていうのはゴージャスよ！
|
| ノリスケ |
かっこいい〜〜。
|
| ジョージ |
ねぇ。
で、彼を見ながら、
山城新伍や松方弘樹は真似しようとするんだけど、
やっぱりゴージャスには成り切れないわけよ。
|
| ノリスケ |
小林旭までが、日本の映画スターの
ゴージャスなのね。
じゃあ、日本にもうゴージャスは
いないのかも……。
|
| ジョージ |
小林旭と美空ひばりって
日本で一番ゴージャスな夫婦だったのよねえ。
|
| ノリスケ |
そうかも。
|
| ジョージ |
美空ひばりは、「HANAE MORI」の中に
“美空ひばり係”がいたのよ。
|
| ツネさん |
へえ、そうなんだー。
|
| ジョージ |
彼は、彼が考える最もセンスのよいデザインと
舞台映えするデザインと、
派手で仕方がないっていうデザインを
ひばりのところに持って行くの。
そうすると、ひばりは必ずその中から
派手で仕方がないデザインを指差して、
「これはいくらくらいでできるの？」
って聞くの。
「300万円くらいです」
「バカねー、ワタシからは、
500万ふんだくるものよ。
あと200万円分豪華にしてちょうだい」
って言われるの！
|
| ノリスケ |
しびれるう！
|
| ジョージ |
そんでデザイナーさんは、
「すみません。会社として責任が持てるのは
300万までです。もし200万余分になったら、
うちがデザインしましたって
言えなくなるんです。
ブランド名は入りませんが、
それでもよろしいですか？」
って言ったら、
「何言ってんの。ワタシが着たってことが
一番のブランドよ」
って言って衣装を発注したんですって。
|
| ノリスケ |
その衣装だって、どうせ１回くらいしか
着ないんでしょ？
|
| ジョージ |
でしょうねえ。京都に行くと
太秦の「美空ひばり記念館」の上の方に
飾られてるわよ。
そんで、日本中のゴージャスに憧れて、
ゴージャスになりきれないババアたちが
「キャー」とか言うのよ。
|
| ノリスケ |
拝みに行くのね。
ねえ、裕次郎もゴージャス？
|
| ジョージ |
あの人の場合、物とかじゃないゴージャスさが
あったんだろうねえ。小説家の兄を持ち、
「日本一足の長い男」と言われ、
まだ社会的責任を持つことが
かっこいいと言われている時代に、
不良であることのかっこよさ！
だから、生き方がゴージャスだったのよね。
|
