ノリスケ |
こないだね、
美味しいお蕎麦屋さんに行ったの。そしたら、
えーと、娘が20代後半か30歳前半ぐらい?
と、その母親、ちょっとゴージャスな感じのがいたの。 |
ジョージ |
あー。 |
ノリスケ |
ですけど、2人とも、違う香水を、
たっぷりつけてた。蕎麦屋に!
やめてーっ! |
ジョージ |
香水の盛り合わせの状態なわけだ。 |
ノリスケ |
これは、きつかったなあ。 |
つねさん |
鼻にくるわけね? |
ノリスケ |
蕎麦屋だからね。
なんか、とってもオープン・エアで、
なんかこう、
ファーッと風が抜けるようなとこだったら
べつだけど。
だいたいレストランなんて、
閉まった場所だし、
ましてや蕎麦屋で、あの香水は、勘弁して欲しい。 |
ジョージ |
僕もテーブル変えてもらったこと、
何回もあるもんね。香水はひどいよ。 |
ノリスケ |
あれは暴力だ。 |
ジョージ |
暴力だよ。 |
ノリスケ |
暴力反対!
お出かけの時に香水をつけたい気持ちはわかるけど、
食べる場所だと、
生理的に「うーっ」ってなっちゃう。 |
つねさん |
そりゃそうだよ、逃げ場がないもん。 |
ノリスケ |
でしょう? で、その時間をさ、
ちょっとがんばったお金で買ってるわけだからさ、
とってもがっかりするよねー。
だから、あんまり、そういう、
主張しすぎる香水、やめてほしいな、
って、他の客として思う。 |
つねさん |
あー、たしかに。
それこそ、すぱすぱタバコもねー、
ちょっと、とは思う。 |
ノリスケ |
タバコねー。タバコ、吸ってもいいもの?
レストランで。 |
ジョージ |
んー、タバコは吸わないほうがいいね。
なんでタバコ吸うんだろう? |
ノリスケ |
わかんないんだけどさー。 |
つねさん |
僕は、吸ったことないから分かんない。 |
ノリスケ |
うちの彼は、タバコがないと、
ぜんぜんダメなんで、
レストラン入っても、
一皿ごとに吸う。
やめたほうがいいよ、って言うんだけど、
ダメみたいね。
いらいらされても、やだし。 |
ジョージ |
それは病気だね。
ニコチン中毒だから、仕方がないね。 |
ノリスケ |
そう、中毒だ。まあいいや、と思って。 |
ジョージ |
特に女性の場合には、
タバコに火をつけるという行為は、
その場が楽しくないから、
手持ちぶさたでタバコに逃げてるというふうに
見られてしまうの。
それこそ、ボーイ・フレンドかなんか、
僕がもし女の子とつきあうことがあったとしてね、
その女の子がタバコ吸い始めたら、首をくくるね。
ああ、自分の話はつまんなかったんだ。
今日連れてきたこの店も、
彼女はあんまり好きじゃなかったんだ、
ごめんなさいっ。て思っちゃうよ。 |
ノリスケ |
思うよ〜〜〜〜。 |
つねさん |
いやあ、でも、やっぱり、
そうじゃない子もいるよ。 |
ジョージ |
うん、だから、
そうじゃない女の子だったら、
つきあう意味はないわけだから、
ま、いいや、って思うね。
……あ、中華のお店は、いいんだよね。
マナーがあってないようなもんだから。
予約の電話をキッチリして、
ハンドバックとコートを預ければ、
あとはもう大丈夫。タバコ吸っても大丈夫だね。 |
ノリスケ |
でも、男の子の前で、お行儀わるく、
かつ、キュートにふるまう、っていうのは
とっても難しいから、やめたほうがいいと思うよ。
高度よ。
……でさ、そうだな、中華はおいといて、
イタリアンか、フレンチか、みたいなところだと、
コートを預けて席についたら、
まず、シャンパーニュはいかがですか?
みたいに訊かれない?
そっから、ドキドキしちゃうんだよね。
そのあたりから、教えて? |
つねさん |
あ、食前酒。
お水は出てこない? |
ジョージ |
んー、レストランで、まずいちばん最初に、
お水とメニューが出てくるところは、
ファミリー・レストランですっ。
だから、いいレストランでは、
最初には、お水もメニューも出てきません。 |
つねさん |
あ〜。 |
ジョージ |
やっぱり食前酒だよね、いちばん最初は。
どうしてる? 食前酒って。 |
ノリスケ |
もともとあんまり飲まないから、
グラスのシャンパーニュか、発泡酒系を頂くけど。
「グラスで」っていえば、
銘柄指定しなくていいことが多いし。 |
つねさん |
それか、何がありますか? って聞く。 |
ノリスケ |
聞いちゃうよね。分かんないから。 |
つねさん |
分かんないから、聞く、ぜんぶ。
っていうのは、ダメ? |
ジョージ |
いんじゃない?
食前酒はなんで飲むんだと思う? |
つねさん |
いや、おれ、酒、嫌いじゃないから。 |
ノリスケ |
なんでいきなり「おれ」なのよっ!
でも、あれね、食前酒って嬉しいよね。
さあ、来い、ご飯だよ、っていう、
なんかこう、華やいだ雰囲気出るから。 |
ジョージ |
僕、よく言うのがね、
あのー、テーブルの上って、
寂しいと、ほんとに寂しいわけじゃない? |
つねさん |
ああ。 |
ジョージ |
で、お料理頼んで、お料理出始めると、
テーブルの上はにぎやかになるよね。 |
つねさん |
にぎやかになる。 |
ジョージ |
で、食事しおわって、
デザートまで食べて
コーヒーしかないテーブルって、
テーブルの上は寂しいんだけど、
そんときには会話の華が咲いてて、
にぎやかだから寂しくないの。 |
ノリスケ |
うん。 |
ジョージ |
で、いちばん寂しいのは、
テーブルについて、
まだ料理も何にも頼んでなくて、
何にも出てないテーブルの状態なの。だから、
寂しいテーブルに花を咲かせてあげましょう、
という意味で、食前酒を頼むのよ。
だから、なるべく、
華やかなお酒を飲みましょう!
男の人はね、
シャンパンとシェリーを飲んどけば、
それでいんだよね。女の人は…………
華やかなお酒をおぼえておくといいよ。 |
つねさん |
べつに、あのー、花火が上がってる……
傘があるようなやつじゃないよね(笑)? |
ジョージ |
ちゃうちゃう。
華やかで、にぎやかな。
そのグラスが来ると、
テーブルの上に花が咲いたような。 |
ノリスケ |
どういうの? |
ジョージ |
色が奇麗な…… |
つねさん |
オレンジ……なんか…… |
ノリスケ |
でもいきなり、スクリュー・ドライバー下さい、
っていうわけには、いかないんじゃない?(笑) |
つねさん |
ワッハッハッハ。
なんか、あるじゃない?
あの、シャンパンをジュースかなんかで、割って? |
ジョージ |
うん、一番いいのはやっぱり、
カンパリ系だよね。 |
つねさん |
あ、カンパリ・オレンジとか? |
ジョージ |
スプモーニとか。で、そういうの。
これはねえ、カクテル・ブックかなんか、
買って、さらっと勉強しておくといいよ。
でも、いきなり、カクテル・バーでしか
注文しないような、
難しいのは頼んじゃダメよ。 |
ノリスケ |
「私のイメージで」(笑)。 |
つねさん |
ハッハッハッハッハ! |
ジョージ |
それは、やめて下さいっ(笑)。
この女は、今、同伴中なのか?
って思われるからね(笑)。 |
つねさん |
やっぱ、じゃあ、お酒飲めない人って、
たとえば、ノン・アルコールのとか?
ソーダ入りのなんかとか、
って頼んでいいのかな? |
ジョージ |
ガスの入ったお水を下さい。
ていうのが、いちばん、いいよ。
ただのお水を下さい、とは言わないように(笑)。
サン・ペリグリノとか、 |
つねさん |
ペリエとか。 |
ノリスケ |
うん、ミネラル・ウォーター、
美味しいの知ってると、
それはそれでかっこいいと思う! |
つねさん |
うち、ありません、ってなったら? |
ノリスケ |
それはないんじゃない? |
つねさん |
だから、いくつか知っとくべきだよね。
選択肢つくっといて。 |
ジョージ |
ああ、でも、うちは、ガス入りのお水も、
ミネラル・ウォーターも置いてません、
って言われたら、やったーっ、
タバコ吸い放題だ、と思えばいいよ。 |
ノリスケ |
ガラッパチに? |
ジョージ |
タバコ、吸え。もう、スープだって、
チュルチュルすすりながら、吸え(笑)。OK。
ああ、いやだ。そしたら、
おたくでいちばん安くって
腹ふくれるものって、なに?
って聞けばいいのよ(笑)。 |
ノリスケ |
エレガントにね。
ま、冗談はともかく、
次は、メニューよね。
これがまた、緊張するんだ…… |