ノリスケ |
もう今日は、デートのマナー教室ですね。
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ジョージ |
マナー、マナーというか、
マナー以前の問題で、
どんなに磨いたマナーでも、
発揮できない場面とか、
発揮しにくい場面を自ら作ったらば、
マナーは台なしになるわけ、ですよね。
でね、ちょーどつねさんと、
それを話してたところに、
そのおとっつあんがいたの。
「やっちゃダメ!」ってことを、
するのよお。
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つねさん |
そう。
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ジョージ |
まず、そういう状況に慣れてない。
すごい、ドキドキしてるのがわかったよ。
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ノリスケ |
うん。
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ジョージ |
タバコを、よく吸うの。
気がついたら、タバコを吸っているの。
で、そのタバコをね、根元まで吸っちゃうの。
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ノリスケ |
ハハハハハハー。
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ジョージ |
ダメだよねー。
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ノリスケ |
ハハハハー。
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ジョージ |
あれ、ダメだよ、慣れてないよ。
んで、ああいうデート、
慣れてないのに限って、
なんか、メイン・ディッシュねー、あのー・・・
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つねさん |
頼んじゃいけないものを・・・
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ジョージ |
そう、頼んじゃいけないものを、
頼んじゃうんだよ?
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ノリスケ |
あのー、難しいものだな、
それは。食べ方が。
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つねさん |
そうそう。たとえば、何だと思う?
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ノリスケ |
たとえばね、甲殻類ですね。
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ジョージ |
おーーーーーーー!
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つねさん |
あー、そうそうそう。
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ノリスケ |
甲殻類は、難しい。
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ジョージ |
一に甲殻類、二にチキンなんだよ。
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ノリスケ |
チキンって、骨付きだ。
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つねさん |
そう。骨付きの。
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ジョージ |
そう。
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つねさん |
そう。
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ノリスケ |
関節で、外さなきゃいけないやつだ。
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ジョージ |
で、あのね、昔の高級なフレンチのお店、
っていうのは、
ぜったい骨付きのものは無かったんだけど、
最近はね、大胆な男の料理が流行ってるから、
けっこう骨付きのチキンとか、出てくるの。
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ノリスケ |
んー。
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ジョージ |
で、地鶏、って
メニューに書いてあるところは、
ぜったいに骨付きで出てくるの。
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つねさん |
うん、確かにそうだよね。
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ノリスケ |
関節で、軟骨食べさせたいんだね。
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ジョージ |
でね、甲殻類の場合は、
ま、カニは別として。
ま、カニなんか出てきたら、
あ、困ったなー、って言いながら、
ニコニコ笑いながら、
ムシャムシャ手で食べればいいわけじゃん?
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ノリスケ |
そうよね。
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ジョージ |
だけど・・・
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ノリスケ |
エビ?
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ジョージ |
ロブスターとかオマールとか、
手で食えないじゃん。
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つねさん |
ハーン。
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ノリスケ |
ナイフとフォーク、
使わなきゃダメだもんねー。
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ジョージ |
そう。あれはね、
2・3カ所、キュッキュッキュッと、
くっついてる部分を外せば、
けっこうプリンと取れるでしょう?
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ノリスケ |
そう。つまり、貝柱と、いっしょだよね?
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ジョージ |
そうそうそう。
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つねさん |
あー。
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ジョージ |
で、取れるんだよ、って。
で、もっと大変なのは、チキンだよ。
で、チキンは、も、色んなところに骨があって・・・
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つねさん |
筋があって。
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ジョージ |
外すのも大変だし。
で、そういう時に、いきなり、
大変だなー、って言いながら、
手づかみで食べたら、恰好いいんだけどねー、
って言ってたら・・・
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つねさん |
言ってたらー・・・そばから。
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ジョージ |
そ、言ってるそばから。
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ノリスケ |
おじさんは。
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つねさん |
おじさんのところには。
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ジョージ |
ロブスターが来たんです!
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ノリスケ |
ハハハハハハ・・・
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つねさん |
そう。笑いたかった、すごーい。
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ジョージ |
もう小声で実況中継よ。
つねさん、見て見て、
ロブスターだよ、ロブスターだよ、って。
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ノリスケ |
頑張っちゃったんだね、
ロブスター、高いしねー。
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ジョージ |
どっちに行くのかなぁーって、
見てたら・・・
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つねさん |
案の定。
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ジョージ |
案の定、おとうさんが取っちゃった、
ロブスター・・・
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ノリスケ |
そこのロブスターって、
わりとさっぱり系?
それとも、ちゃんとソース掛かってる系?
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ジョージ |
わりとね、しっかりとソースが掛かってる。
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ノリスケ |
あー、よけい大変だぁ。
あぶっただけ、とかじゃないんだ。
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ジョージ |
でもね、一生懸命、格闘してたよ、
なんか、なんか、汗かきながら?
バックンバックンやって。
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ノリスケ |
ビョンビョン、とかってなっちゃって?
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ジョージ |
でもね、お皿から飛んでかなかった。
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ノリスケ |
あ、ほんと?
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ジョージ |
偉いなーと思ったんだよ。
偉いなーと思ったんだけど、
爪さんが、付いてたんだね。
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ノリスケ |
ああ。
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ジョージ |
自信がなければ、爪さん、
食べなきゃいいのに・・・
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ノリスケ |
ほっときゃいいのにね。
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つねさん |
あー、でも、やっぱり、
ほら、爪美味しい、っていう、
こう、幻想あるから。美味しんだけどね。
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ジョージ |
口の中に入れたの。
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ノリスケ |
えっ? 爪ごと?
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ジョージ |
ナイフで、ある程度、しっかり崩して入れたの。
で、ニコニコっと笑いながら、
パクパク噛んだ途端に、
ちびまる子ちゃんになったんだよ。
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ノリスケ |
サーーーッ、て? 縦線が入ったんだね。
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ジョージ |
そ、縦線が入ったの。
あーーーっ、どうしたんだろー、って。
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つねさん |
ガリッ、て感じ?
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ノリスケ |
血が出たな。
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ジョージ |
そう。もう、ほんとは音は聞こえなかったけど、
テレビだったら音をかぶせるだろうね、
もう、ホール中に、ガリガリガリって、
響くような音をね。
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ノリスケ |
口、切ったな。痛ーい。
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ジョージ |
で、手を口に持っていったのね。
あの、男が飯を食ってる最中に、
口元に手を持っていく動作っていうのはね、
これ、おねえさん(ゲイ)だよね。
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つねさん |
そうだね。
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ノリスケ |
だね。
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ジョージ |
んで、ぺッ! って。
ぺッ! って、やったの。
殻もいっしょに、口ん中、入れちゃったのね。
可哀想にー。
その様子はつねさんからは見えないから、
見える僕が、小声で、実況中継やってたの。
すごいよ、こうだよ、こうだよ・・・
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つねさん |
あー、見てぇーーーっ。でも、見れないー。
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ジョージ |
んで、僕は、それに続いて、
でもね、でもね、つねさん?
メイン・ディッシュで終わらないんだよ?
マナー教室は。デザートでも、
ぜーったい取っちゃいけないものが、あるの。
何だと思う?
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(つづきます)