ノリスケ |
お客さんとしてこうありたい、
っていうことでいうと、
ほかにはどんなことがある?
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ジョージ |
うーん、そうね、名前を呼ばれないような
買い物の仕方をしちゃいけない、かな?
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つねさん |
あー、ミスなんとか、
ミスターなんとかって呼ばれて……
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ジョージ |
そうそうそうそう。つまりね、
名前を呼ばれないような
レストランのお客さまになっちゃダメ、
っていうのといっしょなの。
なんでレストランに行くのに
予約をするんだ? っていうと、
忙しいお店のテーブルをキープするために
予約をする、と思ってるでしょう?
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ノリスケ |
あ〜。そう思ってました。
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ジョージ |
だけど、絶対ちがうんだよ。
だって、あ、ちょっと話が
横のほうに行くけど、いい?
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ノリスケ |
いいよ、いい。
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ジョージ |
昔、ハワイでね、
ちょっといいホテルに泊まってて。
ハワイ島のほうなんだけど、
どんないいホテルでも1週間ぐらいもいると、
ホテルのレストランに飽きちゃうんだよね。
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ノリスケ |
うん、うん。
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ジョージ |
で、近所のホテルのレストランを、
ちょっと覗きに行きましょうと思って、
車に乗ってリッツ・カールトンに行ったの。
今は、リッツ・カールトンじゃなくて
別のホテルになってるけど。
レストランがけっこういい、っていうんで。
で、レストランに直接行ったら、
「予約をしてるのか?」って言われたのね。
してない、って言ったら、
じゃあ、フロントのほうで予約をしてきて下さい、
でないと、予約をしないお客さんは
入れられないから、って。
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ノリスケ |
そんなに混んでる人気店なの?
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ジョージ |
そうじゃないの。見たら、ガラガラなんだよね。
ガラガラなのに、なんでー?!
と思いながらフロントに行って、
名前を言ったの。男性2人と女性2人、
4人です、って。そしたら、
「食事の目的は?」って訊かれたのね。
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ノリスケ |
その質問、困る……。
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つねさん |
「おなかすいたから」じゃダメ?
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ノリスケ |
ちがうんじゃなーい?
何て答えたの?
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ジョージ |
「ハワイに来て、ちょっと飽きたんで、
ここは夜景が奇麗だと思って来ました。
べつに特別なパーティじゃないですけど」
って、言ったの。そしたら、あ、分かりました。
3分後に向こうのほうにテーブルの
用意が出来てるから行って下さい。って。
フロントからレストランの間ってさ、
20歩ぐらいしかないんだよ?
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ノリスケ |
ハハハハハ。
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ジョージ |
で、3分、時間潰して、
ほんでレストランの方へ行ったらば、
入り口のところに、
女の子が2人立って待ってくれて
「お待ちしておりました、ジョージさま」
って言うんだよ!
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つねさん |
ほ〜(笑)。
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ジョージ |
そーか、なぜ予約をさせたのか、わかった。
名前を呼びたかったんだー、と思って。
で、行ったらば、
夕日がいちばん奇麗に見えるテーブルでね、
で、しかも、女2人に海が見えるように、
男2人には、その、夕日を背に受けて
座るようにセッティングされてて。
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ノリスケ |
お〜。演出。
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ジョージ |
で、食器もナイフ・フォークも、
女は女用、男は男用になってるの。
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ノリスケ |
素敵。
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つねさん |
お〜、すご〜い。
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ジョージ |
で、それから2時間ぐらいの夕食の間中、
近づく従業員は、みんな名前を呼ぶの。
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ノリスケ |
お〜。
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ジョージ |
「いかがですか?」
「そろそろ夕日が奇麗に見える頃です、
ジョージさま」って言って、
女の子たちが見るわけじゃん?
……うちの母もいたんだけどね。
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ノリスケ |
ハハッ、女の子。
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ジョージ |
ま、身内ですけど。でも、彼女らが言うには、
「いや〜、2人とも、
すごくりりしい顔に見える!」って。
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ノリスケ |
そうなんだと思った!
夕日を背に、男性が座るということは、
どういうことなのかな?
って、今、考えながら聞いてたの。
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ジョージ |
マネージャーみたいな男の人が言うには、
「実は、このテーブルっていうのは、
男性が女性に尊敬を集めるテーブルなんです、
特に今の時間は」だって。
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つねさん |
すごいね〜。
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ジョージ |
あー、これが予約をすることなんだ、
って思うんだよね。で、ほじゃね、
ブランドのお店に行って、
名前を呼ばれるっていうことは
いったい、どういうことなのか? っていうと。
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ノリスケ |
別に予約して行くわけじゃないし……
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ジョージ |
……あのね、べつに、最初は、
名前呼ばれなくっても、いいのよ。
ひとりの人が最後まで責任を持って、
売ってくれる、っていうことを、
してもらいましょう、ってことなの。
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ノリスケ |
うん、うんうん。
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ジョージ |
それと、まあ、クレジット・カードのひとつも
サインしたらば、その瞬間から必ず
名前を呼んでくれるような
買い物の仕方っていうこと?
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ノリスケ |
うん、そうだ、それまでは
名前聞かれないんだよね。
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ジョージ |
椅子に座んなきゃいけないしね。で、
「どうもありがとうございました、○○さま」
って言って、見送ってくれるか。
名前をいちばん最後に呼んでくれて、
お店の外まで従業員が出てきてくれたらば、
自分の今日の買い物は、大成功だった、
と思えばいいんだよ。
その瞬間までね、訓練に訓練を重ねるの。
で、1回それを経験したらね、
2度目からは大丈夫だよ。
それが再現され続けるから。
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ノリスケ |
ああ、それは素敵な買い物の仕方だろうな。
ってことは、そのブランド店のハシゴ、
みたいな、さっきジョージさんが言ってたような
タイプのハシゴではなくてですね、
「これっ、下さいっ! ハイっ、ありがとっ」
バンッ(ドアを閉めるしぐさ)! つって、
はい、次っ、っつって、
「今日1日6軒まわんなきゃいけないんだからっ」
みたいな(笑)、買い物、やっぱり、違うよね。
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ジョージ |
そうだよね。「買い物をする」んじゃなくって、
「買い物を楽し」まなきゃいけないんだよね。
で、そうすると、例えばハワイなんかで、
カラカウワ通りとか、アラモアナ・
ショッピング・センターとか、
もう1軒おきにブランドの
お店なわけじゃない?
で、それを、例えば
4日間ぐらいのステイだとしたら……、
ハワイに着くよね、早朝着いちゃうじゃん。
そしたらば、ホテルの、まあ、
ダイレクト・チェック・インなら
まだいいんだけど、
チェック・インできなかったら、
ホテルに荷物を置くだけで、
着替えもできずに放り出されるんだよね。
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ノリスケ |
うん、そうかー。
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ジョージ |
それこそ、いいチャンスなんだよ。
着替えをしてないっていうことは、
飛行機に乗ってバカにされない
格好をしているわけだから、
そしたらまず、リゾート・ウエアに着替える前に、
それじゃあ、ブランドのお店をちょっと、
見て歩きましょう、っていうのに、
ぴったりの格好なわけよ。
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つねさん |
そうかー!
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ジョージ |
それで、まずルイ・ヴィトンから始まって
クリスチャン・ディオールとかね。
それから、ま、こっち側に行くと
ブルガリがあって、その横にシャネルがあって、
とかっていうのを、
まずは買い物をする気持ちじゃなくって、
お店を見に行くの。
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ノリスケ |
ゆったりね。
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ジョージ |
そう。で、あ、ここのお店の従業員の人たちは
こういう格好してる、
あ、バカな買い物客がいっぱいいる、
どうしたんだろう? こういうお店だったら、
私はこういう格好をして来るのが
おしゃれだと思うなー、とかって
思いながら歩くの。
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ノリスケ |
もう余裕ね。
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つねさん |
すごいね〜。
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ジョージ |
そいで、たとえばブルガリとかに入ると、
「いや、ここは入っちゃダメなんだ」
とか、考えるの。
私は呼ばれてないんだー、
あー、ダメだダメだ……というのも、大事です。
んで、行ったり来たりしながら、
いちばん外れにエルメスがあったり、
その先にグッチがあったりとかするんだよ。
そうすると、あ、けっこうここのエルメスって、
なんか面白いおみやげ物、
タオルとかいっぱいあるじゃーん。
で、グッチのほう行くと、
あ、ここはわりとサンダル履きで
来てもいいような感じのお店なんだー、
とかって思いながら、昼ご飯に行くの。
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つねさん |
はぁ〜。
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ジョージ |
そうするとね、今回のお買い物の攻略マップ、
あるいは、攻略スタイルっていうのが、
自分の中で出来るんだよね。
したら、たとえばエルメスとかっていうのは、
ちょっとドレス・アップしなきゃいけないなー、
そしたら晩ご飯どこそこで食べる予定だから、
晩ご飯食べるときに当然
ドレス・アップするだろうから、
晩ご飯食べる前にちょっと覗こう、とかね。
で、一挙にぜんぶ見て回るんじゃなくて、
どうせ近いところにバラバラあるんだったらば、
こういう格好しているときにあそこに行こう、
それは明後日の何時ぐらいだー、
とかって思いながら、時間の使い方を、
自分でプロデュースするの。
と、すーごい賢いハワイになるの。
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(つづきますよ)