ノリスケ |
男の涙、男社会の中で、うまく使ったら
出世しちゃうのかしら???
使えそうな気もするくらいだけど(笑)。
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ジョージ |
涙? それは難しいわね。
たとえばね、たとえばね、
女が職場で泣いたとするじゃない?
クビだよ? クビ。ぜーったい。
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つねさん |
え、だから……
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ジョージ |
もうね、社会に出てね、泣いちゃダメ。
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つねさん |
そう?
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ジョージ |
とくにね、仕事の現場で泣いちゃダメ。
なんで泣くの? 仕事の現場で。
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つねさん |
あらやだ怖い。
いや、現場じゃなくって、
その、打ち上げなりなんなりの?
達成感とか、そういうところで、とかさ。
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ジョージ |
あ、泣くっていうのは、
僕のほうの男泣きなわけね。
二丁目じゃなくって。武器じゃなくて。
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つねさん |
うん、そうそうそう。
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ノリスケ |
そうそうそう。
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ジョージ |
二丁目の泣きは、ぜったいダメだよ。
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つねさん |
いや、あんなん、しちゃダメじゃん。
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ジョージ |
でも、女の子でやるの、いるからね。
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ノリスケ |
会社で?
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つねさん |
泣かされたんですぅ〜、とかって泣くの?
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ジョージ |
仕事ができませぇんっ、て泣く。
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ノリスケ |
あ、そういうのは、だめ。
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つねさん |
それは、どつくか辞めさすか。
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ジョージ |
いるよー、勘違いしてる子いるよ。
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ノリスケ |
与えられた仕事と、自分ができない実力の
ギャップをすごく感じて、
悔しくってトイレにこもって、
ひと泣きする、みたいなのは、
あるだろうけどね。
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つねさん |
それは、あり。
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ジョージ |
それこそ、与えられた仕事ができないからって、
泣いてなんの解決にもならないんだから、
泣いちゃダメ。僕はね、歯を食いしばる。
グーッ、てやって、一生懸命がんばる。
ただ、ものすごくいい仕事ができたときに、
打ち上げのひとつでもやってやろう、
っていったときに、結構です、って言ったら、
かわいげのないヤツ、ってなるよね。
も、せっかく、なんか、
仲間として認めあって、
輪の中に入れると思ったのに、なんで?
って思うかも知んないよね。
で、そんときに、
じゃ、よろしくお願いしますっ、
私、できて嬉しかったでーすっ、
とかって泣いたら、その涙は武器になるの。
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ノリスケ |
そうそう。
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ジョージ |
あ〜ん、嬉しかったですぅ〜、
とかって言ったらね、
いいぞー、この女ー、って思うよね。
オカマって、下手だけどね、そういうのね。
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ノリスケ |
そうなのよ。
言いたいことがあって、
それを一生懸命言おうとすると
涙が出ちゃう、みたいな涙もろさがあったり。
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つねさん |
やっぱりさ、
たとえば気持ちが高ぶってるときって、
自分の中の気持ち整理できないんだよ。
で、そういうときに逆に泣くこともあるけど、
逆に、なんか、ほんとうは泣くような
シチュエーションだったのに、
泣けなくって、
後で反芻してみたらすっごい悔しい、
涙出てきた、くっそー、
みたいなのって、あるけど。
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ジョージ |
うん。あの、大人として格好いい
涙の流し方とかっていうのができるといいな、
と思うよね。
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ノリスケ |
うん。
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ジョージ |
子供って泣くじゃん? びーびーびーびー。
で、子供の泣くのって、
我慢ができないから泣いたり、
自分の意見が通らないから泣いたりするでしょう?
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つねさん |
垂れ流しでしょう? あんた泣いてたらしいわね。
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ジョージ |
もおっ! もう。
そうなの、歩道で仰向けになって、
アアーーッていいながら、泣いてたから。
で、たまに御機嫌よく、
商店街の端から端まで歩いて帰ってくると、
あらっ? 駄々はこねないのかいっ?
て言われるくらい有名だったの。
でも今は、オトナだから、
そういうふうには、泣きませんっ。
そういうのは、やめなきゃダメ!
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つねさん |
ハッハッハッハッ!
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ノリスケ |
大人になったらね。
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ジョージ |
大人だから。大人になってからは、
駄々こねないもの。だってー、こねないよ。
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ノリスケ |
泣いたって、ねえ?
しょうがない、ってわかるからね(笑)。
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ジョージ |
そうだよ。
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ノリスケ |
泣いて解決するならどんなに楽か(笑)。
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ジョージ |
ねね、女の人が泣いてて、
素敵だな、って思うことある?
僕、隠れ悔し涙の似合う女って、
好きかもしんないな。
仕事のことで叱られたりとかして、
けっこう叱るの、女でも。
うちの会社。ビシッとかって。
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ノリスケ |
うん。
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ジョージ |
そうするとね、なんかね、
顔が真っ赤になるんだよ。
耳たぶまで真っ赤になるんだけど、
フラッと外出るんだよね。
トイレかなんか行ってるのかも
知んないんだけどね。
でね、帰ってきたらね、
目のまわりが赤いんだよ。
どこかで泣いてきたのね。
あー、こいつー、とかって思うんだけどね、
そういうのはね、いいなと思うよね。
頑張れー、とかって思うよ。
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つねさん |
思う!
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ジョージ |
だって、あの、歯食いしばって、
目の下に、下まぶたの上に、涙ためてね、
斜め上を見てね、
落とさないように我慢してる女とかね、
いいなーっ、と思うよ。
仕事の場合だったら、それはいいと思う。
すごくいいと思う。
その目線の先に、男が住んでるマンションの、
窓かなんかがあったら、こわいかな?
って思うけどね。
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つねさん |
でも、あれだね、ひとそれぞれ、
似合う涙っていうのがあるんだろうね。
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ノリスケ |
微妙に違うんだろうね。うん。
……ベソかくっていうのは?
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ジョージ |
ベソ。ベソっていうのは、どういうんだ?
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ノリスケ |
このあいだ、部屋の掃除がぜんぜんできなくて、
どーしようもなくなって(笑)。
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ジョージ |
それ、途方に暮れたってやつ?
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ノリスケ |
そう。しかも、睡眠時間毎日3時間が、
1週間くらい続いてて。
それで、かたずけ始めちゃったもんだから、
もう、終わんなくて。ベソかいた(笑)。
ひ〜ん、だって。
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ジョージ |
あ〜。
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つねさん |
ということは、情けない(笑)。
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ジョージ |
あ〜。
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ノリスケ |
情けない(笑)。もう、どうしようもない。
雑誌とホコリの山の中で
こんなことで泣いている、三十代の男、
みたいな。どうかと思うんだよ。
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つねさん |
ハハハハハッ!
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ジョージ |
男6・7人いて、ダブル・ブッキングに次ぐ
ダブル・ブッキングで、
どれをどういうふうに、
いつ会ってどういうふうにしようか、
わかんなくなって途方に暮れてベソをかく、
っていうのは、あった、むかし。
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ノリスケ |
あんたって……
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つねさん |
でも、6・7人ぐらいって、
こなせるんじゃないの? 違うの?
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ノリスケ |
あんたもか!
おそろしい、ああ、おそろしい。
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ジョージ |
だって、心をこめたら、
こなせなくなるもん。
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つねさん |
それは、こなせない。
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ノリスケ |
「心をこめて」と「こなす」って言葉は、
反対ですっ。
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ジョージ |
ああ、そうでした、ごめんなさ〜い。
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つねさん |
心をこめて、尽くさないとね(笑)。
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ジョージ |
ん〜、尽くすっていうのはね、苦手かも。
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ノリスケ |
おもてなしの心が足りないわねっ。
6・7人は、どうかと思うわ。
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ジョージ |
ふふ。でも、ベソか。ベソかくって、
いいな、なんか。
ベソかいてる女の子、かわいいよね。
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ノリスケ |
かわいいよね。
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ジョージ |
ね。
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ノリスケ |
泣かれちゃうと、クソウ、って思うけどね。
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ジョージ |
んー、ベソかいた女の子、いいね。
頑張れっ、て言いながら、
ん、もう少し自分のことわかれよ、って思うしね。
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ノリスケ |
でも、なんか、なんか、
してあげたくなるよね(笑)。
ベソかいている、男は、あんまり(笑)。
(笑)人前ではベソかかないよね、
大人の男は(笑)。
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ジョージ |
ベソかくのは、オカマの特権なんじゃないの?
ねえ?
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ノリスケ |
うん、オカマは、かいていいことにしましょう、
ベソぐらいなら!
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(涙。はこれにておしまい。