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新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

デートのマナー その3
今日は落とすぞ、っていう日はね。

ノリスケ あなたたちが座っているようなところに
いかにも「慣れてない」男女のカップルが
来ちゃった、と。で?
つねさん 男女。二組いたよね?
ジョージ 二組いたの。
まず、すぐ後ろにいたひと組はね、
もうね、やりたくて仕方がないの。
ノリスケ ハハハッ。わかっちゃうんだー。やあねえ。
つねさん そう。
ノリスケ つまりさ、「東京いい店やれる店」的に、
パーク・ハイアットのメイン・ダイニングを
使ってる人なわけだ。
つねさん そそそそ。
ジョージ んー、やりたくて仕方がないの。
それでね、たぶんね、思うにね、
ニューヨーク・グリルの予約を、
したんだけど、ニューヨーク・グリル、
予約いっぱいで、
取れなかったんだと思うんだ。
それで、メイン・ダイニングの方に、
やって来て、で、食事、
メイン・ディッシュが出てきて、
終わるか終わらないかのときに、
「ニューヨーク・バーはあいてるか?」
って、ウエイターに聞くの。
で、これはね、食事が終わったときに
聞かなかっただけ、マシかな? と思うけど。
つねさん うん。
ジョージ だけど、完璧を期すならば・・・
つねさん 最初に・・・
ジョージ 座った瞬間に、聞くか、
あるいは、女がトイレに立った時に・・・
ノリスケ そうよね。
ジョージ 「ニューヨーク・バーはあいてるか?」
って聞けばいいのに、
女、目の前にいる時に聞いたもんだから、
「いやっ、聞いてみないと分かりません」
って言われるし、聞いたらば、
「あと30分くらい待たなきゃいけません、
 何だったら、ここで待ちますか?」
まで、言われてるわけだ。
ノリスケ うん、うん。気の毒ねえ。
ジョージ 最初に、女、知らない時に聞いとけば、
こやって、時計をちょっとずつ見ながら・・・
ノリスケ それで進められたのにね。段取り良くね。
ジョージ お勘定払って、
「上にバーがあるんだけど」って、
行くわけだよ。
ノリスケ そう行けば良かったのにねー。
ジョージ それで、行くとね、並んでるわけよ。
つねさん あー。
ジョージ 9時とかだと。
つねさん そだね。うん。
ジョージ 女の子が、
「あー、いっぱいだー、並んでるわねー」
とかって言うのを制しながら・・・
つねさん 横目でみながら?
ジョージ いや、大丈夫だよ。って。
レセプションのとこ行って、
「誰それだけれども、あるよねぇ?」って。
予約しました、って言わないの。
つねさん あー。
ジョージ 「誰それだけれども」
「あっ、二席お取りしております」
って言われたら、
“イヤーン、もしかしてこの人って、
 ここで常連なのかしらー?”とか、
“ウワーン、良く知ってるのねー”
とかって、バカッ。て、股が開いたりとか、
するのにねえ。
ノリスケ そーねぇ。
つねさん っていうか、それってジョージさんが
男の子落とすときのテクでしょ。
ジョージ あれ〜? 最近やってないんだー。
なんか、このー1年半ぐらい、
全然そういうのがないんで。
あなたとつきあいはじめてか・ら。
つねさん ハハッ。
ノリスケ ハハハハハッ。
ジョージ で、しかもねー、
メイン・ディッシュもねー、
二人とも半分以上残してたでしょう?
つねさん そうそうそうそう、食べてないの。
ノリスケ 失礼しちゃうなー!
けしからん。
つねさん 美味しいのになー、って。
ノリスケ 美味しいよ!
つねさん 美味しい、美味しい。
うち、残んないもんね。
ジョージ そーーーぉ。あのね、確かにね、
食事の場を、前戯として使うのは、
悪いとは思わないけど、
前戯でも、平らげなきゃダメ。ぜーったい。
つねさん スカンピかなんか、頼んでなかった?
ジョージ よっく見てるねー!
ノリスケ 男の顔と、食べものは、見てるのね(笑)。
つねさん いちばん最後、残したのがそれだったの。ね?
ジョージ ねー。
ノリスケ 山盛り?
つねさん そうそうそう。
ジョージ でもね、その男はね、いいの。
なんか、タイプでも何でもなかったから。
つねさん そう。
ジョージ とっとと消えればよかったわ、
って思ったんだけど。
つねさん ところが、もうひとつ、後ろの方に・・・
ジョージ 後ろ側に座ってたのが、男のほうが、
ちょっとかわいかった。
ちょーっとねぇ。どう言えばいいのかなぁ?
おじさまなんだけどね。
あの、普通の、ノンケの・・・
ジョージ フツーの、いいお父さんかも知れない・・・
つねさん そう。
ジョージ ごくふつうの中年のおじさん、
って、いるじゃん?
ノリスケ いる。
ジョージ で、仕事はけっこう、デキるんだよ。
で、会社では、誠実が、売りなの。
ノリスケ ほお。
ジョージ で、誠実が売りで、自分から遊ばないの。
でもね、
一生懸命生きている人には、
逆に女の子の方から・・・
つねさん アプローチして・・・
ジョージ 来るんだよね。
ノリスケ そゆのが、あるんだ。
ジョージ そういう感じなんだよ。
ノリスケ いいじゃーん。そういうごほうびがあっても。
ジョージ で、その二人も、そういう感じでね。
でね、何が素敵ってね、
たぶん彼的にはね、ものすごい、
その日は・・・
つねさん お洒落してきて?
ジョージ お出かけモードなの。
ノリスケ あー、頑張って来たんだ。
ジョージ なんだけど、詰めが甘いんだな。
つねさん うん。
ノリスケ どゆところが?
ジョージ まず、ね、Yシャツ。
Yシャツって、袖、つめるじゃない?
ノリスケ うん。
つねさん あー、言ってたね。
ジョージ 袖、つめるって、どこつめる?
ノリスケ ごめん、僕、仕立てたことないから。
でも二の腕でしょう。
ジョージ そう、いちばん簡単なつめ方は、
二の腕の真ん中をつまんで、縫うんだよね。
ノリスケ 見たことある。
つねさん うん。
ジョージ だけどね、これはね、
若々し過ぎるから、
中年のおじさまは、あんまりしないの。
ノリスケ カジュアルな雰囲気が出ちゃうのね。
ジョージ で、ほんとにつめるときは、
この、袖口、袖の、付け根のとこ。
ノリスケ はい。
ジョージ ここを、つめていく。
だけど、これは高いんだよ。
ノリスケ あー。
ジョージ で、安いとこで、
普通につめてもらうと、
袖の先っぽのところを、
ちょん切って、付け足すの。
ほーすっと、どうなるでしょう?
ノリスケ 柄が合わなくなったり、しない?
ジョージ 手首のまわりが、
ものすごく広くなってくるんだよ。
ノリスケ あ。そゆことか。
ジョージ でしょ?
ノリスケ はいはい。
ジョージ だからね、とてつもなく、
袖口が、ガバガバのシャツなの。
そゆのがね、またね、愛おしいんだよ。
か〜わいい。
で、そゆのを見てると、
あ〜、このおとっつぁんっていうのは、
下着はたぶん、首がデロンデロンになってる
Tシャツ着てるんだろうし、
パンツといえばブリーフで、
ブリーフの上のゴムが、
デロンデロンになってるのかなー。
なんて想像しちゃうの。
ノリスケ ハハハッ。
ジョージ と思いながら、でも、かわいいなー、
と思って見てました。
つねさん そうそう。
ジョージ 見てたんだなー。
見てたけど、そういうのって、
絶対、僕のものにならないわけじゃん。
僕のものにはならない、だけど、
かーわいいおとっつぁん見ると、
なんか、彼の望みを、
成就させてあげたく、ならない?
ノリスケ おおおお〜。
つねさん ジョージがジョージュ、って?
ノリスケ おやじギャグを言うんじゃありません。
ジョージ そう。なんか、
ティンカーベルのようになって、上に・・・
ノリスケ クルクルクルクルッ、て?
ジョージ クルクルクルクルッ。
つねさん パックなのね? 真夏の夜の夢?
ジョージ そっ。ピーッ、っていって、
クルクルクルクルッ、てやりたくなるんだよ。
んで、そういう気持ちになればなるほど、
彼は、やってはいけないことを、いっぱいしたの。
ノリスケ ハハハハハハッ!
ジョージ その日に、もう、ほーんとに、
いっぱいしたの。あ〜〜〜・・・
ノリスケ 教えて教えて!

(つづきます)

2001-05-05-SAT

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