ノリスケ |
この頃ね、外にご飯食べに行こう、
っていうときに誘うのって、
女の子の友だちばかりなの。
同居人は外食嫌いだし、
男の連中はなんだか億劫がるし。
むかしの同僚で、
いまも働いてる女の子たちしか、
「ちょっと美味しいもん食べに行こう!」
って気分を、わかってくんないの。
男友だちとは、ダメなのよ。寂しいなあ。
|
つねさん |
そういうのもさ、
オフの使い方なんだろうね。
|
ノリスケ |
そだよん。そういうふうに、
何ヶ月かに一度でも会って話をすると、
何か気持ちみたいなものが交換できるのね。
そうすると、ちょっとした悩みが解決したり、
お互いにいいことが起こるような気がする。
そういう相手と、場所って、あるかないかで
違うような気がするんだけどなあ。
|
ジョージ |
お休みの日に行く、お気に入りの場所。
みんなどうしてるのかな?
この人(つねさん)、
お家がお気に入りだもんね。
|
つねさん |
うん。
|
ノリスケ |
ひとりの時にでしょ?
|
ジョージ |
一人暮らしの人はね、いいんだよね。
お家がお気に入りでもね。
|
ノリスケ |
うん。
でもレストランなんかだと
お金かかっちゃうのよね。
|
ジョージ |
そうね、コツはお金をかけないことだよね。
お金かからない、ひとりの時間の過ごし方。
|
つねさん |
たとえばさ、休みのときにしか行かない喫茶店とかさ。
|
ノリスケ |
僕、以前、海辺の町に住んでたのね。
時間があると、海岸に椅子持ってって、
ずっと本読んでたよ。
今は、屋上に行って、本読んでる。
あれ買ったの、安いデッキ・チェア。
んで、飲み物をクーラーバッグに用意して
ずーっと本読んでんの。
|
つねさん |
それで灼けてるのね。
|
ノリスケ |
そうなの。でも、お日さまの下でなくても、
本読む場所を探すのは好き。
ひとりになれるとこ。
|
つねさん |
僕は、テレビ観てゴロゴロ。
動物飼ってるから、ケージから出して一緒に。
|
ジョージ |
女の人のオフって、どんなんだろう?
|
ノリスケ |
一人暮らしで働いてる女の子は、
上手にやってると思う。
むかしっからそう思う。
|
ジョージ |
主婦になったら? 大変だよね、
子供つくったら大変だよね。
|
ノリスケ |
僕の友だちは、上手に預けて遊んでるよ。
前よりは、つきあってくれなくなったけど、
でも、友だちと一緒に
遊んだりする時間は、確保してる。
たぶん、ダンナや、お母さんを、
ちゃんと説得してるんだろうね。
|
つねさん |
アメリカ映画見てると、
ベビー・シッターを雇って、
夫婦で映画や演劇観に行くよね。
そういうのって、ないじゃん、日本って。
|
ジョージ |
ないねー。
|
ノリスケ |
ダンナがそういう気になってくんないからね。
|
ジョージ |
だね。思う。
|
ノリスケ |
で、女性同士で行くと、
ダンナが働いてんのに、みたいな、
ささやかな攻撃の対象になったり。
たしかにそういう人もいるけどね。
|
つねさん |
家族を大事にするっていうのと
違うところで、封建的なのかしら?
|
ジョージ |
っていうか、ものぐさなのよ。
|
つねさん |
あーん、そうなのか。
|
ジョージ |
とくに、日本の男の人はものぐさだと思うな。
めんどくさい、って必ず言うもん。
|
つねさん |
あ、多いね。
|
ノリスケ |
服買いに行くのも、めんどくさい、
とかね?
|
ジョージ |
めんどくさがるんだよー。
めんどう、めんどうが楽しいんだけどね。
|
つねさん |
ん、だから、めんどうが楽しいってこと、
知らないんじゃないかな。
|
ジョージ |
あとね、訓練できてないの。
どこに行ってどういうものを見ればいいのかも
わからなければ、ものの違いがわからないの。
|
つねさん |
情報も活用してないよね。
雑誌は読むけど、それはなんか、
週刊ポストだったりっていう。
|
ジョージ |
そうだよね。
もったいないなと思うのが、
若いころにメンズ・クラブとか
読んでた人たちが、
結婚して子供できちゃうと、
読まなくなるんだよね。
読み続ければいいのにね。
|
ノリスケ |
ほんとだよね。
|
ジョージ |
雑誌を読むのが億劫なら、
それこそ、デパートの上から下まで、
じっくりじっくり、
ぶーらぶーらぶーらぶーら。
そゆのも、いいんじゃないかな?
|
ノリスケ |
それ、お金かかんなくていい。
流行もわかるし、ものの値段もわかる。
|
ジョージ |
ねっ。で、嫁さんと一緒に行くと、
邪魔臭いんだよ。絶対。
|
ノリスケ |
あの、喜んじゃうからね。
あたしが、あたしが、になっちゃう(笑)。
|
ジョージ |
そう。嫁さんだと散歩になんないんだよ。
洋服売り場でもって1時間とかになっちゃって、
くたびれるだけだから。
ひとりで、とりあえず、
昼ちょっと前ぐらいに行って、
エレベーターでデパートの最上階まで行って、
昼飯を食って。
それから、エスカレーターで
1階ずつ下に降りながら。
そうすると2時間ぐらいの、いい散歩だよね。
|
ノリスケ |
けっこう歩くしね。
言い訳としては、じゃあ、
奥さんにちっちゃいプレゼント1個、
買って帰ってくればいいじゃない?
|
ジョージ |
ダメ! それは、クセになるから、
やめたほうがいい。
|
ノリスケ |
あそう?(笑)ハンカチ1枚でも?
|
つねさん |
一緒に行ってから、
あとで何時間後とかっていうのは、
ダメなの?
|
ジョージ |
ダメだな。
|
つねさん |
それはまた、違うんだ。
|
ジョージ |
ダメだな。そーれはダメだね。
だって、行方不明になれなきゃ
いけないんだから、
家を出るときからひとりじゃないとダメ。
|
つねさん |
あそっか。
|
ジョージ |
だいたい、お父さんがひとりで
家を出るときって、
ゴルフぐらいしかなかったりとかするんだよ。
|
つねさん |
あ、そっか。そうだね。
|
ノリスケ |
ゴルフか浮気だ。
|
ジョージ |
ねーっ。だからね、ゴルフじゃないときにね、
ひとりで行ってたら浮気って言われるの。
ひとりで出るのが当たり前にしとけば、
浮気のときも楽なのにね。
|
ノリスケ |
すーぐどっか行っちゃうのよ、っていうの、
楽だよ、相手の人も。
|
ジョージ |
そうそうそうそう。
ウチのは、まったくどこ行ってんだかー。
でもまあ、お金使ってるようでもないしー。
|
ノリスケ |
けっこう若いでしょう? なんてね(笑)。
|
ジョージ |
そうそうそう。
|
ノリスケ |
いいことだと思うんだよね。
|
ジョージ |
で、ハンカチとかブローチとか買って帰っちゃ
ダメな理由はもいっこあって、
これってさ、若い女の子にあげるつもりで
買ったやつを私に回したのかしら、
って思われるのよ。
|
ノリスケ |
ハハハハ。それは気がつかなかった。
|
つねさん |
そっかー。
|
ジョージ |
気の利いた買い物っていうのはね、
今日、デパートの催事場で
けっこういい伊万里焼のフェアがあって、
いいお湯飲みがあったから、
2つ買っといたよー、とかっていうのをね、
ポーンと、たまに買って帰ってくると、
おっ、なかなかいいじゃん、
とかって思われるんだよね。
|
ノリスケ |
素敵だねー。
|
ジョージ |
んで、「あんた、何してんの? 最近休みの日」
って聞かれたら、正直に、
「んー? デパートぶらぶらしてるだけ」
で、いいんだよ。そのうち、自分で自分の
ネクタイ買って帰ったりとか。
あるいは靴下買って帰ったりとかしてね。
そうすると、奥さんが、なんかいいなー、とか、
思うんだよ。で、そのうち奥さんのほうから、
「ねえねえ、あなた、たまには私も一緒に
デパート連れてって」
て言われたら、デートになるんだよね。
|
つねさん |
おお。
|
ノリスケ |
おお。
|
ジョージ |
若いころのデートって、
ま、今の男の子、どうかわかんないけど、
男が行き先を決めて女がついてくるのが
デートじゃん。
だけど、結婚したら、
女に手引っ張られて男が連れてかれるんだよ?
デートじゃないよ。
これは、男の奉仕作業だよね。
|
ノリスケ |
うん。
|
つねさん |
うん。
|
ジョージ |
いいね。もう、男はどんどんひとりで
デパートに行きましょうっ!
散歩してると、若い売り子さんと
知りあいになれるかも知れない。
|
つねさん |
あと、やっぱり、そこに来ている
いろんな人の服見たりとかって、あるじゃない?
|
ジョージ |
それは上級テクニックだね。
|
つねさん |
あ、そっか、上級テクニックなのね(笑)。
|
ノリスケ |
目が行かないかも知んないね。
食材売り場とかも、面白いんだけどね。
|
ジョージ |
で、洋服売り場かなんかで、
洋服見てると必ず来るんだよね、
女の子かなんかがね、
何かお探しですか? って。
「んー、なんか、似合うのを……
どういうのが似合いますかねー」
とかって。で、その場では絶対に買わないの。
また来週も来ますー、とかって。
そしたら、なんか、
毎週来る変なオヤジで有名になるから。
|
つねさん |
あ〜。
|
ジョージ |
いいよー。そしたら、
みんながよってたかって
イメージ・チェンジさせようとするからね。
|
ノリスケ |
ふふっ、楽しい。
|
ジョージ |
楽しいよーん。
ねねね、お料理作るとかって、どうかな?
|
ノリスケ |
いいと思うよ、それ!
|
つねさん |
ねっ。
|
ノリスケ |
でもこれも、「洋服はお勉強」と思ってる人には、
同じことらしいの。
作れば、って言うと、
どうやって勉強したんですか?
て聞かれちゃうの。
好きでやってるだけなんだけど。
|
ジョージ |
あのね、料理を作る、
って考えるからいけないんであって、
あなた作る人、僕食べる人、っていう関係を、
ちょっと壊せばいいんだよ。
|
ノリスケ |
うん。
|
ジョージ |
んと、あなた作る人、僕も作る人、
だから、あなたも食べて僕も食べる、にすれば。
「今日、お父さんが作ってやろうっ!」
っていうと、
お父さんが全部作ろうとするんだよね。
だから、カレーくらいしかないのさ。
|
つねさん |
そうね。
|
ノリスケ |
そりゃそーだ。
|
ジョージ |
ね。
|
つねさん |
で、あの、逆にそれが
めんどくさかったりとかするじゃない?
周りからしたら。
|
ジョージ |
そうそう。で、後片づけしないとか
どうとかこうとか言われて、
お父さん、二度と台所に立たないでちょうだいっ、
て言われるの。だから、奥さんが作ってるときに、
横に立って、なんかお手伝い、
今日はさせて、って。
じゃあキュウリ切って、とかね。
レタスちぎってー、とか。
|
つねさん |
それって、いいねー!
|
ジョージ |
ってやってると、
すごいラブラブな夫婦だよー。
|
つねさん |
なんか、一緒に、なんか、
別の作っててもいいから。
|
ジョージ |
そうそうそう。
|
つねさん |
なんか、台所に立つ?
|
ジョージ |
いいよね。で、そういうのを見て育つ子供って、
ぜったい家庭内暴力を起さないと思う。
|
つねさん |
あー。
|
ジョージ |
人も殺さないだろうし。
|
ノリスケ |
いいねー。
|
ジョージ |
ね。そう。で、そういうことずっとやってると、
会社かなんかで、
たまにピクニックかなんか行って、
お外でもって料理作るときに
自然に手伝いができるよ。
|
ノリスケ |
うん、包丁持てるね。
|
ジョージ |
そう。千切り、するの。
|
ノリスケ |
格好いいよねー、
サクサクサクッて切れたらねー。
|
つねさん |
もう、おーっ、て。
|
ノリスケ |
それだけでいいよね。
格好いいよね。うん。
|
ジョージ |
オフを確立しないといけないから、
なんか特別なことしなきゃいけない、
と思うからダメなんだろうね。
要は、その、自分としていろんなことを、
ちょこっとずつでもいいから、
継続してやってみる努力をすれば、
何とかなるのかな? と思うのよ。
|
(このテーマは、これにておしまい。