ジョージ |
今日はエッチで決めよう、
というときに、行くべき食事処は
二ヶ所だけです。
ひとつは、男が寛げる、
ラーメン屋だとか、焼鳥屋だとか。
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ノリスケ |
あ、はいはいはい。
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つねさん |
焼き肉とか。
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ジョージ |
で、女の子的には、
も、そこから、一分一秒でも早くに、
立ち去りたい。だけど、旨いの。
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つねさん |
はあ、はあ、はあ。
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ノリスケ |
なるほどね。
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ジョージ |
もう一ヶ所は、
ものすごくゴージャスなんだけれども、
ものすごく、居心地が悪いんだよ。
緊張を強いられるの。寛げない。
オナラひとつできないんだよ。
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ノリスケ |
ま、ふつうもしないけどね。お店で。
背筋伸ばさなくちゃいけないってことね。
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ジョージ |
訂正。アクビひとつできないんだよ。
で、そういうところで、
2時間、がんじがらめにして・・・
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つねさん |
開放させてあげる・・・
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ノリスケ |
開放してあげる・・・
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ジョージ |
そう。開放させるの。
その、どっちか。
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ノリスケ |
へ〜。
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つねさん |
あんた、よくやってたでしょう?
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ジョージ |
ンニャッ?!
ん、いや〜ん。
そなこと言っちゃ、ダメ〜ん。
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ノリスケ |
下ーか、上ーか。ね。
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ジョージ |
そう。下か上か、どっちか。
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ジョージ |
だからね、そういう意味でね、
中国料理は、女誘っちゃダメ。
ぜーったいダメ。
中国料理は、たとえ一卓10万円で囲もうが、
500円でラーメン食おうが、気軽だから。
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つねさん |
あー。
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ジョージ |
ぜーったいね、今日エッチで、
この女を、とろけさせてやろうと思ったら、
高級な中国料理は、行っちゃダメですっ。
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ノリスケ |
もったいないだけだもんね。
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ジョージ |
世の中のほとんどの人にとって、
フランス料理屋さんってー、
デーティング・レストランじゃん。
フランス料理屋さんに行って、
ナイフ・フォーク、
ナイフ・フォークが並ぶほど、
女の緊張は極度に達して・・・
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ノリスケ |
そおね。
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ジョージ |
股開きたくて仕方がないんだけど、
股開けない。
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ノリスケ |
その我慢が、ガマン、ガマン、
っていう状態だよね。
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ジョージ |
和食とか中華とかっていうのは、
それがね、ちょっと弱いの。
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つねさん |
ふーん。
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ジョージ |
ましてや、焼肉屋。
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つねさん |
あー。
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ジョージ |
一枚千円の特上カルビを焼こうが何しようが。
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ノリスケ |
だろうが何だろうが、焼肉は焼肉だー。
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ジョージ |
そうなんだよ。
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ノリスケ |
旨いしな。
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つねさん |
あー、美味しいよねー。
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ノリスケ |
美味しい、で満足しちゃうけどね。
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ジョージ |
あなたのエッチより、
特上カルビのほうが、旨い?
みたいに言われたら、
ま、うまいの文字が、違うんだけどね。
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ノリスケ |
でも、フィジカルなことだから、
おんなじなんだよね。
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ジョージ |
そう。
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ノリスケ |
体がわかってるからねー。
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ジョージ |
だから、焼肉やラーメンで、
ラーメン餃子で腹いっぱいにした後の、
エッチっていうのは、
これは、もう、セックスという行為によって、
それに対して、どうだ、良かっただろう?
っていうのは、求めちゃいけないの。
お互いの排泄行為でしかないのよ。
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つねさん |
ほ〜。
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ジョージ |
ね? でも、場末のラーメン屋台でもって、
汗、かきながらラーメン、食った後に、
用意されたのが、
椿山荘のフォー・シーズンズ・ホテルの
スイートだったりなんかすると、
それはそれで、なんか、素敵でしょ?
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つねさん |
ヌッハハハハ!
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ノリスケ |
それは、難しいよー。
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ジョージ |
ラーメン屋でもって、
ずーっと溜めていた欲求不満ストレスを、
もう、カタストロフまで高めて・・・
ぶつけたッ!
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ノリスケ |
それは、上級者だよー。
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つねさん |
すごいね。なかなか、できないよね。
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ノリスケ |
それは、上級者だよ。
つまり、すごくいいリゾート地で、
夜にね、タキシードを着てるんだけど、
タイを、ズルッ、てはずして(笑)、
裸足でシャンパンを飲んでる、みたいな、
お行儀の悪さを演出する、
みたいな高等な難しさがあるよ。
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ジョージ |
今の日本に、いちばん欠けてるのって、
正装が崩れる瞬間だよね。
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つねさん |
ちょっとこれヤバイよ。おいしいよ。
(註:デザートをいただいています)
ふるーちー。
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ノリスケ |
うん。そう。ないもんね。
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ジョージ |
あのー、欧米とかアメリカで、
男がいちばん色っぽく見える瞬間って、
どういう瞬間か、っていうと、
ほとんどの人が、タキシードを着て、
バリッとした蝶ネクタイを、
ズッ、とはずす瞬間なんだよ。
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ノリスケ |
きゃーっ。
まあ、蝶ネクタイでなくても、
ビジネスマンでもキチッとした、
ちゃんとしたワイシャツを、
最後に、クッて緩めるとこは、
やっぱりセクシーだと思うよ。
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ジョージ |
そう。
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つねさん |
まあ、そうね、確かに。んー。
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ジョージ |
女がいちばんセクシーに
見える瞬間っていうのは、
イヴニング・ドレスに羽織ったコートを、
脱いだと同時に、ストラップ、
肩のショルダー・ストラップが、
スルッと垂れた瞬間なんだよ。
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つねさん |
スルッと。あ〜。
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ノリスケ |
ついでに、そのー、
コートの中に溜まった、香水の匂いとかがね。
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ジョージ |
うん。
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ノリスケ |
パッと、開けたときだよね。
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ジョージ |
そう。で、こういうシテュエーションってー、
昔の日本には、
いっぱいあったんだと思うんだよね。
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ノリスケ |
紳士が帽子をかぶってる時代?
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ジョージ |
そう、そう。
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つねさん |
あー、そうそう。
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ノリスケ |
夏には白い麻のジャケットを着て、
って、そういう時代でしょ?
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ジョージ |
そう。
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ジョージ |
汗がにじんだ襟元を、
キュッ、と緩めるとき、とかね。
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つねさん |
うーん。
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ジョージ |
で、女性的には、衣ずれの音、っていう。
たぶんね、たぶん、明治時代の人って、
エロ小説読んでて、
衣ずれの音とともに、
着物が畳の上に落ちた、っていうので、
もう、射精できるんだよ。と思うんだよね。
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つねさん |
あー。
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ジョージ |
いまは、ないの。
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つねさん |
ないねー。
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ジョージ |
あ、もったいないー。
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ノリスケ |
失われゆく、日本。
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つねさん |
ハハハハ。いまの永六輔の真似?
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ノリスケ |
ハハハハハハ。
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ジョージ |
そういうのの積み重ねで、
人間の本能的な部分が、
削られてるような、感じがするなー。
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つねさん |
あ〜。
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ジョージ |
で、そのー、どんどんどんどん、
人間、洗練されて、
野性的な部分がなくなるから、って、
なんとかしなきゃいけない、っていうと、
みんな、なんか、野性的一方のほう、
走っちゃうんだよ。
本能的な部分ばっかりに
走っちゃうんだけど、んー、
野性的で本能的な部分を、
もう一回呼び戻すためには、
逆に、むしろ、その、
洗練された文化とか、っていう、
方向に向かってかないと。
洗練の対極に、野生があるわけじゃない?
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つねさん |
だから、そうだよね、
崩れる瞬間って、ほんとに、
それは、なんか、理性でもそうだし、
けっこう、感じるもの、あるよね。
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ジョージ |
そう。
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つねさん |
堕ちる、っていうの?
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ジョージ |
うぅわ〜ん・・・(吠える)。
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ノリスケ |
おちるのは、堕ですね。
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つねさん |
そうそうそうー。
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ジョージ |
はぁ〜ん、いい言葉・・・
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つねさん |
あれね、堕ちるところって、
やっぱり、ドキドキするもん。
うーん。
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ノリスケ |
もう、心ならずも、
そこに引きずり込まれる、感じ?
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つねさん |
そうそうそう。それは、だから、
自分でもいいし、相手でもいいよね。
だよね?
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ノリスケ |
堕ちたいし、堕としたいんでしょ?
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つねさん |
うん。っていうか、なんか、
その、気持ち的な部分って、
そういうのあるじゃない? すごく。
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ノリスケ |
うん。
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ジョージ |
不思議だよね。感情は、
どんどんどんどん、高まっていくのに、
堕ちてゆく、っていう。
だから、ま、ある意味、
自虐的なのかも知んないな、
という気もするんだけど。
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(このテーマはこれで最後です。