つねさん |
僕、でも、いなかにいたときに、
カミングアウトしてなかったけど、
一時期一緒に住んでたことがある人がいて。
で、そいつがすごい、
喋り方とか仕草に出る人だったんだよ。
だから一緒にいる僕も
「そうでしょ?」って認知されちゃってた。
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ジョージ |
ベタベタな喋り方とか
女っぽい仕草をしなくっても、
そうじゃないかと思ってた、っていう人は、
いっぱいいる。
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つねさん |
僕、1回、初対面の女の子に、
僕の相方のこと知ってた子なんだけど、
「つねさんってもしかして、そうなんですか?」
って訊かれたことある。
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ノリスケ |
ズバリ(笑)。
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つねさん |
ズバリ言われて。
そしたら、横にいた女の子が、
「だーめよ、ほんとにそうだとしても、
面と向かって言っちゃダメ」
とかって(笑)
変な弁解の仕方してさ。あ〜。
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ジョージ |
で、どうしたの? そのとき。
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つねさん |
いや、濁した。
僕、基本的にカミングアウトはイヤなんで。
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ジョージ |
あ〜。
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ノリスケ |
ふーん。
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つねさん |
あ、相手を選んで、
一部の友だちには、してるよ。
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ノリスケ |
友だちへのカミングアウト。
少しづつだなー。
少しづつ、この人にはしといたほうが、
この先の人生、ずっとつきあっていきたいと
思ったら、言いたいよね。
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つねさん |
うん、あの、関係が、
しても変わんないんだったら。
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ノリスケ |
さっきの、好きな二人のことは、
迷ったよ。結局していないんだけど、
占い師に聞いたこともある。
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つねさん |
そしたら?
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ノリスケ |
ひとりは、すぐに受け入れて、
それがどうしたの、って理解してくれるけど、
もうひとりのほうは、
すぐに理解できなくて、
かえって悩ませちゃうって。
結局、言ってない。
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ジョージ |
別に、別にねー、
しなくてもいんだろうけどね。
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つねさん |
そうそうそう。
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ノリスケ |
しなくてもいんだろうけどね。
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ジョージ |
するのが趣味の人もいるんだよ。
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つねさん |
あ、いる。
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ノリスケ |
いる。
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つねさん |
あの、僕、なんか、若い子で、
某所で知りあった子が、女の子と話してんの。
もう、カミングアウトしまくってるんだよ、
初対面の子に。で、えーっ? と思ったら、
だって僕、自分のことカミングアウトしないと、
自分に嘘つくのイヤなんですよー、って。
で、カミングアウトしない自分っていうの、
半分以上、自分を出してないんで、
そういうのすごいイヤだから、
僕はちゃんと言うんです、って。
それ、ちゃんとかどうか、
ようわからへんねんけどな、みたいな。
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ジョージ |
そういうのってさ、たとえば、
ノンケで女装癖のあるオヤジが、
だれかれかまわず、
僕は女装が好きなんですよ、って言わないと、
自分の全てをさらけ出してなくって、
気持ちが悪いっていうのといっしょなんだよね。
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ノリスケ |
アハハハハ。変な話だよね。
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つねさん |
ねぇ。僕はマゾだから、
縛られてロウソク垂らされるのが好きなんですよ、
そういう僕を知ってください、って
言って歩く人なんて、いないわけじゃん。
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ノリスケ |
就職活動でも言わないよね。
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ジョージ |
そー。
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ノリスケ |
なんか、それ、プチ・リブだよね。
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つねさん |
そういうふうに、聞きたくもないのに
聞かされちゃうのって、
暴力だもん。
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ノリスケ |
そうだよね。
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ジョージ |
だって、たとえばさ、
僕が誰かといっしょにいて、
メシ食ってて、飲んでて。
で、そいつが急に、
僕、ゲイなんですよ、とかって、
周りの人に言い始めたら、
そいつといっしょに行ってる
僕の立場はどうなの? って。
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つねさん |
あるある。
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ジョージ |
僕もそうだと言わなきゃいけないの?
って思う。
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つねさん |
そう、だから、前にさ、
変な女に引っ掛かったって言ってたじゃん?
そしたら、僕、ノンケの友だちと3人で
ふつうの飲み屋で飲んでたの。
同じ店で、その女が4人で飲んでたんだよ。
で、僕ちょっと用事があって抜けたの、数時間。
そしたら、その間に飲み屋で、
女が、私ゲイの人、すごい好きなんですよー、
つねさん、好きなんですよー、
とかって言ったんだって。
そしたら、その飲み屋のマスターが、
え? じゃあ、つねさんってそうなの? って。
うちの友だちが、2人でフォローしまくって。
そんなことない、そんなことない、とかって。
あれは辛かった。
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ジョージ |
うん、そうだね。あと、けっこうね、
これは僕らも、僕らっていうか、
だれでもしちゃうことなのかな? と思うけど、
何気なく言った一言で、
いたく傷つくことってあるよね。
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ノリスケ |
あるよー。
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ジョージ |
フツーの女の子からさ、
なんかオカマっぽーい、とかって言われると、
あ〜、オカマっぽいんじゃなくって
オカマなのにー、とかって思うことあるよ。
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つねさん |
ウハハハハ。
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ノリスケ |
人から言われるのって、
やっぱり困るね。
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ジョージ |
イヤだね。
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ノリスケ |
こないだ、会社で、同僚に
「わたしの知ってる二丁目のひとは
ノリさんだけだし!」
って、知らない人がいるときに言われてさ、
あわわわわわわ、ってなった。
ま、いいけど(笑)。
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ジョージ |
素敵ーっ。
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ノリスケ |
おいー、と思って。おいー。
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ジョージ |
素敵。
でもさ、ほら、つねさんがカミングアウトして
仕事してる○○○社があるじゃない?
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ノリスケ |
あそこの仕事は僕もしてる。
僕もカミングアウトしてるよ。
ていうか、最初からそういう人という扱いで。
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ジョージ |
ちょっ、ちょっ、そのことに関して、ね?
いいよ、2人とも、
その独自のポジションがあるから、いいよ。
だけど、僕の場合はさ、
僕のポジションって何かって言うと……
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つねさん |
ワッハッハッハッハ!
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ノリスケ |
わかった! アハハハハハ!
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ジョージ |
「つねさんの彼氏」っていうポジションなんだよ?
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つねさん |
いや、まだ、あーーーっ。うん。
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ジョージ |
こっれはさ、これは、すごいポジションだよ。
でも、けっこう嬉しいの。
何でかって言うと、世の中には、
有名人の奥さんっていうのを
職業にしてる人いっぱいいるわけじゃん? ね?
で、世間に出るのに、
誰々夫人っていう出方しか、
ミセスっていうのはそういうことでしょ?
ミスターズ(Mrs.)だから。
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つねさん |
そうね。
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ジョージ |
で、ワシね、もう、○○○社のなかでは……
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つねさん |
ミセスなのね。
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ジョージ |
こういう認知の仕方が、あったのね、
って思って。すっごい嬉しいのよん。
こないだ、飲み会に出たら、
あそこの女性上司、
ボクを
「みんなーっ、
つねさんの、彼氏よ〜〜!」
って紹介するのよ。
僕もしょうがないから
「いつもつねさんがお世話になってますー」
っとかって、これってまるで、
うちの主人がお世話になってますって
感じじゃない? うふふ(うれしそう)。
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つねさん |
うるせー。
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ジョージ |
ねっ? けっこう、けっこう楽しい。
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ノリスケ |
ま、覚悟ができてるから楽しいんであって。
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つねさん |
っていうか、この人、会社の経営者、
っていう別の顔があるから楽しいんだよ。
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ノリスケ |
そうなんだよ、それだけだったら辛いし、
ケンカの原因になるかも知んないし。
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つねさん |
そうね。そう。
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ジョージ |
これは面白いよ。
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ノリスケ |
ねー、もう、しょうがないね、
そういう場所だとね。
でも、たとえば宴会の席でさ、
そういうふうに扱われたとするじゃない?
そうするとさ、困るけど、
それはそうだよって、開き直って応対しないと
格好悪いからやっちゃったりするじゃん?
そすると「いいのノリさん、私分かってるから、
ぜんぜん恥ずかしいことじゃないからねっ!」
とかって笑顔で言われちゃうともう、
またもうめんどくさいなと思って(笑)……
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ジョージ |
なんも恥ずかしいなんて思ってないんだし、って。
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(いろいろたいへんなのねー。つづきます)