ノリスケ |
こないだね、女のひとから、
「30歳になる記念に、
がんばって働いてきたご褒美に、
自分に何かちゃんとしたものを
買いたいと思うんだけれど、
何を買ったらいいと思う?」
って、訊かれたの。
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ジョージ |
ちゃんとしたものかー。
あ、僕ね、ま、いま自分が欲しくて
探してるっていうのもあるんだけど、
働いている女の人であれば、ある。
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ノリスケ |
なあに?
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ジョージ |
名刺入れの、いいもの。
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ノリスケ |
おお!
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ジョージ |
僕ね、うちの会社の女の子達には、
30歳になると、必ず名刺入れ、あげるの。
っていうのが、働いてる女の人で
20代から決別して30代になるっていうことは、
それまではずっと、
匿名の人間として働いているわけじゃない?
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ノリスケ |
うん。
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ジョージ |
だけど、30になっても
働き続けるっていうことは、
匿名ではなくって
自分自身として働かなくっちゃいけなくって、
で、仕事の上で自分を証明する
唯一のものが名刺なんだよ。
で、自分の名刺を
大切に扱うということからも、名刺入れ。
で、あと、当然、30過ぎてくると、
女の人でもお客さんと名刺交換をする
機会が増えるでしょう?
そのときに名刺交換する相手っていうのは、
20代の女の子の名刺交換……
例えば合コンの男の子とは違う話なのね。
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ノリスケ |
うん(笑)。
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ジョージ |
そうすると、頂いた自分よりも
ずーっとキャリアの長い男の人、女の人の、
名刺を大切に扱わせて頂くという意味でも、
品の良い、上質の名刺入れをひとつ。
で、その名刺入れに合わせて、小物?
たとえば、ま、ルイ・ヴィトンばっかりの
話が出ちゃうけど、
ルイ・ヴィトンではおんなじシリーズで
名刺入れと筆箱と、それから、メモ・パッド、
手帳ケースでしょ? そういうものが揃ってるから。
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ノリスケ |
ステーショナリーが。
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ジョージ |
うん。で、そういう類いのものを、
ちょっとまとめ買いをするといいと思うよ。
で、お店の人に頼んで、
すいません、これギフトなんです、って言って、
ギフト・ボックス入れてもらうの。
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ノリスケ |
素敵。
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つねさん |
あー、いいなー。
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ジョージ |
リボンをかけて。で、持って帰る。
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つねさん |
で、おうちで……
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ジョージ |
そう、開けるんだよね。
でね、いいお店のギフト・ボックスっていうのは、
すーごくしっかり出来てるから。
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ノリスケ |
それ自体が?
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ジョージ |
それ自体が。たとえば、便箋入れとか、
あるいは大切な手紙入れとかに使えるよ。
スカーフとかを入れておくのにも、
すごくいい箱だから。
ギフト・ボックスに入れて、持って帰る。
これ、お勧めです。
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ノリスケ |
いいと思う!
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つねさん |
ほ〜、なかなか、良さげ。
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ジョージ |
ねっ?
ノリスケくんはどういうものが
いいと思う?
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ノリスケ |
時計。たまたま、いま僕、時計欲しいからだけど。
時計って高いから、
理由が必要でしょう?
30歳になったから、とかっていうのは
良い理由だと思うの。
ジョージさん、どういうときに
時計買ってきたの?
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ジョージ |
僕は、やっぱり、
自分のイメージを変えたいとき。
決心するとき。
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つねさん |
あ、そうなの?
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ジョージ |
うん、そうだよ。
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つねさん |
何を決心したの?
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ジョージ |
んーとね、ちなみにこの時計の決心はですね……
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ノリスケ |
パテック・フィリップなのね(笑)。
ちなみに、ステンレス・スティールで、
パテック・フィリップらしくない、
カジュアルな印象ですっ。
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ジョージ |
(笑)ずーっと、ほら、あの、
金むくの超高級系だったでしょ?
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ノリスケ |
ブランパンだったわよね(笑)。限定品。
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つねさん |
車が1台、買えちゃいそう。
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ジョージ |
あれって、自分の中でも
背伸びがあったんだよ。
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ノリスケ |
あれはねぇ、ま、あれを見ちゃったら、
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ジョージ |
引くでしょ〜?
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ノリスケ |
引いた。
すごい強かったもの。
「どうだっ!」っていう、強気オーラ。
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つねさん |
僕、よく分かんなかった(笑)。
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ジョージ |
でね、そのー、引かせて喜ぶ
自分とかがいるんだよね。
押し、だよ。で、その、押さないといけない、
心の片隅には、弱い部分があって、
その克服のためなんだよ。
だけど、もう40も過ぎてね、
そろそろ押さなくっても……
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ノリスケ |
(笑)
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つねさん |
もう、じゅうぶん押しがきく、と。
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ジョージ |
そう。なんか、ほっといても、
顔で押しがきいたりとかするように
なっちゃったし。
まわりの人たちが、押してくれてるんだよ、僕を。
だから僕は、引かないことには、
ポーンと押し出されて、
1人で前へ出るような感じになっちゃうから。
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つねさん |
そしたら、まわりの子は育たないし。
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ノリスケ |
だれもついて来なくなっちゃうね。
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ジョージ |
うん。洋服も、なんか、
エルメスを中心としたフレンチ・シックみたいな、
けっこう派手やかなものから、
ちょっとイタリア系に。
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つねさん |
ゼニアとか?
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ジョージ |
そう、黒が中心で。
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ノリスケ |
気分としては、労働着だね。
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ジョージ |
そう。っていうのに、なり始めると、
なんか、腕時計も、金色よりもこんな方が、
いいかなっ? っていう。
これは多分4、5年続くと思うよ。
でも5年ぐらいたったら、
もいっかい狂ったように買うかも。
それはそれで面白いかなー?と思って。
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つねさん |
いんじゃないの。
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ジョージ |
腕時計っていうのは、
男にとっての唯一のアクセサリーじゃない?
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ノリスケ |
そうよねえ、外見男だからねえ。
腕時計って、他の何にも……
結婚指輪をしない人でも、するから。
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つねさん |
するよね。
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ジョージ |
だからこそ、どゆのかなー?
自己表現をする? しかも、
他人に対して表現するだけでなくって、
時間を見るっていう日常的な行為のなかで、
絶えず確認をするわけでしょ?
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ノリスケ |
うん。
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ジョージ |
で、自分が決めた自分のイメージを、
自分で確認するものが腕時計だとしたら、
そこに価値も持てないっていうのは、
なんか、自分の生き方に、
ぜんぜん価値を持ってないって
感じがするんだよね。
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ノリスケ |
うん。
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ジョージ |
だから、女の人だったら、
自分がつきあってる男の子を
イメージ・チェンジさせたいっていうふうに、
ぜったい思うと思うんだよ。
で、イメージ・チェンジっていうと、
なんか知んないけど、こう、洋服を買ってみたり?
あるいは、男の子のワード・ローブを
勝手にいじって、自分が気に入らないのを
捨てさせてみたりとか、ね?
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ノリスケ |
(笑)。
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ジョージ |
で、ネクタイ、プレゼントしたりとか
するんだけど、そういうのって、なんか、
一瞬にしてほどけちゃうんだよ。
ネクタイ外したら終わりだし。
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ノリスケ |
うん、そうだね。
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ジョージ |
スーツ買ったって、
着たきりスズメになるわけにいかないし。
で、少々高くったって、ほんとに、
この人としばらくつき合っていこうと思ったら、
2人でもって相談して、
ちょっといい腕時計をね、
2人で、買ってみるとかね。
そういうプレゼントの仕方っていうのも、
面白いかな? と思うよ。
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ノリスケ |
なるほどね〜〜!
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つねさん |
勉強に、なりましたっ。
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ジョージ |
……それで、ちょっと話が変わるけど、
どういう時計を買うつもりだったの?
ノリスケくんは。
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ノリスケ |
それがねえ……
ぼく、欲しいものができると
そのことばっかり考えちゃうのね。
今回も、カタログや時計雑誌、
いっぱい見てたんだけど、
だんだんゲップが出てきちゃった……。
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つねさん |
あはは、わかる。
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ノリスケ |
カタログだけじゃなーって、
お店もいろいろ回って、
「試しにつけてみる」ということをしてみた結果、
がーん。ほしいものがはっきりしてしまいました。
とっても高い時計と、目が合っちゃったの。
それ以外はほしくない……。
すべてが色あせて見える……。
でもね、絶対に、買えないの、その時計は、
今の僕には。
もちろんお金もないんだけど、
もしあったとしても、
それを買う自分では、まだ、ないの。
悲しー。
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ジョージ |
そんなものよね。
良くわかる、その気持ち。
僕も20代の頃は、色んなモノをみて
店に行って身に付けてみたりして
それでも買う自信がなくて
カタログの写真をノートに貼って我慢してたよ。
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つねさん |
最初からお金があったわけじゃないのね。
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ジョージ |
ウン。僕の場合は
我慢の20代、
欲望の30代、
整理の40代…って具合になってたような気がする。
振りかえってみるとね。
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つねさん |
てことは、30代では買いまくりだったのね。
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ジョージ |
そうなの。30の時に、ある程度、
お金の自由が出来たりしたもんだから、
買った、買った、買った、買った。
もうげっぷが出るぐらい買ったよ。
凄かった。
店に行って2つ、3つ、みて、
どれにしよう、って迷ったら
取り敢えず買ってみる…とかって
買いかたしてたから。
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ノリスケ |
なにか、追われているみたい。
それか、なにかの免罪みたい。
満足した?
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ジョージ |
それがね、不思議なのが、
そうやって買っていくと
「自分の買える範囲のモノ」は
もう欲しくなくなってくるの。
例えば時計にしても、もう欲しいなって思える物は
100万円台の前半じゃなくて後半、
つまり四捨五入すると
1000万円の時計になってきちゃったの。
もうそうなると大変で、
スーツだって四捨五入で100万円台。
つまり「四捨五入で一桁上」の欲望になっちゃうのよ。
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ノリスケ |
ぎょえ〜〜〜〜!
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つねさん |
はー(溜息)。
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ジョージ |
その時、チョッと悩んだの。
どう悩んだか? って言うと、
「自分の好きな物も自由に買えない
自分が不憫だ、不自由だ」
って思っちゃうようになった。
自己嫌悪だよね。
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ノリスケ |
あーあ。
レベルが、凄すぎるわよ。
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ジョージ |
で、そんな繰り返しの中でこう思うようにしたの。
「自分の意識だけが
一クラス上に到達しただけなんだ」って。
そうすると楽になって、
「身のほど」の生活が楽しくなってきたよ。
そんなこんなで、
金無垢限定販売物ブランパンを棄て、
ステンレスツチールの
パテック・フィリップこんにちは、って
具合になったわけ。
だから、いま、とても、快適っ。
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ノリスケ |
その境地は、遠いわー。
目指してんのか、って言われても
わからないくらいだわ。
でもなあ、難しい、時計選ぶのって。
人生観を問われているような気がして。
とりあえず、その欲しい高い時計は
「とっとく」ことにするね。
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ジョージ |
そうするといいと思うよ。
でも、買える時にはもう
他の物が欲しくなってるんだけどね(笑)。
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つねさん |
ふえ〜〜。
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ノリスケ |
気分は仕切り直し!
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ジョージ |
そう、人生は、仕切り直しの連続よ。
そう言えばボクも、
最近、買いたいものが
向こうからやって来たんだけど、
チョッと高かったんで、未だに買えずにいる…
そんな経験をしたんだよ。
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ノリスケ |
それは何?
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ジョージ |
ふふふ。
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つねさん |
ふふふ、て! 言いなさい!
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ジョージ |
あのね…………バリ島のホテルっ。
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つねさん
&ノリスケ |
ほーてーるーーー!?!?
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ジョージ |
アマヌサと同じ設えでね、
ビラばっかり20棟なの。
全棟プール付き、敷地二万坪で6億円だって。
誰か買う人いないかなー。
買ってくれたらボクが
キッチリ管理してあげるのになー!
|
(……。このテーマはこれにておしまい!