ノリスケ |
あなたたちが座っているようなところに
いかにも「慣れてない」男女のカップルが
来ちゃった、と。で?
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つねさん |
男女。二組いたよね?
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ジョージ |
二組いたの。
まず、すぐ後ろにいたひと組はね、
もうね、やりたくて仕方がないの。
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ノリスケ |
ハハハッ。わかっちゃうんだー。やあねえ。
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つねさん |
そう。
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ノリスケ |
つまりさ、「東京いい店やれる店」的に、
パーク・ハイアットのメイン・ダイニングを
使ってる人なわけだ。
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つねさん |
そそそそ。
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ジョージ |
んー、やりたくて仕方がないの。
それでね、たぶんね、思うにね、
ニューヨーク・グリルの予約を、
したんだけど、ニューヨーク・グリル、
予約いっぱいで、
取れなかったんだと思うんだ。
それで、メイン・ダイニングの方に、
やって来て、で、食事、
メイン・ディッシュが出てきて、
終わるか終わらないかのときに、
「ニューヨーク・バーはあいてるか?」
って、ウエイターに聞くの。
で、これはね、食事が終わったときに
聞かなかっただけ、マシかな? と思うけど。
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つねさん |
うん。
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ジョージ |
だけど、完璧を期すならば・・・
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つねさん |
最初に・・・
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ジョージ |
座った瞬間に、聞くか、
あるいは、女がトイレに立った時に・・・
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ノリスケ |
そうよね。
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ジョージ |
「ニューヨーク・バーはあいてるか?」
って聞けばいいのに、
女、目の前にいる時に聞いたもんだから、
「いやっ、聞いてみないと分かりません」
って言われるし、聞いたらば、
「あと30分くらい待たなきゃいけません、
何だったら、ここで待ちますか?」
まで、言われてるわけだ。
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ノリスケ |
うん、うん。気の毒ねえ。
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ジョージ |
最初に、女、知らない時に聞いとけば、
こやって、時計をちょっとずつ見ながら・・・
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ノリスケ |
それで進められたのにね。段取り良くね。
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ジョージ |
お勘定払って、
「上にバーがあるんだけど」って、
行くわけだよ。
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ノリスケ |
そう行けば良かったのにねー。
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ジョージ |
それで、行くとね、並んでるわけよ。
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つねさん |
あー。
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ジョージ |
9時とかだと。
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つねさん |
そだね。うん。
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ジョージ |
女の子が、
「あー、いっぱいだー、並んでるわねー」
とかって言うのを制しながら・・・
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つねさん |
横目でみながら?
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ジョージ |
いや、大丈夫だよ。って。
レセプションのとこ行って、
「誰それだけれども、あるよねぇ?」って。
予約しました、って言わないの。
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つねさん |
あー。
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ジョージ |
「誰それだけれども」
「あっ、二席お取りしております」
って言われたら、
“イヤーン、もしかしてこの人って、
ここで常連なのかしらー?”とか、
“ウワーン、良く知ってるのねー”
とかって、バカッ。て、股が開いたりとか、
するのにねえ。
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ノリスケ |
そーねぇ。
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つねさん |
っていうか、それってジョージさんが
男の子落とすときのテクでしょ。
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ジョージ |
あれ〜? 最近やってないんだー。
なんか、このー1年半ぐらい、
全然そういうのがないんで。
あなたとつきあいはじめてか・ら。
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つねさん |
ハハッ。
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ノリスケ |
ハハハハハッ。
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ジョージ |
で、しかもねー、
メイン・ディッシュもねー、
二人とも半分以上残してたでしょう?
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つねさん |
そうそうそうそう、食べてないの。
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ノリスケ |
失礼しちゃうなー!
けしからん。
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つねさん |
美味しいのになー、って。
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ノリスケ |
美味しいよ!
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つねさん |
美味しい、美味しい。
うち、残んないもんね。
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ジョージ |
そーーーぉ。あのね、確かにね、
食事の場を、前戯として使うのは、
悪いとは思わないけど、
前戯でも、平らげなきゃダメ。ぜーったい。
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つねさん |
スカンピかなんか、頼んでなかった?
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ジョージ |
よっく見てるねー!
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ノリスケ |
男の顔と、食べものは、見てるのね(笑)。
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つねさん |
いちばん最後、残したのがそれだったの。ね?
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ジョージ |
ねー。
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ノリスケ |
山盛り?
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つねさん |
そうそうそう。
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ジョージ |
でもね、その男はね、いいの。
なんか、タイプでも何でもなかったから。
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つねさん |
そう。
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ジョージ |
とっとと消えればよかったわ、
って思ったんだけど。
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つねさん |
ところが、もうひとつ、後ろの方に・・・
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ジョージ |
後ろ側に座ってたのが、男のほうが、
ちょっとかわいかった。
ちょーっとねぇ。どう言えばいいのかなぁ?
おじさまなんだけどね。
あの、普通の、ノンケの・・・
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ジョージ |
フツーの、いいお父さんかも知れない・・・
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つねさん |
そう。
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ジョージ |
ごくふつうの中年のおじさん、
って、いるじゃん?
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ノリスケ |
いる。
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ジョージ |
で、仕事はけっこう、デキるんだよ。
で、会社では、誠実が、売りなの。
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ノリスケ |
ほお。
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ジョージ |
で、誠実が売りで、自分から遊ばないの。
でもね、
一生懸命生きている人には、
逆に女の子の方から・・・
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つねさん |
アプローチして・・・
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ジョージ |
来るんだよね。
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ノリスケ |
そゆのが、あるんだ。
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ジョージ |
そういう感じなんだよ。
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ノリスケ |
いいじゃーん。そういうごほうびがあっても。
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ジョージ |
で、その二人も、そういう感じでね。
でね、何が素敵ってね、
たぶん彼的にはね、ものすごい、
その日は・・・
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つねさん |
お洒落してきて?
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ジョージ |
お出かけモードなの。
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ノリスケ |
あー、頑張って来たんだ。
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ジョージ |
なんだけど、詰めが甘いんだな。
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つねさん |
うん。
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ノリスケ |
どゆところが?
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ジョージ |
まず、ね、Yシャツ。
Yシャツって、袖、つめるじゃない?
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ノリスケ |
うん。
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つねさん |
あー、言ってたね。
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ジョージ |
袖、つめるって、どこつめる?
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ノリスケ |
ごめん、僕、仕立てたことないから。
でも二の腕でしょう。
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ジョージ |
そう、いちばん簡単なつめ方は、
二の腕の真ん中をつまんで、縫うんだよね。
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ノリスケ |
見たことある。
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つねさん |
うん。
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ジョージ |
だけどね、これはね、
若々し過ぎるから、
中年のおじさまは、あんまりしないの。
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ノリスケ |
カジュアルな雰囲気が出ちゃうのね。
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ジョージ |
で、ほんとにつめるときは、
この、袖口、袖の、付け根のとこ。
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ノリスケ |
はい。
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ジョージ |
ここを、つめていく。
だけど、これは高いんだよ。
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ノリスケ |
あー。
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ジョージ |
で、安いとこで、
普通につめてもらうと、
袖の先っぽのところを、
ちょん切って、付け足すの。
ほーすっと、どうなるでしょう?
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ノリスケ |
柄が合わなくなったり、しない?
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ジョージ |
手首のまわりが、
ものすごく広くなってくるんだよ。
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ノリスケ |
あ。そゆことか。
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ジョージ |
でしょ?
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ノリスケ |
はいはい。
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ジョージ |
だからね、とてつもなく、
袖口が、ガバガバのシャツなの。
そゆのがね、またね、愛おしいんだよ。
か〜わいい。
で、そゆのを見てると、
あ〜、このおとっつぁんっていうのは、
下着はたぶん、首がデロンデロンになってる
Tシャツ着てるんだろうし、
パンツといえばブリーフで、
ブリーフの上のゴムが、
デロンデロンになってるのかなー。
なんて想像しちゃうの。
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ノリスケ |
ハハハッ。
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ジョージ |
と思いながら、でも、かわいいなー、
と思って見てました。
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つねさん |
そうそう。
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ジョージ |
見てたんだなー。
見てたけど、そういうのって、
絶対、僕のものにならないわけじゃん。
僕のものにはならない、だけど、
かーわいいおとっつぁん見ると、
なんか、彼の望みを、
成就させてあげたく、ならない?
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ノリスケ |
おおおお〜。
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つねさん |
ジョージがジョージュ、って?
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ノリスケ |
おやじギャグを言うんじゃありません。
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ジョージ |
そう。なんか、
ティンカーベルのようになって、上に・・・
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ノリスケ |
クルクルクルクルッ、て?
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ジョージ |
クルクルクルクルッ。
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つねさん |
パックなのね? 真夏の夜の夢?
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ジョージ |
そっ。ピーッ、っていって、
クルクルクルクルッ、てやりたくなるんだよ。
んで、そういう気持ちになればなるほど、
彼は、やってはいけないことを、いっぱいしたの。
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ノリスケ |
ハハハハハハッ!
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ジョージ |
その日に、もう、ほーんとに、
いっぱいしたの。あ〜〜〜・・・
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ノリスケ |
教えて教えて!
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