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新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

習い事が好き。その3
男子チアリーディング部。

ノリスケ 剣道とかって、
男の子の場所じゃない?
そういうところに行くっていうようなことのさ、
ジレンマとかあったなあ。
ジョージ ピアノの発表会は、女の世界だよね。あれは。
つねさん なに? 靴に何か画鋲とか・・・
ジョージ 生まれて初めてピアノの発表会行ったのが、
たぶん幼稚園のときだから、4つとかよね。
先生に手引かれて、ステージに行って、
ステージから客席見たら、
客席はみんーな、ババアなんだよ。
それも、ターバン巻いたようなババア。
つねさん 岩石頭みたいなの?
ジョージ そう。あれがね、ダーーーッ。
そう、鳥居ユキみたいな感じ?
あれがねえ、山のようにいるの。
怖い。いやー、僕はここに呼ばれてないんだ、
って思ったね。
・・・そうすると、ミスするのよ、やっぱり。
んで、ミスするとね、前のババアがね、
ヒソヒソヒソヒソ・・・
ノリスケ あーん。やあね。
ジョージ んもうねー、あれからババア嫌いよ。
トラウマ。だから、僕のトラウマは、
習い事が作ったのね。
ノリスケ ピアノといい。
ジョージ ピアノといい。
ノリスケ ジョージさんはさ、たとえば、
みんなが野球をやるとかさ、
そういう場所には、行かなかったの?
ジョージ 行かなかった。行かなかったけどー、
部活動もしなかったもん。スポーツ系は。
ノリスケ やんなくてよかったの?
文化部に入ればよかったの?
ジョージ 僕、生徒会。
ノリスケ あ、そっちか。
ジョージ それも、会長とか副会長をやると、
責任が出るんでー・・・
ノリスケ 書記とか?
ジョージ 会計。
つねさん やな子ー。
ノリスケ うまいねー。
ジョージ そすっと、ほら、予算権持ってるから、
けっこうでかい顔できちゃったりするわけね。
それでー、同級生の子で、サッカー部の子がいてー。
つねさん その言い方は、きっと、可愛かったのね。
ジョージ そうっ。んー、その子とは、
プラトニックだったよ。
つねさん あーはいはい。
ジョージ んで、その子が練習終わるまで、
僕は図書館で待ってるの。
本読んで。で、練習終わったら迎えに来てくれて。
自転車に乗っけてくれて、んで、帰るの。
ノリスケ いーねー。
ジョージ そうすっとねー、汗のにおいがするのね。
つねさん あらー。興奮しちゃうんでしょ。
ジョージ 帰ってから思い出してね。ひとりでするのね。
ノリスケ 切ないねー。
ジョージ そう、切ないよー。
すーごい切ないの。ま、そんな思い出かな。
でもね、わりと憧れではあったよ、スポーツ部も。
でも、たとえば、まあ、
当時流行ってたスポ根系の
マンガだってアニメだって、
「巨人の星」よりは、
「アタックNo.1」だし、
「エースをねらえ」だしー。
ノリスケ 僕もそう。そうなのよ。
「アタックNo.1」は全巻揃えた。
そういう世界は好きだけど、
でも自分はできないから、
いまだに嫌いだね。特に球技。
つねさん 野球部ねー。
ノリスケ いーなー、と思うんだよ。半分。どっかで。
ああいう世界に生きられたら、いいのかも、
と、ずっと思っていたよ。
でも、だめなんだよ。
やると下手だしね。協調性ないしね。
ジョージ そうだよ。ああいうのはね、
習い事ではないと思うよ。
たとえば、スポーツ系でも、
柔道、剣道、長刀っていうのは、
習い事だろうけど・・・
ノリスケ 「術」とか「道」とかつくタイプのものね。
つねさん 背筋が伸びるとか、なんか、ちゃんとするとか。
ジョージ 武道系っていうのは、
身を守るっていうのがあるわけでしょう?
つねさん 礼儀正しくなるとかね。
ジョージ だけど、どんなにバレーボールが
上手でもー、ねぇ?
水泳は、習い事だけどね。
スイミング・スクールがあるんだから。
ノリスケ 命が助かるしね。
ジョージ 要は、習い事っていうのは、
芸は身を助くものでないといけないの。
ノリスケ ねえねえ、部活動で思い出したんだけど、
ジョージさんって、大学で、
男子チアリーディング部を作ったって
はなしを聞いたんだけど?
つねさん っはっはっはっはっはっ!!
ノリスケ 違うの? 嘘なの? 誤解?
ジョージ それは、ガセよ。
ノリスケ あやしいなあ。事実は、如何に?
ジョージ 留学生をサポートする六大学の組織を
つくったことはあるわよ。
大企業スポンサーにつけて
使途不明金2000万くらい出しちゃって
僕が卒業したあとつぶれちゃったけど。
ノリスケ 話すりかえてない?
チアリーディング部はどうなのよ。
ジョージ チアリーディング部?
やだ、それは僕が作ったんじゃなくってー・・・
ノリスケ 作ったわけじゃなくて?
ジョージ だから、応援団部なんていうのはー、
国際的に素敵じゃないわけじゃない?
ノリスケ そら、そうだ。
軍隊みたいだしねー。
だいっきらい。
ジョージ たとえば、海外からお客さんが
いらっしゃったりなんかしてもー、
ドンドンドンドン太鼓叩くだけじゃない?
華やぎもなんにもないんで、
それじゃ、応援団部の中に、
チアリーディング部門っていうのを
作りましょう、って考えたのよ。
でも、そっちの方が、
予算がいっぱい出たから、独立しただけ。
問題は予算よ、予算。
ノリスケ 全員男の子なの?
ジョージ 半分半分。
ノリスケ それって、そういうものが、あるの?外国に?
ジョージ チアリーディング、チアリーダーの
半分は男性だもん。
ノリスケ そうなんだ。
ふつうの男の子たちだったの?
ジョージ そんなわけないじゃない。
その半分はゲイですもの。
ノリスケ よく集めたわねえ・・・
昔から組織力あったのね。
つねさん どうせ、中で、ごちゃごちゃしてたんでしょ。
ジョージ んー、そう。・・・やっぱり、あるんだよ。
派閥とかね。
ノリスケ 派閥って・・・派閥っていうほどの
問題じゃないと思うんだけど・・・
つねさん だって、オンナの、ほらね、園だから。
ジョージ だって、おねえさん10人も集まれば、
派閥できるでしょう?
誰が何とか言ったどーの・・・
リーディングやって、
横一列にダーって並ぶでしょう?
で、後で、
「あんたの方が半歩前へ出てた」
っていって、すーごいんだから。
こっち来なさい、って。
・・・ひゃー、恥ずかしい。こんな話。
ノリスケ それ、今もあるの?
ジョージ あるよ。
ノリスケ 今もあるんだ。そうだったんだ。
すごいすごい。すごいじゃない。
ほにゃらら大学チアリーディング部の
母なわけね、あなた。
生徒会の会計やったあたりから、
今の、仕事のスタイルみたいなものと、
繋がるのねえ。
つねさん 彷彿とさせるよね。繋がるね。
ジョージ 根本的には変わってないかもしんない。
でもね、誰にも迷惑はかけてない。
だって、そりゃ使途不明金出したけど、
スポンサーの会社は会社で
納得して出したわけだしっ。
ノリスケ その使途不明金って何に使ったのよ。
いくら迷惑かけてないって言っても。
ジョージ あんね、一人の人から、
10万円借りたらば、
すーごい大変なんだよ。
すごい責任が出るの。
一人の人から百万借りたら、
も、一生頭上がんないんだよ。
だけどね、裕福な企業からね、
1億円貰っても、
なーんにもしなくていいの。
責任ないお金を、いかに集めてくるか。
んで、責任なく使うか。良かったー。
つねさん でどう使ったの?
ジョージ 飯食ったり飯食ったり飯食ったり。
ディスコ貸し切ったりー。
飯食ったり飯食ったり飯食ったり。
つねさん やっぱりなんか、都会の大学生って、
すごいわねぇー。
ジョージ 実体のないお金が湧いて出たわけでしょう?
それを実体に変えることは犯罪なのよ。
実体のない、湧いてきたものは、
そのまま土に返せばいいの。
そしたらね、犯罪でも何でもないの。
ノリスケ お金って、実体ないしね。
つねさん ちょっと話がそれてない?
ジョージ チアリーディングのことなんて聞くからよ。
(つづきます)

2001-05-20-SUN

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