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新宿二丁目のほがらかな人々。
おねぇ言葉や裏声とかで語る別角度批評。

お料理だいすき。その2
ケーキが作りたかったの。

ノリスケ ハハハハハ……
「おまえってひとりのときに
 インスタント・ラーメンを食うような
 女だったの?」
 って、男に言われました。
 で、その子はどうしたの?
ジョージ それはね、偉いよ〜。毅然として、
「アジアの料理、アジアの料理に使うの」
と、言い放ったの。
もちろん、言い逃れなのよ。
つねさん はいはい、あるよね。
最後にラーメン入れるやつ。
ジョージ あの、トム・ヤム・クム系とか……
ノリスケ アジア系のスープ料理は、
麺を使うことがあるものね。
ジョージ 作った後に、
インスタント・ラーメン入れて食うやつ、
確かに、あるんだよね。
ノリスケ うん、うん。
つねさん ある、ある。
ジョージ で、さらに、
それを即興で作って出した、っていうの!
ノリスケ ほら、このためにあるのよ、って?
つねさん すごーい。
ジョージ 凄いでしょう。
ノリスケ かっこいいじゃん。
ジョージ だから、女のみなさん、
自分ちにインスタント・ラーメンが
転がってるところを男に見つけられたら、
その手しかありませんっ。
そのくらい女のひとり暮らしの女の部屋の
インスタント・ラーメンっていうのは、
男にとって、ものすごいインパクトなんだよね。
ノリスケ そうか、びっくりするものなのかー。
つねさん でも、でも、どうなのかな?
あってもいいじゃないの。
ジョージ あのね、あっても悪くないんだけど、
「あってほしくないもの」って、
世の一般の男が思ってるものって、あるじゃん。
ノリスケ そうなのよね。確かにね、好きな女の子が、
インスタント・ラーメンひとりで作って
食べてる姿を想像したくない、
ってことよね。幻想なんだけど。
ジョージ でしょ?
ノリスケ 勝手なものよね。
逆ってあるかな?
ジョージ ある。男の部屋にあるミリン?
つねさん はい。ありまーす。
ノリスケ お料理上手(笑)。
ジョージ あと、男の部屋に、柳刃包丁から出刃包丁まで、
7・8本、包丁が揃ってるのは?
板前さんでもないのに……あ、でも、
それはちょっと違うな。それはいい。
そうじゃなくて、そうだ、たとえば、
女性のみなさん想像してください。
あなたが好きになって、初めて訪れた男の部屋に
かわいいテディ・ベアが10体ありました。
ノリスケ きゃーっ。
ジョージ ……ていうのとおんなじぐらいに、
女の部屋のインスタント・ラーメンは、
インパクトが強いものなのよ。
だから、なるべく「あってほしくない」の。
つねさん ふーむ。わかったわ!
ジョージ ねえ、生まれてはじめて
自分で料理を作ったって、
どういうシチュエーション?
誰の手も借りずに、
自分の意志で料理を作ったっていうの。
つねさん あ、僕ね、小学校のね、低学年ぐらいのときに、
卵焼き作りたかった。
ジョージ 家庭科の実習じゃなくて?
つねさん ううん、家で。僕、鍵っ子で、
帰ったらひとりなんだよ。
で、なんか、作ってみたくなって、
母の仕事先に電話したの。
どういうふうに作ったらいいの? って。
電話してから作った覚えがある。
たぶんあれが、家で作った最初の料理だと思う。
ジョージ ノリさんは?
ノリスケ 僕はね、ちょこちょこしたものは、
作れてたんだ。
温めなおすとかて、やらされてたから。
そうじゃなくて、
創作的なこととして料理をやろうと思ったのは、
ケーキ。
ジョージ わかる〜! わかる〜!
ノリスケ ケーキ、スポンジから焼いてみたかった!
ジョージ 日常的でないものなのよね。
ノリスケ そう。
ジョージ べつに、それがなくても食うに困らないものを
作ってみた〜い。わかるわっ。
ノリスケ それをね、作ってみたくてねー。
スポンジって、ほら、買ってこれたりもするし。
だから、作ってみたかったんだよ。
ジョージ 僕ね、『クマのプーさんの料理本』っていうのが
あってね。
その中に入ってた、
ジャーマン・ポテト・パンケーキっていうのを、
作りたかったの。
ノリスケ あ〜。
ジョージ プーさんが、
すっごい美味しそうに食べてたんだよね。
ノリスケ わかる気がする、それ。
ジョージ それ、作ったよ。妹と2人で作ったの。
ノリスケ まず誰かを誘って作るよね。
僕、友だちと作った。
ジョージ そう。で、その頃ってね、
うち、裕福じゃなかったからね、
じゃがいも2個すり下ろして、
タマネギ1個すり下ろしてとかっていうのをね、
あんたたち、無駄にするんじゃないよ、
って言われながらね、作ったの。
んもー、すごかったよ、作りながらね、
これたぶん失敗するんだろうな、
ちがうよね、これって絶対、
料理にならないよね……て、わかるの。
で、焼いたら、すっごい臭いがするの。
ノリスケ ハハハハハ。
ジョージ で、食っても食えなかったのお!
ノリスケ なに入れたら
そんなになっちゃったんだろうね(笑)。
ジョージ だって、その通りに作ったもーん。
つねさん レシピ通りなのに。
ジョージ そおー。でもね、食えないんだよ。
つねさん プーさんは人間じゃないから食えたんだよ。
ジョージ でも、全部焼いたの。
つねさん で、まずかったんでしょう?
ジョージ まずかった。
無駄にするなって言われたから、
バロンにあげたの。
つねさん ブルドッグの。
でもバロンも食わなかったんでしょ(笑)。
ジョージ そうなの。バロンも食べないんだよ。
ノリスケ ほんとにまずかったんだね。
ジョージ すっごいまずかった。それが生まれてはじめて。
ノリスケ 僕も、ケーキは失敗した憶えがある。
なんか、軟体動物ができたの。ダマダマで。
つねさん 俺も、妹のね友だちが来たときに、
ホットケーキ焼いてあげたんだよ。
ノリスケ うまくいったの?
つねさん ぜんっぜん。
もう、グチャグチャ(笑)。
ジョージ パンケーキもそうだしね、プリンとかね。
ノリスケ プリンも作った!
ジョージ あのー、んとー、
インスタント・ミックス使わない焼きプリンか、
スポンジとかねー、クッキー。
これはね、作ったよ。
つねさん すごーい。それはやりたかったなー。
ノリスケ 僕ね、思い出した。
グリーン・スタンプでね、
オーブン・レンジを貰った。
ジョージ グリーン・スタンプよ、グリーン・スタンプ。
若い人、わかります? 若い人。
ベル・マークみたいなものなんですけどっ。
つねさん ハッハッハッハ。
ノリスケ あれでね、オーブン・レンジを……
オーブン・トースターに
ちょっとオーブン機能が強いやつか。
ケーキも焼けます、みたいな。
ジョージ ちょっと庫内が大きくって。
ノリスケ そうそう。それで焼いたんだ。
小学校の高学年じゃないかな。
そのころから、なんか、
おねえさんだったのねえ。趣味が。
だって、ケーキよ、ケーキ。
ジョージ 僕もね、その頃ね、スーパーとかに行って、
ケーキ用品売り場ってあるじゃない?
ノリスケ ある。
ジョージ 何回も行ったわ。
つねさん 好きだったー?
ジョージ 好きだったよー。
つねさん トッピング用の、なんか、ナッツとかー?
ノリスケ 細かいお砂糖とか。
つねさん お砂糖、ああ。
ジョージ あとね、型抜きのとか? ああいうのとかね、
どゆのかな? 文房具みたいな感じなの。
消しゴムだとか鉛筆だとかボールペンだとかを、
集めるような感じで、
ああいうの集めたかったの。
でも、考えてみたらそのころから、
なんか、こっち側に来始めてたのねえ……。
ノリスケ そうよねえ、スポーツ用品に行くよりは、
そういうほうが楽しかったのよねえ。
(ちょっと脱線。つづきます)

2001-09-25-TUE

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