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新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

カミングアウト。その1
ヰタ・セクスアリス

ノリスケ ふたりとも、自覚っていうか、
覚悟を決めるのは、早かった?
僕は二十代半ばくらいまで、
自分がゲイだってこと、
ちゃんと考えようとすると、
頭から水をパーッと浴びせられたみたいな
気持ちになってた。
つねさん あ、そう?
ノリスケ 考えられなかったよ、
ずいぶん、長いこと。
ジョージ それじゃ、自分の中でも悩みがあったの?
つねさん そういうことに関して?
ノリスケ うーん、悩んだのは、親に関して。
つねさん でも、それは自分に対しても、
なわけでしょ?
ノリスケ 自分に対しても、なんだけど、
自分はそれでいいと思っているんだけど、
それが、親をどんなに悲しませることになるかな?
みたいなことを考え始めちゃうと、
なんだか辛いばっかりになって、
真っ暗な気持ちになった。
ジョージ ん〜。
ノリスケ でもね、働きだしてね、
だんだんそういうのなくなった。
どこかでうまく解決した、
ってわけじゃないんだけど。
ジョージ 僕はぜーんぜん悩まなかったな。
つねさん 俺も、まったく。
ノリスケ ほんと? そうなのかー。
つねさん ただ、僕、面白かったのかどうか、
自分の中でわからないんだけど、
男の人って、
恋愛の対象じゃなかったんだよ、ずっと。
ノリスケ 性の対象でしかなかったの?
つねさん うん。だから、恋愛は女の子と、
て思ってたの。
けっこう好きになった女の子とかいたし。
ただ、好きの先に何があるのか? っていうと、
なかったの。
結婚とかも、考えたことあったのかな?
よく分かんない。ぜんぜん無自覚だった。
あの、無自覚っていうか、
なし崩し的にここまできちゃった、
ってところはあるよ。
ジョージ んー。僕は、んー、僕は気がついたら……
つねさん やっちゃってた?(笑)
ジョージ 男の人に、可愛い、可愛い、
って言われてたから、
僕って可愛いんだ、って!
つねさん なーにーそーれー?
ノリスケ ……じつは僕もそれは言われてた。
つねさん 俺、ぜんぜーん。
ジョージ でね、もてたんだよ、すっごい。
男にももてたし、女にももてたんだけど、
女にもててもつまんないんだよね。
ノリスケ うん、ああ、そうだよね。
ジョージ 男と女の恋愛って、同年代の恋愛だから、
もし、もし僕がちっちゃい頃に、
たとえば、ものすごい人生経験豊富な、
中年のおばさんかなんかに誘われてて……
つねさん あの『個人授業』の世界?
ジョージ そう。可愛い、可愛いって言われてたら、
もしかしたらホモになってないかも知んない!
つねさん ああ、そう?(笑)
ノリスケ ハハハハハ。
そういうもんでもないんじゃない?
ジョージ ん、でも、
「素敵、つき合って、可愛い」
とかって言ってくれる女の子は、
みんな同級生でしょう?
ノリスケ あー、そうか。
ジョージ これ、つまんないんだよね。
だけど、オジサンたちとつきあってると、
いろんなこと教えてくれるんだよ。
だから楽しかった。
ノリスケ んー。それでホモになったのね。
……ちょっと違うような気もするけどね。
選ぶ、ていうもんでもなくなくない?
ジョージ あと、憧れるのも男の人でしょう?
ノリスケ 憧れるのは、そうだったね。
性的にもそうだった。
ジョージ こんときに女の子に憧れてたら、
女装になるんだろうけどね。
ノリスケ そっかー、奇麗! とか?
ジョージ でも、ぜんぜん女に憧れたことないから。
つねさん あ〜、ないね。
ノリスケ ないね。でも、
キャンディーズ好きだったよ(笑)。
つねさん 僕、アグネス・チャン好きだったよ。
ジョージ ピンク・レディー好きだったよ。
ノリスケ 世代が……(笑)。
それは、また別なんだよね。
ジョージ ピンク・レディーの初期は、
ぜんぶ踊れるもん。
つねさん すごい(笑)。でも、それって、
男の人がアイドル好きなのと
変わんないじゃん?
ジョージ でも、男の人はアイドルが好きで、
しかもそれで抜くんだよ。
ノリスケ そうだよ、
「いただきます」の世界じゃない?(笑)
ジョージ 僕は抜かないもんっ。
だから、僕らのアイドルへの接し方のほうが
正しいの。性の対象じゃなく、憧れるんだよ。
ノリスケ そうだね。
つねさん 僕でも、原田知代とデートする夢、
見たことあるよ。
ジョージ デートして、何した?
つねさん スケート行った。
ノリスケ ハハハハハハッ。
ジョージ そう。他には?
つねさん 林の中、手つないで歩いた。
ジョージ 他には?
つねさん それだけ。
ジョージ ほら。
ノリスケ でも、手はつないだんだね。
つねさん 手つないだ、つないだ。
ジョージ バチ当たったと思うよ、それで。
ノリスケ あのさ、話がかわるけど、
僕、マゾっ気あったのかな?
性的興奮を最初に感じたのって……
つねさん あ、僕はね僕はね僕はね……(笑)。
ジョージ なに?
ノリスケ ヰタ・セクスアリス!
最初に性的な興奮を、何で催したか、
っていうのを憶えてるってことでしょ?
つねさん 僕ね、正義のヒーローやられるの見るの、
すごい好きだった。
ノリスケ あっ! いっしょだ(笑)!
うわ〜。
つねさん ハッハッハッハッハッ!!
こんなところで共通点が。
ノリスケ 僕ね、仮面ライダーが改造されるところ。
つねさん あ、僕、仮面ライダーがね、
閉じこめられてね変身できなくって、
どうしようかーっ、ってところ!
あと、弱いウルトラマンとか。
ノリスケ こんなところで気が合ってしまった……。
なんか、悲しい。
つねさん やだ、俺(笑)。
ノリスケ 言いようがないんだよねえ。
性欲だとは、わからないんだけど、
ムラムラするのを覚えた。
でもまあ、……そのまま
オタクにならないで良かったね。
つねさん オタクだったけどさ(笑)。
ジョージ 僕、何だろう?
言いようがないムラムラを覚えたときには、
もう乗っかってたかも知んなーい。
わかんなーい。
ノリスケ ……。
もっと現実的なこと言うと、
すべり台で、前を登る男の子の足とか。
つねさん は〜。
ノリスケ 誰か、じゃない。
ジョージ 僕は、ブリーフ。
ノリスケ ブリーフ???
(つづきまーす)

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2001-08-02-THU

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