ノリスケ |
なるほどねえ。
お買い物ひとつにしても、
ちょっと気を入れると、
ずいぶん楽しいものになるのね。
どこに行っても、きちんとサービスされるような
人間になりたいものだわ。
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ジョージ |
そうね。たとえば、ちょっといいホテルに、
もし泊まったとしたらば、ね?
ホテルのベル・ボーイさんとかっていうのは、
目をかけてあげたいお客さんって、
絶対いるんだよ。
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つねさん |
うんうんうん。
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ジョージ |
で、これもやっぱり、
入り口を出入りするたんびに
「こんにちは」とか「おはよう」とかって、
言ってくれる人であったり、
あるいは、1日何回も
着替えに戻って来る人、とかね。
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ノリスケ |
旅を大事にしている人よね。
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ジョージ |
そういうの、すごくよく見てるの。
特に日本の女の子だったらば、
朝、Tシャツにショート・パンツで
出てったと思ったらば、戻ってきて、
昼過ぎぐらいにちょっと
ドレス・アップして出てきて、
も1回戻ってきて、
夜にはもちょっとドレス・アップして……。
で、ディナーが終わったら、
またなんか、カジュアルな格好になって
夜の街に出ていく、っていうのは、
ボーイさんから見ていても、
すっごーい、楽しいんだよね。
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ノリスケ |
嬉しくなっちゃうよね、
そういうふうに元気なお客さんがいると。
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ジョージ |
そうなの。そうすると、
声かけてくれたりとかするの。
たとえばチェック・アウトしたときに、
タクシーが欲しい、でも、
午前中のタクシーって
なかなか来ない……そういうときに、
このホテルを拠点に旅をうんと楽しんで
ボーイさんにその姿を印象づけた
プリティでキュートな女の子が
タクシー欲しがってたら?
もう他のお客さんどけて、どうぞ、って。
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ノリスケ |
わあ。
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ジョージ |
特権はね、必ずやって来るんだよね。
目立って可愛い、
あるいは目立ってエレガントなお客さんには、
必ずやってくる。
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ノリスケ |
御褒美がくる……
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つねさん |
目立って可愛く見せる、
エレガントに見せるには、
「ちゃんとする」ってこと?
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ジョージ |
ん、だから、まずは笑顔だよ。
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ノリスケ |
笑顔とマナー。
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ジョージ |
笑顔とマナー。
それと、見苦しいほどの荷物を持たないこと。
ルイ・ヴィトンでお買い物をしたら……
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つねさん |
1回帰るの?
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ジョージ |
1回帰る。
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ノリスケ |
そう、何往復もする(笑)。
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ジョージ |
そう。
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ノリスケ |
それが楽しい、と。
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ジョージ |
お部屋に帰る、お部屋に帰って1回開けて。
自分が買った、そのおバカな所業のね、
結果を見る。しげしげと眺める。
で、あ〜ん、買っちゃった。
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つねさん |
で、次行こう、と。ま、いいやっ。
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ジョージ |
そ。で、次のところに行く。
そこで運良く買わなくて済んだらば、
次のお店に行く。で、次のお店で
運悪く(笑)何か買ったらば、
もう1回、戻る。
戻って2つ並べて反省会をする。
で、もう1回出てく。
この、性懲りもない行動の繰り返しなのよねー、
お買い物って。
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ノリスケ |
お金の払い方ってさ、
トラベラーズ・チェック、現金、
クレジット・カードってあるけど、
現金じゃ、ダメ?
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ジョージ |
や、僕は現金でも構わないと思うよ。
ただ、現金の出し方、だよね。
現金でスマートに決済をするっていうのは、
すごく難しい。
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ノリスケ |
うん、難しいよね、
かえって難しいなとは思うよ。
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つねさん |
あ〜。やっぱりカードがいちばん
楽なんだよね。スマートだよねー。
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ジョージ |
うん、スマートだし、
名前を覚えてもらうきっかけにもなるし。
で、日本へ戻ってきて
リファンドかなんかしたいときにも、
クレジット・カードだと簡単にできるしね。
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ノリスケ |
保証が付いてたりするからね。
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つねさん |
それこそほら、こんな札束?
こーやって数えて、
ポーンッて出すのって、何か……
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ジョージ |
うん。
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ノリスケ |
品良くやるのは難しいっ。
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ジョージ |
そうだね。むかし、
ド高い時計買ったときに、
銀行から下ろしてきたばかりの札束
ドーンと置いたときには……、
置いた瞬間は、すごい、
意識が高揚してるんだよ。
やったぞ、買ってやるぞ、って思うんだけど、
それをね、少々お待ち下さい、って
みんなが血相変えて勘定するわけじゃん?
もう、どんどん恥ずかしくなってくるの。
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ノリスケ |
ハハハハハッ。
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ジョージ |
あ、やめて、お願いだから、
別室で勘定して、って思うんだけど、
別室に持ってって、
お金が足りなかったらダメだから、
みんなで目の前で勘定するんだよ。
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つねさん |
あ、そっか。
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ジョージ |
もうね、すーっごい悲しいよ。悲しい。
でも、もっと悲しいのが、
クレジット・カード出して、
たとえば、アラモアナ・ショッピング・
センターの角にあるルイ・ヴィトンに
夕方の6時半ぐらい行って、
おそらくもう入場制限する寸前ぐらいに
人が入ってるなかを、
椅子に座らせてまでもらって、
いい対応をしてもらって、買うもの決めて、
カード出して、リーダーにかけたら、
「お客様、申し訳ありません」
って、言われたらどおしよ〜? って!
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ノリスケ |
限度額なしのカードを
持ってくしかない?
そういうわけにいかないわよ。
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ジョージ |
だからね、出かける前に
カード会社に電話だよ、絶対。
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つねさん |
いくら残ってるか、っていう?
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ノリスケ |
ううん、上げてもらうんでしょ?
限度額を。
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ジョージ |
そう、上げてもらうの。
申し訳ないけど、
海外旅行に行くので、って。
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つねさん |
あ、そういうの、出来るの?
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ジョージ |
うん、それは、ふつうにできることよ。
あのね、たとえば昨日まで
日本ではカードで月額1万円だけ使ってた人が、
ハワイでいきなり、
25万とかっていう決済起そうとしたら、
盗難カードか? っていうふうに出るんだよ。
限度額よりも、不規則な使用の仕方をしていると、
おかしいっていうのが出ちゃうことがあるの。
だから、ちゃんと電話を掛けて、
たとえば1週間後の何月何日から何日まで
ハワイに行きますので、
海外だから手持ち不如意になったときに、
急に高額の買い物するかも知れませんから、
よろしくお願いします、って言うと、
30万ぐらいの限度額のカードが、
30万掛ける1.5の45万円ぐらいまで
上がるには上がるんだよね。
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つねさん |
そうなんだ……知らなかった!
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ジョージ |
これはまず絶対忘れないこと。
で、自信を持ってカードを出してね。
で、これもあれだよ、
パーティに呼ばれたのと同じで、
背筋をシャンと……ね!
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ノリスケ |
伸ばして……
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ジョージ |
そう、椅子には浅く座って。
絶対、足は組まない。
足を斜め35度くらい。
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ノリスケ |
揃えて!
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ジョージ |
そう、揃えて。
で、両手を膝の上に乗っけて。
カードがやってくるのを待つ。
楽しいよー、その瞬間って。
あ、でもね、ブランドのお店はね、
いいお客さんであればあるほど、
対応がスピーディじゃないです。
だから、待たされるのは我慢しましょう。
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ノリスケ |
あ〜。
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ジョージ |
カード渡して、
カードがなかなか戻ってこないってことも
あるからね。落ち着いてね。
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つねさん |
イライラして、すいませーん、とかダメ?
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ジョージ |
ダメ。「私のが後回しにされてる」なんて、
ぜーったい思わないこと。
……たまに忘れられてることもあるんだけど。
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ノリスケ |
ハハハッ。
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ジョージ |
日本人ほど手先、器用じゃないから。
おくるみも、大変でしょ?
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ノリスケ |
下手だから。
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ジョージ |
ねー。で、少々、こう、
ゆがんでても、怒らない。
時間がかかってても怒らない。
ニコニコしながら。
で、ヴィトンあたりだったらば、
横に置いてあるカタログか何かを眺めながら。
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ノリスケ |
ニコニコして。
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ジョージ |
そう。エルメスだったらば、
売り場を、まるで美術館を歩くように?
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つねさん |
後ろ手を組みながら。
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ジョージ |
そう、後ろ手を組んで、
ゆったりゆったりと、見て歩くの。
もし、1人じゃなくって
2人以上で行ってるときは、
何か穏やかに話をしながらね。
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つねさん |
あー。
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ジョージ |
こんな素敵なのがあるわー、
とか言いながら歩いてると、
ああ、なーんて買い物しなれた
人たちなんでしょう! って、
東南アジアだとかなりの頻度でもって、
ギフトがついてくるわよー。
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つねさん |
わー。
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ジョージ |
うちにある香水のミニ・ボトルはほとんど、
ギフトよ。で、そのミニ・ボトルがそのまま、
おみやげになったりとかして!
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つねさん |
あー、でも、それはいいよね。
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ジョージ |
そう。だから「与えよ、さらば……」
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つねさん |
与えられん。
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ノリスケ |
求めよ、じゃないのね。
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