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新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

お買い物のエチケット その4
目指すはトップレディよ。

ジョージ 例えば、エルメスなんていうのも、
エルメスっていうお家じゃなくって、
エルメスを代々率いている
デュマ家のサロンに行ってるようなものよね。
ノリスケ うん、うん、うん。
つねさん だから、そういう意味で言ったら、
男の人も、服装を気をつけてください。
なんか、いるじゃん? 海外行ったら、
ジャージみたいなんで入っていくとか。
ノリスケ そうなのよ。格好がさ、
ブランド屋さんに入っていく格好ってさ、
考えちゃう……。
つねさん すっごい悩んだりとか、するよね。
ノリスケ もし今日、あの、おみやげでもいい、
自分は欲しくなくても、
おみやげにエルメス何か買ってきてって言われて、
エルメスに行かなきゃなんなかったら、
やっぱ考えるよね。
着るものからさ、持ってく物から(笑)。
ジョージ だって、たまに、あれだもん。
ドアを開けてくれないことがあるもん。
つねさん あ、そうなの? そういう人って?
ノリスケ ドレス・チェックに引っ掛かるのね(笑)。
ジョージ 多分、いちばんドレス・チェックが
厳しいのって、
海外のブルガリだと思うよ。
ノリスケ へええ。
ジョージ 日本のブルガリは入れてくれるけど、
例えばニューヨークの
五番街のブルガリなんて、
入り口んとこでカメラ・チェックが入って。
ノリスケ モニター室があるの!?
ジョージ そう。お店が認めた人でないと、
ドアが開かないんだもん。
ガチャガチャガチャってやっても。
つねさん そうなの? うわ〜。
ジョージ でもそれは、中に入ると分かるんだよ。
その、静かな空間で、
お店に選ばれた人たちだけが
買い物をしている空間なんだよね。
で、その空気までいっしょに
包装紙に包んで
お客さまに売って差し上げてるから、
ウエスト・ポーチを腰にぶら下げた……
ノリスケ 他のお店の紙袋を大量に持った……
つねさん スニーカーをはいたおねえちゃんは……
ジョージ 絶対にダメ。
だって昔、ほんとに景気良かった頃に、
ニューヨークでもって、
今日はお買い物するぞー、っていうときには、
やっぱりしっかり着替えて、
キッチリした服を着て、
リムジン1台、チャーターするの。
ノリスケ あなたが? うお〜。
戦うのねえ……。
ジョージ リムジンでお店のとこまで行くでしょう?
で、ドア開けてもらって、買い物して。
例えば、ヒューゴ・ボスかなんかの、
ジャケットとか色々買いましょう。
何着か買うと、とんでもない荷物に
なるわけじゃない? で、
「お泊まりはどちらですかー?」って言われて、
ま、こんときのホテルが
問題でもあるんだけど、
「どこそこに泊まってます」って言ったら、
「あー、そちらの方までお届けしましょうか?」
って言われるの。で、それを制して、
「あ、構わないよ、結構、結構。
 車が表に待ってるから」って言えばね、
ギフトのひとつも出てくるわよ。
ノリスケ ん〜。ちょっと、その話は、凄すぎ。
ジョージ で、マネージャーが、
飛んできて名刺渡してくれて。
その次のバーゲン・シーズンからは、
招待状が来たりとかして。
ノリスケ おぉ〜。
ジョージ で、そこの従業員が、
ショッピング・バッグを持って表に出たら
リムジンが待ってて運転手が立ってて、
そん中に荷物をバサーンとつっこんで、
「それじゃあ」って、言うの。
僕は、歩道を歩きながら、
リムジンが横を伴走してくれるの。
つねさん ワハハハハ。
ノリスケ もう、なんか……(笑)。
ジョージ そういうこと、やってたのっ。
あー、なんだかハズカシイッ!(照)
ノリスケ アッハッハッハ!
景気が良かったころの話?
ジョージ そう、景気が良かったころ。
今は出来ないけどね。
でもね、なぜその話をしたかっていうと、
それぐらいのつもりで、
行かないとダメってことなのよ。
特にハワイなんかっていうのは、
すーごい気軽な場所で、
みんなサンダル履きで、
ショート・パンツでもって行くでしょう?
ノリスケ うん。
ジョージ それはね、ただ見てるだけの、
下見のときはいいんだよ。
で、下見でジーッと見て、
あ、あれを買おう、と思ったら、
そんときには絶対に買わないの。
もいっかい出直してくる。
ノリスケ ちゃんと着替えて、香水つけて?
ジョージ うん。ただ、何にも言わないで
帰って出直してきたら、
その間に他のお客に
取られてるかもしれないから、
お店の人をちょっと呼んで、
「すいません、あれが欲しいから、
 でも、後で、後日出直してくるから、
 それまでキープしといてくれませんか?」
って言って、ホテル・カードを見せながら、
ルーム・ナンバーとホテルの電話番号と
名前を控えといてもらうんだよ。
で、帰るの。
で、その控えておいてくれた、
売り子さんの名刺を貰って帰ってくる。
ノリスケ でも、そのときにもさ、
やっぱり、あんまり変な格好をしていると……
ジョージ うん、それは、でも、まあ、大丈夫。
ノリスケ 大丈夫?
ジョージ それは大丈夫。あのー、ハワイなら、少なくとも、
水着から水がしたたり落ちてなければ大丈夫(笑)。
で、いったん家に帰って、
決してすごぉくドレス・アップする
わけではなくていいのよ?
つねさん ふんふん。
ジョージ 普通の靴をはいて、
普通のワンピースでもなんでもいいから、
着替えてって、髪の毛を奇麗にまとめて、
お化粧のひとつもして、出直してきます。
で、入り口トーンと入って、
ガードマンかなんかに、
「この人に会いに来たんだけど」
って言うと、彼女が出てくるわけだよ。
そうすると、うちの物を買いに来てくれるために、
着替えてくれて髪の毛も直して化粧もしてくれた、
って思ったら……
ノリスケ それは、いいお客さんだよねー。
ジョージ どんなに混んでても、
あんたたち、おどきっ! どきなさいっ! って
椅子をしつらえてくれて、
「どうぞお座り下さい」って言ってくれるの。
ベルサーチとかアルマーニとか、
イタリア系のブティックだったらば、
絶対エスプレッソ・コーヒーが出てくる。
ノリスケ お〜。
つねさん あ〜。
ジョージ そしたら、周りの人たちは、
いったい何事だろう?って、見るんだよね。
気持ちいいでしょう?
で、そうすると、海外に行って買った、
そのルイ・ヴィトンの
カバンそのものよりも……
ノリスケ そうか!
ジョージ そこで買って、みんなに見られて、
いったいこの女は、何者っ? と思われながら、
クレジット・カードにサインをして、
しかも、そういうお客さんだったらば、
その売り子の女の子が最後まで責任を持って
ショッピング・バックを持って、
ドアまで開けてくれる。
で、通りで手渡しで最敬礼で、
「どうもありがとうございました」
って言ってくれるんだよ。
そういう思い出まで、買うことができますっ。
どう?
ノリスケ それがブランドの買い物なのねっ!
ジョージ そうよっ。
つねさん こえー(笑)。
ジョージ で、そのために、
いったい自分は何をしなきゃいけないか、
だよね。エチケットを守ることと、
物を見る目をしっかり持っとくことね。
ノリスケ うん。
ジョージ で、日本の、例えば、若い女の子が買って、
現地の人に顰蹙(ひんしゅく)を買うような物を買わない、
とかね。あるいは、
自分に合うものをほんとうに選ぶ能力を
身につけておくとか。こういうのを週末、
日本のデパートとかで……
ノリスケ 勉強をするのね。
ジョージ そう、ブティックまわりをして
勉強をしておけば、
あなたもトップ・レディー!!
っていう感じがするけどね。
ノリスケ そのさ、自分を磨くってことについて、
もちょっと教えて?
(つづきますよ!)

2001-06-21-THU

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