ノリスケ |
こういう旅行者になりたいな。
って思って空港で見てると、
その人はだいたい、
いいスーツ・ケースを持ってる。
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つねさん |
ふーん。
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ノリスケ |
格好いい。
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ジョージ |
旅慣れた、スーツ・ケース。
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ノリスケ |
リモワって、なんか、構わない、
って感じがするんだよね。
乱暴に扱っても、いんだよね。
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ジョージ |
あのー、付いていく傷を、
楽しむことができる、っていうのかな?
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ノリスケ |
そう。あれ、ずっと、僕のリモワも、
ボロボロだけど、買い換えた方がいいのか、
あのまんま使うべきか、
とても悩んでるんですけど。
ちゃんと閉まらないくらいボコボコで。
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つねさん |
あれはー、あれ、味があるよ、すごく。
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ジョージ |
あれはね、買い換えちゃダメだよ。
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ノリスケ |
ダメか、やっぱり。
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ジョージ |
古いのを、持ったまんまで、
新しいのを買うのよ。
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つねさん |
あー。
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ジョージ |
で、新しいのを、
いつでもこれが使えるから、
って安心しながら、
古いのをずっと、使い続けるの。
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ノリスケ |
粋ね。
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ジョージ |
そうすると、永遠に新しいのは、
使わなくて済む。
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ノリスケ |
衣裳ケースにするの?
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ジョージ |
そうだよ。そういうもんだよ。
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つねさん |
賢いね。賢いけど。ハハッ。
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ノリスケ |
それ聞いて、ちょっと、ふんぎりついた。
新品のリモワを使う旅行は、
なんだか、したくないの。
生意気だわ僕。
でも、新しいのも、欲しいの。
でも、それを使いたくはないの。矛盾!
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ジョージ |
でしょう?
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ノリスケ |
すごい欲しいんだ、実は、新しいの。
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ジョージ |
じゃあ、ま、買って下さい。
ただ、んとー、新しいのを買っても、
古いのを使いたくなる。
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ノリスケ |
なるだろうね。
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ジョージ |
で、そういうスーツ・ケースを
買わなきゃダメ。
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つねさん |
愛着だよね。
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ジョージ |
エア・ラインのチェック・インの
カウンターの前で、
ハートマン・ラゲッジみたいなの、
あるじゃない? いわゆる、
アメリカのビジネス・マンが
大好きで仕方がないカバン。
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ノリスケ |
はいはい。
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ジョージ |
で、ああいうのを見ていると、
なんか、この人は、
仕事として旅をする人であって、
旅を楽しんでないのかな?
って思うんだよね。ほで、ちょっとね、
ちょっと、そういう社会から転がり落ちて、
もしかしたら、旅を楽しむ人なのかもしれないな。
でも、仕事が優先なんだろうな。
と思う人が持ってるのが、テュミ(TUMI)なんだよ。
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ノリスケ |
テュミねー。最近、日本でも。
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ジョージ |
そう。この人も、いちばん最初は、
テュミだったんです。
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つねさん |
はい。
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ノリスケ |
テュミは、いいと思うよ。
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ジョージ |
うん。
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つねさん |
その前、サムソナイトだったんだよ(笑)。
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ジョージ |
で、リモアとグローブ・トロッターは、
この人は、旅をするのが
仕事かもしれないけれども、
仕事以上に旅を楽しむことが
できる人なんだろうな。
って感じさせるよね。
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ノリスケ |
なんで、僕たち、旅が好きなんだろう?
旅好き、って、いっこ、何か、あるよね。
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ジョージ |
僕はね、30ちょっと過ぎの時ときにね、
自分はどういう人になりたいんだろう?
って、一生懸命、考えたの。
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ノリスケ |
うん、うん。
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ジョージ |
で、そんときに、家族も持たなければ、
子供も作らないわけでしょう?
そうすると、地面の上に根っこを生やす生活は、
一生しないんだろうな。と思ったのね。
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ノリスケ |
うん。
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ジョージ |
で、永遠に旅人のような自分、ていうのを、
大切にしたいな。と思ったの。そのころ。
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ノリスケ |
うん!
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ジョージ |
で、ただ、旅人も、ある一ヶ所に、
しばらく居着いたりとかするんだよね。
ただ、どゆのかな? 旅人であれば、
家は必要ないわけじゃない?
で、贅沢な家具が必要なわけでなくって、
行く先々に、いい友だちがいて、
んー、最小限のお洋服があって、
美味しいものが食べられて、
お気に入りの物を入れておく、
カバンさえあればいいんだ。
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ノリスケ |
うん、うん。
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ジョージ |
で、そういう生活したいなー。と思ったの。
で、これって、けっこう、
都会のおねえさん(ゲイ)は、
みんなそうじゃないかな?
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ノリスケ |
ぼくは、そうだなー。
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ジョージ |
旅人のような、生活なんだよ。
都会に住む人は、みんな旅人みたいなもんだよ。
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ノリスケ |
今の女の子たちは、
なんで旅が好きなのかな?
可処分所得がある、っていうのは、
ありうると思うけど・・・
男の子は、好きじゃないよね。
働き始めた男の子は、旅をしないよね。
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ジョージ |
働き始めた男の子たちが、
いちばん最初に買うのは、車だから。
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つねさん |
あー、あそっかー。
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ノリスケ |
車は、すべてだもの。
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つねさん |
その次、買うのが、家か。マンションか。
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ジョージ |
そうなんだよ。で、どっちも、女のためだもん。
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つねさん |
そーか。
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ジョージ |
で、男っていうのは、女のために生きてるから、
女といっしょじゃない旅行って、
お金払えないよね。
で、女といっしょの旅行の、
いちばん最初は、新婚旅行で、
女にバカにされるの。
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つねさん |
されてたよー。
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ノリスケ |
あんた、なんで、こんなの知らないの? って。
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つねさん |
カリブに仕事で行ったときに、
ジャマイカの空港で、
ジャマイカの入国、えーと、
ディスエンバーケーション・カード
(disembarkation card=入国カード)は、
イギリス系の英語なんだよ。
難しいんです。単語が。
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ジョージ |
そうだよね。
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つねさん |
そなんだー。
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ノリスケ |
単語自体が、難しいの。
それで、僕は仕事のために行ってるから
分かってるんだけど、
ちょうど新婚さんの団体、
5組ぐらい、いました。
で、入国審査のところでつまづいてるの。
機内誌でも解説してるんだけど、
それすらも英語です。
英語で英語を説明されても、しょうがないわけ。
マイアミ発モンテゴ・ベイ行きジャマイカ航空。
で、入国審査のところで、固まって、
奥さんだけが固まって、
どうするのっ? こうするのっ? ああするのっ?
で、旦那5人は、あっちーの方で煮え煮え。
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ジョージ |
もう終わりよね。
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ノリスケ |
も、ダメ。
で、僕のところに来て
「教えて下さい!!」って。
僕も完ぺきにわかるわけじゃないんだけど
意地悪して入国させないっていうようなところじゃ
ないからね。書き方を教えてあげて。
そのあと、数日して、オーチョ・リオスの
とってもいいホテルで、会ったの。
その中の一組に。
ジャマイカのいいホテルは、
いまは知らないけど、当時はぜんぶ英語だし、
自分から何かしたい、って言わないと、
向こうから「これします?」って言ってくれない。
アクティビティはいっぱいあるんだけど
参加するのもままならないのね。
それで、ロビーで新婚さん二人が、
むすっとして座ってた。
かわいそうだったなあ、奥さん。
だって僕の顔見たとたん、奥さんが、
「どこに行くんですか!?
私たちも連れってって下さい!」
って、言ったんだよ。
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つねさん |
旦那はどうしようもないね。
それで離婚しちゃうんだよね。
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ジョージ |
それで離婚するの。
で、あるいは、そのあと、ずーっと、
嫁さんは嫁さん友だちだけで
旅行するようになる。
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ノリスケ |
そうなんだろうね。
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ジョージ |
そ。それで男はね、なにくそー。と思って、
一生懸命、頑張るの。頑張ったら、
銀座のクラブのおねえちゃんといっしょに、
海外旅行に行くんだよ。
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つねさん |
台湾とかー、韓国とか。
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ジョージ |
で、バカにされるの、また。
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つねさん |
台湾は、おねえちゃんとは
行かないんじゃない?
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ジョージ |
韓国・・・
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つねさん |
ハワイ・・・
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ジョージ |
バリ島、シンガポール、香港。香港だね。
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つねさん |
あ、香港だね。
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ジョージ |
まず、香港だね。
なんか話題がそれちゃったわ。
旅支度。んー、でも、あれだよ、
預け入れる荷物も大切だけど、
荷物を預けた後の、手持ちのカバンの中に、
何が入っているか、っていうのも、
けっこう大切なんだよね。
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ノリスケ |
大事。機内持ち込み。
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つねさん |
何が必要?
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ジョージ |
マンガは、ダメよ。
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つねさん |
あ、ダメー?
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ノリスケ |
スリッパ。
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つねさん |
スリッパ? スリッパはー、いるよねー。
あれ、靴って、ほんとに、なんか、むくむ。
脚、むくむよね。
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ノリスケ |
あとはね、水、スリッパ、歯ブラシ、目薬・・・
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つねさん |
ずいぶん、色々持ってくね(笑)。
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ノリスケ |
うん。
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ジョージ |
歯ブラシは、くれるよ。
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ノリスケ |
そうだ。
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つねさん |
僕、あれ、持ってこうかな? って。
こないだ買って貰った・・・
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ジョージ |
あー、いいじゃない?
モルトン・ブラウンのトラベル・キット。
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つねさん |
ほんとうに乾燥するんだもん、飛行機の中って。
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ノリスケ |
僕、水だけは確保。
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ジョージ |
あれがいいよ。
シュウ・ウエムラの深層水の
お水のスプレー。
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ノリスケ |
顔に吹きつけるの?
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ジョージ |
うん。
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つねさん |
今井美樹みたいに、
上からジョワジョワじゃ、ダメなのー?
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ノリスケ |
なに? それ。
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ジョージ |
今井美樹って、飛行機に乗ってね、
水平飛行に入ったとたんに、トイレ入ってって、
トイレット・ペーパー、
山のようにちぎってくるんだよ。
で、それを、顔の上に、こやって張って、
で、上から水・・・
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つねさん |
ミネラル・ウォーター。
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ジョージ |
ミネラル・ウォーター、ダーーーッ・・・
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ノリスケ |
かけんの? 濡れちゃうじゃん。
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つねさん |
濡れるの。
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ジョージ |
濡れるから、いんじゃん。
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ノリスケ |
女優魂・・・
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ジョージ |
それで、乾いてくると、
布袋が、水分補給するの。
去年の、10月ぐらいの話です。
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つねさん |
すごいよ。ねー?
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ノリスケ |
格好いい。
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ジョージ |
格好いいでしょう? いけてるよー。
背の高い男と、背の高い女が。
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ノリスケ |
スリッパはいてた?
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ジョージ |
それは見なかったな。
スリッパはね、素敵だよ。
ただ、んーとね、できれば、
上質なルーム・シューズのほうがいいですっ。
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ノリスケ |
そうですね。革?
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ジョージ |
革はね、匂いが付くから、止めた方がいい。
一番いいのは、僕的には、エトロです。
エトロのルーム・シューズ。
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ノリスケ |
エトロなの?
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つねさん |
へー、どんなの?
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ジョージ |
シルクのね、
中国風のスリッパで・・・
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ノリスケ |
へー。
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ジョージ |
かかとのところも付いてるの。
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つねさん |
軽いんだ。
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ジョージ |
軽いよー。ぺっちゃんこになるし。
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つねさん |
ぺちゃんこになるのは、いいね。
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ジョージ |
かかとが付いてる付いてない、
っていうのは、けっこうおっきいよ。
かかとが付いてないと
ほんとにスリッパだけど、
かかとが付いてると、靴なんだよ。
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ノリスケ |
付いてた方がいい。歩けるもんね。
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ジョージ |
そう。特に女の人の場合には、
ストッキング脱げないでしょう?
男は靴下だから脱げばいんだけど、
女の人の場合、
ストッキングのかかとのとこって、
ぶざまなんだよね。
かかととつま先のところを、
隠すか隠さないかっていうの、
すごくおっきい。
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つねさん |
あー。
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ジョージ |
だから、ぜったい、ルーム・シューズ。
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ノリスケ |
ルーム・シューズ、旅先でも使えるからね。
ホテルでね。
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ジョージ |
そ。そうなんだよね。
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つねさん |
お部屋で。
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ジョージ |
そう。で、買うなら、
シルクを買って下さい。
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ノリスケ |
はい。
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つねさん |
軽いから?
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ジョージ |
軽いし、通気性がいいし、汚れて、
最近、水洗いもできるから。
で、シルクっていうのは、
水洗いすればするほど、
密度が詰んでいって、
クテクテになって綺麗になるから、
買って下さい。
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ノリスケ |
エトロが、いんですね?
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ジョージ |
エトロがいいです、僕的には、
お勧めでーす。間違っても、
あの、チャコットに行って、
バレエ・シューズは買わないで欲しい。
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つねさん |
ハハハッ。
|
ジョージ |
シルクでできてますけど、
ちょっと違います。
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ノリスケ |
ハハハハハッ。
|
(つづきます)