ジョージ |
ベッドの中でね、
泣いて落とす、っていう子がいるのよ。
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ノリスケ |
ベッドの中に入った状態にまで、
もってってから?
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ジョージ |
そう。
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つねさん |
あ、そうなの? つまり……
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ジョージ |
ことに及ぶじゃない?
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ノリスケ |
うん、それは、まあ。
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ジョージ |
甘く、激しく。ね?
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ノリスケ |
うん。
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ジョージ |
そうするとね、急に、
「ウッ……」とかって。
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ノリスケ |
吐くの?
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つねさん |
泣くのよっ!
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ノリスケ |
わかってるわよっ!
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ジョージ |
で、「どうしたの?」って言ったら……
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ノリスケ |
言ったら?
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ジョージ |
「幸せだから」。
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ノリスケ |
ぎゃ〜〜〜〜っ! ほんとに?
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ジョージ |
言うんだよー。
「僕、今まで、あんまり幸せじゃなかったんだ」
とかって言うの。おいおいおい。
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つねさん |
どはー。
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ジョージ |
それがね……ちょっとはまっちゃたのね。
だってさ、そんな状況で、そんなこと言われたら、
かわいいな〜、って思いながら、
はまっちゃうわけよ。
でもね、いざ深くつき合ってみると、
どーも違うぞっ!? ってなるの。
で、こいつの中に涙が流れるっていう回路は、
絶対ないはずだ、って思うんだよね。
で、思いながら、その子のことを、
別のお友だちと話してたの。
「最近、あいつとちょっと、
つき合おうかな? と思ってるんだよ」
って言ったら、いきなり、
「泣いた?」って言われたの。
「えっ? なに、それ?」
「泣いたでしょう?」
「うん」
「やってる最中じゃなかった?」
って言われて。
「おえっ!? なんで知ってんの」
「僕のときもそうだったよ」って。
「それ、有名だよ」とかって。
きゃ〜っ! すっげ〜〜っ、て感じ。
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ノリスケ |
それは、すごいわ。
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つねさん |
でも、幸せな人だね、
なんかね、自己完結が(笑)。
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ジョージ |
でも、そんな安い涙にだまされた私っていうのは、
情けないよね。
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つねさん |
いや、安い涙って、わかんないんだよ、
けっこう。その安さって。
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ジョージ |
あー、そっかー。
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つねさん |
その時には。
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ノリスケ |
わかんないよね。
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つねさん |
わかんない、わかんない。
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ノリスケ |
一対一だし。なにしろ。
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つねさん |
そうそうそう。
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ノリスケ |
ましてや、
そんなシチュエーションじゃあさあ。
ねえ?(笑)
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つねさん |
絶妙のタイミングだったんでしょう?
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ジョージ |
いや、それがねえ、そう、
クリクリした目から、ボロッとねぇ……
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ノリスケ |
そういう生存の方法を
身につけてるんだろうね(笑)。
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ジョージ |
そうそう。ボロッ。
で、僕、てっきり年下だと思ったら、
年上だったんだよー!
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ノリスケ |
ハハハハハハッ。
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ジョージ |
年上なの。しかも結婚してて、
子どもまでいるのー。
特殊技能だよね。
むおう、ほんっとに、
いろんな涙ってあるなー、って思うよー。
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つねさん |
三角関係になって、
元彼が来たからって帰んなきゃいけなくって、
車ん中で泣いたことがあるの。
これは絶対もう、俺の方に
向いてくれるに違いないって思ったのに、
だめだった。涙って安かったのね、って(笑)。
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ジョージ |
ま、悦に入ってる涙は、安いのよ。
でも、大の男の涙は、いいわよお。
むかぁーし、視察旅行で、
経営者のお父さんたちを連れて
エコノミー・クラスで安い旅行、っていうのを
したことがあるのね。10人ぐらい。
だからひとかたまりに並んで
「炎のランナー」観てたんだよ。
僕、後ろの方にいてね、それを見てたの。
その、おじさんばっかりなわけじゃない?
経営者だよ? みんなね。
立派な会社の経営者、の、
肩が震え始めるんだよ。
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ノリスケ |
おー。
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ジョージ |
あ〜、泣いてるんだー、って(笑)。
でもなんか、自分も泣きそう?
ん〜〜、どうしよっかなー? って思ったときに、
ちょっとトイレ行きたくなって、
前歩きながら、見たら、みんな、
デァーッて泣いてんの。
あ〜、い〜ぞ〜、って思うよね、
そういうのって(笑)。
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ノリスケ |
ハハハハハッ、それいいな。素敵。
そんな大の男が固まって
泣いてる風景、お金払っても見れないわ!
大人の男で、泣く機会って……
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ジョージ |
僕、酔っぱらって、けっこう泣くよ。
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ノリスケ |
あなたが大の男かどうかは……
ま、経営者としてのあなたはね。
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ジョージ |
クラブとか、行くじゃない? ねえ?
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ノリスケ |
クラブって、ねえちゃんがいるほうの? 仕事で?
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ジョージ |
そうそうそう。それで、その、
お客さんなんかと、一緒に飲んで大騒ぎして。
嬉しいの、なんか。
しかも、変なシチュエーションじゃない?
オカマの私が、おねえちゃんのいるクラブで、
おねえちゃんに肩まわして、
お触りするまではいかないけど、
なんか、酒飲みながら、超盛り上がりって……。
一緒に行ってるお客さんなんかは、
僕がゲイだってこと知ってるのよ。
だから、僕が居させてもらってるの。
それがとってもうれしくてね、
も、それでね、なんかね、泣けちゃうの。
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ノリスケ |
むむむ……(笑)で、泣くの?
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ジョージ |
ウォーーーッ!! とかって、
泣いちゃうのよ。
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ノリスケ |
それ、おねえちゃんのいる
クラブで泣いちゃうの?
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ジョージ |
そ!
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ノリスケ |
それは……(笑)どう思われるの?
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ジョージ |
おねえちゃんなんかは、
いいわーっ、男の友情!
とかって言うのね。
仲間と一緒に、飲んで、
素直に泣ける、この人はすごいって、
わたしの男が上がるのよ。
ほんとはオカマが上がってるんだけど(笑)、
男が上がるのっ。
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つねさん |
いいや〜(笑)
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ジョージ |
んで、そん次から行くと、
男気のあるオカマじゃないんだけど、
男気のある男、みたいなかんじで。
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ノリスケ |
そういうの……ない。
その状況におかれて泣くか? っていったら、
泣かないよね、きっとね。
それは、自分のビジネスで
なってるからじゃないの?
あるいは、男の世界に
すごい憧れがあるとか?
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ジョージ |
うん、男の世界で、
ああやって号泣するっていうのは、
すごい素敵かな? って思うよ。
「俺たちの朝」的世界?
夕日に向ってランニングできる世界の、
どゆのかな? それこそあれだよ、
普通のサラリーマンにしても経営者にしても
幹部社員にしても、
社会で生きてるっていうことは、
戦後のどさくさ生きているのと
似たようなもんだよね。
どこにも味方がなくって、
みんな敵だと思わないといけないようなとこで、
一生懸命頑張ってる人たちが、
たまたま一晩、なんか、あの、
鎧を下ろして? 裸になって。
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つねさん |
休戦しましょう。
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ジョージ |
そう。呑みました、
あ゛ーっ、ていうのは、
ある世界だと思うなー。
それはね、絶対ね、二丁目にはないのよ。
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ノリスケ |
ないよね。
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ジョージ |
二丁目にはないよー。
だって、二丁目で泣いてるの、
ウソ泣きばっかりだもん。
それこそ、
武器で泣いてるような女ばっかりだよね。
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つねさん |
そうね。
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ジョージ |
別れて捨てられましたーっ。
悲しいんだったら家で泣けば?
って思うんだけど、
家に帰っても泣かないような子が、
泣いている自分を人に見せるために飲み屋に来て、
べーべーべーべー泣きながら、
特にタイプの男が横に座ったりなんかすると、
よけい泣くの。あんたの涙は営業よ、みたいな。
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つねさん |
2・3人、顔が浮かんだんですけど。
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ジョージ |
でしょう? 浮かぶでしょう?
2・3人浮かんだってことは、
ゴキブリといっしょで200人ぐらいいます。
ほんっと、ああいうのだけは見苦しいから、
ぜーったいやっちゃダメよ。
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(気をつけます。つづきます)