ジョージ |
ねえ、今日、ラジオ聞いてたら、もう今、
プレゼント一色なのよね、世間はね。
で、今まで心に残るプレゼントの例を
挙げて下さい、とかやってるのね。
そしたらね、
「いつも頑張ってるわたしに、プレゼント」
これがいちばん多かったの!
どう思う? |
ノリスケ |
僕はよく自分にお買い物するけど、
プレゼントなんて思ってないもの。
買いたいもの買うだけ。
うちは、二人暮らしなんだけど、
体形が似てるので、
彼にあげたものは、自分のものになるの。 |
つねさん |
ああーた、そうよね。
二人ともデブよね。 |
ジョージ |
うちはぜーんぜん使い回しがきかないのよね。 |
つねさん |
ごめんなさい、もうちょっと痩せます……。 |
ジョージ |
それにしてもプレゼント……やなことば! |
ノリスケ |
ええっ? プレゼント、好きじゃないの?
僕はてっきりね、ジョージさんは、
プレゼントが好きなのかと思ってた。 |
ジョージ |
嫌い! |
ノリスケ |
それは、意外だった。 |
ジョージ |
プレゼント嫌い、おみやげ嫌い。
もの貰うの嫌い。なんか。 |
ノリスケ |
でも、ものあげるの、好きでしょう? |
ジョージ |
あげるんじゃなくて、くれてやるのが好きっ! |
つねさん |
ボク、くれてもらってるのね? |
ジョージ |
そそそそ。 |
ノリスケ |
つねさんは、貰うの好きでしょ? |
つねさん |
あ、僕、好きっていうか、ぜんぜん…… |
ジョージ |
この人はそういうのが当然なんだって!
貰って当ぉー然っ。 |
ノリスケ |
姫なのねぇ。 |
つねさん |
だって気持ちがありがたいじゃない。
「気にかけてくれてるのねっ」
って思うじゃない? |
ノリスケ |
そうなのよね。
予期せぬ、ってことが嬉しくて、
「誕生日だから」なんてやられると、
ぼく、困っちゃう。
そんなお義理だったら
べつに、いいよー、とかって、
思っちゃうんだけど。 |
ジョージ |
これあげると、よろこぶだろうなー、
とかって、考えてるのは好きだよ。
でも毎年やってくる誕生日に、
なにかをあげなきゃいけないの、
すごいめんどくさいよね。 |
ノリスケ |
じゃあ自分たちだけの記念日は好き? |
つねさん |
好き!
たとえば、出会った日、とか、
旅行へ行ったから、それが記念日、
みたいなの、あるもんね。 |
ジョージ |
イベント好きなのよね。なんでかな?
自分たちで盛り上げないと、
誰も盛り上げないみたいなとこ、あるもんね。
そう考えると、僕たちって
独身OLといっしょだよ。
独身OLって記念日好きだもん。
んで、プレゼントする相手がいないから、
いつも頑張った自分にプレゼントしちゃうわけよ。 |
つねさん |
がんばった私に指輪を! って。 |
ジョージ |
そうそう。まだね、形になって残るものを、
私にプレゼントだといいんだけどー、
いちばんタチの悪いのは、
なんか、これから、素敵になりたい自分のために、
英会話スクールを贈っちゃうー、とかって。
自己投資って言葉を知らないの? |
つねさん |
自己陶酔よね。しかも。 |
ジョージ |
あらっ、じょーず。
今の、ちょっと上手だったかも。
あなた、こういう庶民ネタには強いのね。 |
ノリスケ |
ねえねえ、そのおそろいの指輪はどうしたの?
どういう意味あいなのっ? |
ジョージ |
い・き・お・い。
指輪なんてのは、プレゼントじゃないのよ、
ぜったい。 |
ノリスケ |
何なの? じゃあ。 |
ジョージ |
だから、いきおい。 |
ノリスケ |
ぜんぶ? すべからく? |
ジョージ |
そ。ぜったい、いきおい。
テン・スイーツ・ダイアモンドって、何なの?
あれは、いったい。 |
ノリスケ |
あれは、お店がダイヤ売りたいから、
そう仕掛けてるだけでしょ。
ダイアモンドの売り上げが悪いから
イベントを考えてあげたわけでしょ? |
ジョージ |
でしょ? ばかばかしいじゃない。
テン・スイーツ・真珠とかって、
素敵なのにね。 |
つねさん |
ヌハハ…… |
ノリスケ |
一個づつ、増えてくのよ。 |
ジョージ |
一年に一個つづ入れていくっていう。 |
つねさん |
……嫌かも。 |
ジョージ |
ウハハハハハ(爆笑)。 |
つねさん |
どこに? ってやつ? |
ノリスケ |
そりゃ決まってるでしょう?
人差し指に入れたって、仕方がないんだからさ。 |
つねさん |
ちょっと話題がそれてます!
あのね、僕、指輪ってしたかったよ。 |
ノリスケ |
したかった? 嬉しかった? |
ジョージ |
うん。でもね、でも、たまに入んなくなんの。
むくんで(笑)。ナハハハハハハ! |
ノリスケ |
いつもしてんじゃないの? |
つねさん |
ううんー、してない、してない。
はずすの多いね。 |
ノリスケ |
会うときは…… |
つねさん |
会うときは、するの。 |
ジョージ |
でも、忘れてくるんだよね、こいつ。
すんごいかなりの頻度で。 |
ノリスケ |
そんなの、いつもしてればいいじゃない。 |
ジョージ |
いや、でも、ぼくらの場合、
いつもしてるもんじゃないよね。 |
ノリスケ |
まあね、聞かれると答えるの面倒だもんね。
つねさんは、ジョージさんからもらったもの、
どんなものがあるの? |
つねさん |
今年は、いろんなものもらった。 |
ジョージ |
でもなんか、もう、あんまり
プレゼントって感じじゃないの。
プレゼントっていうのは、
釣る前の餌であって、
釣った後の餌は、
プレゼントじゃないんだよね。
なんか、いつも同じもの着てるから、
見るに見かねて、洋服をあげるとか。 |
ノリスケ |
あ、それは、よく分かる。 |
ジョージ |
こんど旅行に行くのに、
あんた、ろくなカバン持ってないでしょう、
これあげるわっ、みたいな感じで。 |
ノリスケ |
あんたそれでエルメスもらったの!? |
つねさん |
でも、もらうほうは、プレゼントよね、それは。 |
ジョージ |
あ、そっか。
つまりね、プレゼントに必要なのは、
“思いがけなさ”だと思うんだよね。 |
ノリスケ |
♪突然の贈り物(歌う)ねー。 |
ジョージ |
思いがけなくないものは、
みんなプレゼントじゃないのよ。
たとえば、思いがけなくくれるものは、
トイレット・ペーパーワンロールでも、
プレゼントだろうと思うんだけど、
あんたんち、トイレット・ペーパー
なくなってるよ、って持ってきてくれる
トイレット・ペーパーは、
プレゼントじゃない(笑)。 |
ノリスケ |
こないだね、びっくりしたコピーが、
デパートのクリスマスのコピー。
「そうか、クリスマスの準備って、
恋をすることだったんだ」
って、書いてあったのよ。
どうかと思うわ、そういうの。 |
ジョージ |
それは、そのコピー考えた人の、
アイデンティティーまで根ざす、
深い問題よね。 |
つねさん |
でも、多いよね、そういうことする
ゲイの人は。 |
つねさん |
年末に向けて恋人をつくる、とかさ。 |
ジョージ |
年末年始は首くくりそうになっちゃうから。 |
ノリスケ |
淋しいから。 |
つねさん |
そっか。
そういう寂しい年末年始おくったことないから、
わかんないー。 |
ジョージ |
それって、貰う一方だっていう、
自慢話をしてんの? |
ノリスケ |
で、その指輪は、どこのなの?
僕、よくわかんないんだけど。 |
ジョージ |
カルチエです。 |
ノリスケ |
そのブレスレットも? |
ジョージ |
ラブ・リング。一緒でーす。 |
ノリスケ |
そういうふうに聞くとさ、
やっぱり「いきおい」っていうよりは、
プレゼントって感じがするけどなぁ。 |
ジョージ |
プレゼントじゃないっ。 |
ノリスケ |
でも、買ってもらったんでしょ? ちがうの? |
ジョージ |
だから、半分出すから、買おう、って。 |
ノリスケ |
ああ、じゃあ、プレゼントじゃないかも。
ねえ、じゃ、今まで、
プレゼントだと思って、したものっての、ある?
今までの、人生の中で。
誰でもいいけども。 |
ジョージ |
プレゼントねぇ。
……クリスマスの日に、素っ裸で、
蝶ネクタイひとつで、ベットの中っていうの、
あったわ。 |
ノリスケ |
若気の至り? |
つねさん |
そう! |
ジョージ |
相手は外国の人だったんだけど、
それ見て、彼なんて言ったと思う?
上手な日本語で「はいはい……」って
冷たく言ったのよー。 |
つねさん |
それは、ウケねらいじゃなかったの? |
ジョージ |
真剣だったのよっ!! |
ノリスケ |
いくつのとき? |
ジョージ |
24かなー?
まだ、そんときには、僕の中には、
ロマンスがあったんだよ。 |
ノリスケ |
今は、ないの? |
ジョージ |
今はね、ロマンに変わったの(笑)。
しかも、あの、浪漫ってやつ? |
つねさん |
ゴーマンに近いわっ。 |
ノリスケ |
あなたも、歳をとったのね……。 |
ジョージ |
そう、歳をとったのよねえ……。
逆もあるのよ。
むかし、僕の誕生日にね、当時の彼が
シュークリーム焼いて届けてあげる、って。
で、誕生日に待ってました。
でも7時に来るっていって、
8時になっても来ないの。
9時近くになって、なんか、泣きながら、
シュークリームが、よく焼けなかったのー、
って、来たのね。
見たら、カスタードクリームは
すごくよくできてるんだけど、
パフが膨らんでないの。
あー、いーよいーよ、ってっていったら、
ごめんなさい、お詫びにーっ、って、
いきなり僕の体の上に…… |
つねさん |
あん、素敵っ。 |
ノリスケ |
ステキ? それが、お詫びになるの? |
ジョージ |
そんときちょっと嬉しかったけど、
でも、なんかなー、って。
感動はしなかった。
せっかく買ってきたプレゼントも、
ものすごいタイミングが悪かったり、
ばつが悪かったり、
あるいは、シチュエーションがものすごく
悪くなったりとかっていうこともあるのよね。
|