ジョージ |
でも今、ふと思ったけど、あれだね、
気高く生きていくっていうことは、
嫉妬の対象になるんだろうなと思うよ。
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ノリスケ |
ハハハハ。
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ジョージ |
たとえば、たとえばね、
海外旅行いくのに、
成田で飛行機乗るとするじゃない?
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ノリスケ |
うん。
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ジョージ |
と、山のようにいっぱい並んでる間を、
ファースト・クラスの人は、
お先にどうぞって言われるわけでしょう?
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ノリスケ |
うん。言われる。
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つねさん |
そうね。
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ジョージ |
で、そのことに関して、
人は嫉妬するかっていうと、
いいなーぐらいにしか思わないんだよね。
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ノリスケ |
うん。
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ジョージ |
でね、たとえば松田聖子みたいなイヤな女が、
あんたおどきなさいよ、って言いながら、
かき分けかき分け、
私はファースト・クラスなんだから、
エコノミー・クラスの人は、おどきーっ、
て歩いていったら、
反感をかってバカじゃないの?
って言われるけど、嫉妬はされないんだよね。
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ノリスケ |
うん、されないね。さげすまれるだけだよね。
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ジョージ |
でしょう。で、それをね、そーっと後ろの方から、
申し訳ございません、失礼いたします、
って言いながら?
で、自分で荷物を引きながら
ニコニコしながらにこやかに、
それでは御無礼致します、って
入っていくとするでしょう?
そうすると、見てる100人のうち
95人ぐらいは、
あー、お金持ちだけど素敵な人だー、
って思うだろうけど、5人ぐらいは、
なーにお金持ってんのに、あんなに腰が低くて、
すましてる、私たちのことさげすんでる、
いやだわ慇懃無礼で、って嫉妬されるんだよ。
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ノリスケ |
ハハハハ、難しい。
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ジョージ |
じゃあ、どちらの人生を選びますか?
あなたは。いやでいやで仕方がなくて、
自分に自信があるだろうけど、
自分は自分は、って自己主張ばっかりして、
バカにされるけど嫉妬されない人生がいいのか、
それとも自分を律して自分に厳しく、
でも他人には優しくしながら、
ほとんどの人からは素敵だと言われながらも、
一部の人からは強烈な反感と嫉妬を
食らってしまう厳しい人生と、どちらがいいの?
で、どっちの人生を選ぶかが……
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つねさん |
僕、中間かな?
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ジョージ |
あんたは、どっちも選ばなかったから、
いいのよ。
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つねさん |
あっそ(笑)。そうなの?
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ジョージ |
そう、中間ぐらいのね、
程よい人生がいいんだけどねー。
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つねさん |
ほんとはね、って?
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ジョージ |
でも、世の中、程よさってないからね。
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つねさん |
っていうか、気持ち的な部分でしょ。
金銭でなくっても、なんか。
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ジョージ |
ね。ああ、笑顔の似合うオカマになりたい。
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ノリスケ |
ハッハッハッハッハッ。
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ジョージ |
ねー? なんか、世界一気高いけど、
世界一腰の低いオカマって、素敵じゃない?
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ノリスケ |
(笑)いいよね。
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つねさん |
たまにいるよね、なんか。
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ジョージ |
エレカマ? エレガントおかま。
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ノリスケ |
たまに見かけることはあるけど、
周りにはあんまり。
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つねさん |
あ、○○○先生。
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ノリスケ |
実名出しちゃダメ!(笑)
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ジョージ |
実名が出ちゃった。でも、どうなんだろー?
ファーストクラスに限らないのよ。
たとえば、ものすごく繁盛してる
回転すしのお店行って、行列がいっぱいあって、
ほとんどファミリーなんだよ。
で、3人とか4人で来てて。
1時間待ち覚悟ですよって言われてんのに、
急に、「お客様の中で、
お2人のお客様がいらしたら、
今すぐ御案内できるんですけど」
って言われたときに、
誰にでもやってくるんだよ、
そういうチャンスって。
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ノリスケ |
うん、ああ、ああ。
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つねさん |
ああ、そうね。
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ジョージ |
んで、バサッて手を挙げて、
得した得したーっ、て言いながら、
デァーッ、早く行きましょー、
っていう人生もあれば、
申し訳ありませーん、なんか、
みなさんお待ちなのに、すいません、
すいません、って言いながら前に行くの。
で、それって、通常モードで考えれば、
誰にでも好かれる素敵な人なのに、
殺気立ってるババア? イヤッ!!
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ノリスケ |
それはイヤだね。
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ジョージ |
そう。もっと目立たないように行けばいい。
だから、正しく清らかに気高く、
生きるということは、
どこかにそねみを伴うもの。
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つねさん |
痛みを伴うのね。
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ジョージ |
でも、それは、たとえば、
有名税とおんなじようなもんです。
有名になることに伴う、のに
似たようなもんだよね。
すがすがしく気高くあることに伴う
痛みみたいなもんでさ。
だとしたらやっぱり、トレーニングして
負けない努力をするのが大切。
でも、ニコニコしてれば、
絶対いいことはあるよね。
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つねさん |
そうだね。俺、けっこうニコニコ系だから。
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ノリスケ |
ニコニコしてれば、いいことがある、
そうだよね。
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つねさん |
だって、やっぱり、
苦虫かみつぶしたようなねー? 顔しては、
生活したくないもの。
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ノリスケ |
うん、ここ(眉間)に険のある顔は、やだね。
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つねさん |
ほんとにね、ギスギスしちゃうんだよ、気持ちも。
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ノリスケ |
般若みたいな顔してる人いるものね。
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つねさん |
この人って、いい人生送ってないんだろうな、
って思ってしまうよ。
ほんとはちがうかも知んないけどね。
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ジョージ |
んー、たぶんね、色んなことに
「羨ましい」があるんだよ。
羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい、
って思いながら。
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ノリスケ |
そういうのが私なんだから、って
開き直っているように見えるひともいる。
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ジョージ |
あ〜。
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つねさん |
あ、そういう「羨む」の私、っていうこと?
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ノリスケ |
うーん、そういう消化の仕方を
しているように見えた。
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ジョージ |
あと、「どうせ」っていうのがあるよね。
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つねさん |
あ〜。
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ジョージ |
「どうせ」っていう、口癖の人。
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つねさん |
「どうせ」とか「しょせん」とか。
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ジョージ |
どうせ私は。
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ノリスケ |
うん。
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ジョージ |
そうなんだよねー。
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つねさん |
でもね、そういう人に限ってね、
自分を下に見せて、
ほんとは下って思ってないんだよ。
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ジョージ |
自分を下に見せてるけど、
それより下の人たちの上に
君臨してるんだよね。
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つねさん |
そうそうそう。で、下に見せてるのに、
「どうせ」の私に、
あんたは負けてるでしょ? フフッて、
思ってしまったりとかする、
変な優越感があったりとかするんだよね。
でも、ああいうの、「どうせ」とかって、
口癖ってなおせるよね。努めたら。
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ノリスケ |
口癖は、なおせるよ。
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つねさん |
うん。それだけでも、
ぜんぜん変わってくよね。
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ジョージ |
心の持ち方だよね。
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つねさん |
うん。
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ジョージ |
たとえば、
どうせオカマなんだからっ、て言うのか、
だってオカマなんだもんっ、て言うのか。
ちょっとした違いだけど、すごい違うもん。
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(つづきます)