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新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

生きていく私。その2
嫌いだけど得意なことと、
好きだけど得意じゃないこと

ノリスケ 自分のセールスポイント?
うーん。
つねさん 僕は、あるよ。
ジョージ タレントとかっていう人は、
自分が見つけたのか、
他人が見つけたのかも分からないけど、
売りものがある人たちだよね。
つねさん 恋愛だって同じだよ。
だって、やっぱり、
自分のいいところアピールしたいじゃん。
いいところから(アピールして)いきたい。
ただ、両方見せるけどね、本気のときは。
いい部分もあって、悪い部分もあって。
で、どうでしょう、僕は? って。
でも、悪い部分もあるけど、
僕は、もっとこういういい部分があるんですよ、
っていうふうに。
コミュニケーションとってるなかで、
言葉で喋ったりとかするよね。
ジョージ うん、そうだよね。
だからこの質問に「ある」って答えられない
ノリさんは、優等生的な人生なのよ。
ノリスケ 優等生?
つねさん 思ってるでしょう? ちょっと。
ノリスケ 恋愛に関して?
つねさん ううん。
ジョージ ちがう。
つねさん 人生において(笑)。
ジョージ たとえば、お仕事でも、ね。
つねさん そう。
ノリスケ んー?
つねさん いや、思ってる(笑)。
ジョージ 優等生的な自分が、
どういう面で得してると思う?
ノリスケ んんん? 分かんないぞ。
つねさん 僕も、でも、あるよ。
優等生っぽい自分っていうの、
あると思うしー。
あまり僕、そこらへんは自分でも
いいとは思わなかったりとかする。うん。
ま、理屈っぽいこと考えるときに、
自分の中でよく見える。
なんか、小利口っていうの?
お利口じゃなくって。
ジョージ 僕、この前、こんなこと考えたよ。
仕事していくうえにおいて、
生きていくうえにおいても、
得意なことと得意でないことってあるじゃない?
ノリスケ あるね。
ジョージ ねぇ? で、もう片方で、
好きなことと嫌いなことってあるじゃない?
ノリスケ うん。
ジョージ で、往々にして人間て、
嫌いなんだけど得意なことってない?
つねさん あ〜、あるね。
ノリスケ 嫌いなんだけど得意なこと?
ジョージ 自分で、できることならしたくないんだけど、
それをやらすと誰よりも上手、っていう。
ノリスケ ある。あるある。あるあるある。
ジョージ ね? で、案外それって、
ひとから評価されてるの。
ノリスケ そうなんだよ、ほんとうは好きじゃないことなのに、
自分がやるのがいちばんいい、
っていうことって、
評価されても、あまり……
ジョージ その部分が評価されればされるほど、
自分的にはイヤで仕方がないのよね。
ノリスケ うん、うん。
ジョージ で、もう片方には、
ものすごく好きなんだけど、
得意じゃないことってあるんだよ。
ノリスケ うん。
ジョージ で、得意じゃないから、
やったって、みんなにバカにされて、
らしくない、らしくない、って
言われるんだけど、ほんとはそれがしたいの。
ノリスケ うん。あるよ、もちろん。
ジョージ ね? で、幸せな人っていうのは、
自分が好きなことが得意で、
嫌いなことが不得意な人なの。
でも、この部分で認められる人って、
天才と呼ばれたり、あるいは、
あの人は恵まれてるね、って言われる。
つねさん 一握りだよね。
ジョージ ほんっとに一握り。
でも、僕たちは、そうじゃなくって、
嫌いだけど得意なことと、
好きだけど得意じゃないことの、間でもって、
悩んでるんだよ。
ノリスケ うん。
ジョージ そうすると、まわりの人が、
自分の得意な部分を見てくれてるのかな?
それとも、好きな部分を見てくれてるのかな?
って思わない? で、そやってやると、
ノリさんは、どうなのかな?
好きなことと、得意なことと。
ノリスケ うん。あのね、あのね、それね、
ずっとね、やだったのね。
自分が、出来ることをやれば評価されて、
それで、役割というかさ、
みんなから、ノリさんはこのためにいてくれて、
ほんとに助かるよ、って言われてることを
やっていくことを、ずっとやってきたわけ。
ジョージ うん。
ノリスケ でも、いまのボスがさ、
ノリさん、もう、やれることをやるんじゃなくて、
やれないことをやったほうが、面白いよ、
って言ってくれた。そっから考え出して、
そういうことを、やってるよ。
ジョージ うん。
ノリスケ だから今は、どっちかっていうと、
やれることはいつでもやるよ、
俺がやればいんでしょ? 早いよ、
っていうことは、売りになってる。
でも、それは、いつもそれだけを
やらなくていいようにもなってる。
ジョージ そうだよね。だから、
得意なことばっかりやってると、
身も蓋もない話になっちゃって。
ノリスケ うん。うん。
ジョージ いいの、それで? ほんとにいいのー?
そんなことで僕にそんだけの給料はらってるの?
っていう感じにはなるよね。
ノリスケ そうそう。だから、
できないことを一生懸命やってる時間が
無駄かもしれないんだけど、ある意味では。
あの、会社としては無駄かも知んないし、
時間の浪費なんだけど、
ただ、それやんないと、成長しない。
つねさん 伸びなくなるもんね。
ノリスケ 伸びない。ちっとも伸びない。
ジョージ それは多分、恋愛でも一緒なんだよ。
たとえば、ん−と、こういう人、いるよね。
人のことを思って、
その人のためになることを考えて、
してあげようとするのが好きなんだけど、
得意じゃない人。
表現方法がわからなくて、得意じゃない。
ノリスケ あ〜、ああ、ああ(笑)。
ジョージ だけど、他人のことを、
なんか、口汚くののしったり、
あるいは、わがままに振る舞って、
いろんなもの買ってもらったり
メシをおごってもらったりすることは、
そういう自分は嫌いで仕方がないんだけど、
ものすごく得意だっていう人。
ノリスケ (笑)。
ジョージ いると思うんだよ。
ノリスケ いる。うーん(笑)。
ジョージ で、いちばんいけないのは、
そういう、本来の自分と違う、
嫌いだけど得意な部分と、
ギャップがほんとは
あるはずなんだっていうことに、
気づかないで、10年20年30年、
ずーっと恋愛し続けると、
得意でいやらしい部分だけが残る、
変なお化けができあがるんだよ。
つねさん は〜。
ジョージ 絶対そうだと思うよ。
ノリスケ そうだね。
ジョージ で、僕らが、よく、
平気で友だちにイヤなこと言うじゃん?
ノリスケ うん。平気。
ジョージ それって、あ、こいつ、
ほんとはこういうこと好きでもないのに、
得意にしてるぞー、とかって思うの、
見つけると、言うじゃん?
つねさん うん。
ジョージ ほーんとにあんた、
甘え上手なんだからーっ、とかって、
憎まれ口、叩くじゃん?
ノリスケ うん。
ジョージ で、それってなんか、
いい人じゃなくって
ビッチとかって言われる部分なんだけど。
だけど、言ってる僕たちは、
言ってあげることによって、
その人が気がついてくれるといいわけだから。
つねさん 変わってくれたら。
ノリスケ 気がついてくれないと、
先々つき合えないし、と思うよね。
ジョージ うん、それと、んとー、彼は、
ほんとはその部分は好きじゃないんだから、
他人からどんなに悪く言われても、
そのことに傷つくことはないだろうな、
と思って、言うよね。
ノリスケ 確信があるよね。
つねさん あと、なんか、そう言えるのが
友だちっていう気はするよね。
だって、べつにそれ以上つき合おうと
思わなかったら、
言わなかったらいいわけだし。
ノリスケ 浅いつき合いだったり、ま、いっか、
と思うと、その人に言っても、
それはしょうがないし。
つねさん そそそそ。
ノリスケ 憎まれるだけじゃつまんないな、とは、
思ってやめることは、いっぱいあるよ。
つねさん だから、これ以上の関係を築きたいのか、
それとも、それでいいのか、とか。
ノリスケ 大事な人ほど、ちゃんと話すところは、
あるよね。
ジョージ で、また、逆に自分の立場になってみると、
イヤだけど得意な部分ばっかりで
評価してくれる人に対しては、
思いっきりイヤな人になってもいいかな?
と思うよ。
ノリスケ ハハハハハハ。そうね。
ジョージ で、一生懸命、その、得意じゃないんだけど
好きなことを努力して、頑張ってるところを、
後押ししてくれたり、
分かってくれたりする友だちに対しては、
いい人でいようかな? と思うしね。
なんかー、難しいけどね。
(つづきます)

2001-07-10-TUE

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