京都
「知りあいの宿」を
つくろう。
好評につき、秋冬もやります。




いよいよ紅葉シーズンを迎えた京都。
「ほぼ日」知りあいの宿「旅館 銀閣」は
やはり、満室がつづいているんでしょうか、
サカベさん?

サカベ:
「ニュー銀閣イン」の、洋室のお部屋でしたら、
あとわずか、空いています。
11月21日現在で、空きのある日は
11月24日(月・祝)
11月25日(火)
11月28日(金)
11月30日(日)

です。ほんま、いっぱいこになってしもて、
すみません。
ご希望の方はお急ぎくださいね。

── ところで‥‥
紅葉は、色づいていますか?
いま、いいかんじですよ。
場所にもよりますが、
東山や北山のほうは見ごろ。
西山は、まだ今週でもいけるかな?
── ううーん、見たいなあ、紅葉。
そんなこと言わんと、
紅葉が終わってからでも、来てくださいね。
この時期おすすめなのが、
自転車を使って京の町をめぐること。
晴れた日は、ぽかぽかして、
ほんまに気持ちええんですよ。
── 京都は山に囲まれていますが、
盆地ですから、
町なかは平坦ですものね。
しかも碁盤の目に道が走っているから
わかりやすい。
川ぞいを走ったり、お弁当ひろげたり。
そのへんにちょいと自転車を止めて、
小さなお寺さんをのぞいたりできる。
車では入れない、細い路地もスイスイですよ。
1日1500円(税別)で、
「旅館 銀閣」まで
自転車を持ってきてもらって、
好きなとこで「乗り捨て」もできます。
── おおお!
しんどくなったら自転車を乗り捨てて、
最後はタクシーで帰る、
なんてこともできるから、
もう、好きなとこへ
ピューピュー行ってしもてください。
乗り捨てるときは
「ここに乗り捨てますえ」と
一本電話をくださいね。
もちろん、一般のレンタサイクル屋さんも
いっぱいありますから、
ご自分で借りに行かれてもいいですよ。
もっと安く借りられるところ、ありますから。
── サカベさんおすすめの
「自転車でめぐる京都の1日」って、
どんなかんじでしょう?
そうですね、来年の大河ドラマで話題の
新撰組をテーマに
自転車を走らせてみましょうか。
「旅館 銀閣」からは
近藤勇の像がある、新撰組の道場だった
壬生寺(みぶでら)や、
八木邸、前田邸、
角屋もてなしの文化美術館

自転車なら、わりと近くなんです。
刀の傷あとなんかがあって迫力ありますよ。
もうそれこそ、ぐっさり。
── 幕末に、新撰組が
そのあたりを拠点にしていたんですね。
そして、襲撃に遭ったりして。
はい。幕末ファンの人は、とくに
新撰組記念館に、行かはったらよろしいです。
ここには「青木さん」ゆうて、
新撰組にくわしいおっちゃんがいるんです。
なんか、いかにも
自分が生きてたみたいに
しゃべらはるんです。
── まるで見てきたように(笑)。
資料やら何やら、もう、すごいですよ。
新撰組のことを話しはじめたら
もう、とまらへん。
── 外では自転車が待ってるのに。
こないだも
「京都の道路工事したら
 頭がい骨がごろごろでるわな」

という話で、延々と。
ときには、近くの八木邸、前田邸にまで
ついてきてしゃべってくれたりすることも
ありますよ。
来館者には全員に
土方歳三や近藤勇の句を
短冊に書いてプレゼントしているそうです。
── 全プレ!
しかも、土方や近藤の
筆跡をまねて書くらしいです。
── ‥‥はー!
京都のおじさんって、パワーがある人が
多いですよね。
なんででしょう。
このおっちゃんに会うには
予約が必要なんです。
「せっかく来てくれたのに
 いいひんかった〜」

って、残念がらはるから。
新撰組記念館075-344-6376まで
お電話してみてくださいね。
おひとりでもおふたりでも、
おっちゃんは待っています。
最近は、けっこう人気者になって、
時間が取れないときもあるみたいですけど。
── この調子だと、壬生周辺の新撰組だけで
1日が終わりそうになります。
風を切って京都じゅう、
自転車を走らせたいです。
そうですね、では次へ!
おっちゃんとのふれあいで
幕末気分マンマンになったら、
新町通を北にピューッと行って
一気に御所(ごしょ)をめざしましょ。
御所でぜーったい見てほしいのが
蛤御門(はまぐりごもん)!!
── 御所に9つある門のうちの
烏丸通ぞい、西側にある門ですね。
ええ。ふだんは閉まっている禁門で、
火事のときだけ開くようになっていたんです。
だから、「はまぐり」という名がついた。
── はまぐり‥‥あ、火を通したら
貝が開くから、ですね。
そうです。
ここは新撰組も加わった「蛤御門の変」の
舞台になったんですが、
後世の火災なども逃れて
当時のまま現存している門なんですよ。
「蛤御門の変」の弾痕も残ってる。
── ふえええ。
いまでは、御所のあたりは、
町のみなさんの憩いの場にもなっていますよね?
そんなところにも、そうやって
歴史の跡が残っている。
なまなましいですよ。
めっちゃ雰囲気があるから、
自転車ならぜひ立ち寄ってほしいです。
蛤御門を見たあとは、自転車をとめといて、
御所のなかも歩いてみましょうか。
御所は、ほんっとに、
秋がいちばんきれいだと思うなあ。
木も色づいているし、
京都のどまんなかにあるので、
空が広くて気持ちいいんですよ。
そのままぶらぶら歩くか、
蛤御門から自転車で
御所をクルっと半周して、
梨木神社(なしのきじんじゃ)
行きましょう。
ここには、京都の三名水の
湧き水があるんです。
── へええ、おいしそうですね。
ひしゃくがあって、
飲めるようになっています。
ごくごくと、のどをうるおして、
自転車でまた出発。
ちょっと距離がありますが、
京大の側の道を通って、
真如堂(しんにょどう)へ。
もみじがきれいなことでも有名なこのお寺、
境内も雰囲気がいいし、
ゆっくり見て回っていただきたいですね。
── 桜の古木があることでも知られていますよね。
春に行くのも、よさそう。
場所が東の端のほうなので、
行きづらかったのですが、
自転車なら
この名刹も満喫できますね
真如堂の南には、
金戒光明寺(こんかいこうみょうじ)
あります。ここは、新撰組を統率した
会津藩主松平容保の兵が
宿舎とした場所なんですよ。
ここからは永観堂に行くもよし、
銀閣寺に行くもよし、なんですけれども
さすがにおなかが減っているでしょう。
── 水しか飲んでいませんからね。
何を食べましょう?
── 何を食べましょう!
京料理のお弁当、おうどん、
いろいろありますが、
グリル好きのサカベ、
今日はとっておきのグリル屋さんを
ご紹介します。
その名も、グリル小宝(こだから)。
場所は、岡崎にあります。
── 岡崎は、平安神宮や動物園、
美術館があるところですね。
真如堂からだと、自転車で
10分くらいはかかるでしょうか。
そうですね。あのあたりは
古いおうちやお寺が多いところだから、
自転車で走っていても楽しいと思いますよ。
庭から突き出た木に、柿が実っていたりして。
── のんびり眺めながら走るとすると、
15〜20分くらい、
みておいたほうがいいですね。
グリル小宝は、ほんまにおいしっくってねぇ、
美術館の帰りなんかに、
ふらふらふらふらっと
引き寄せられてしまうんです。
ハイシライス(ハヤシライスのことです)や
オムライス、クリームコロッケ、
絶品ですよ。
エビフライもスープもおいしい。
ああ、行きたなってきた。
腹ぺこにしみわたる、
ドミグラスソースの甘味と酸味!
── もう自転車を漕ぐ気が
しなくなってきますね〜!
ね〜!
サラダもふつうなんだけど、
なーんか、おいしんですよ。
シャキシャキ感がちがうんです。
あー、行きたい、行きたい。
今日、お昼ごはんを食べそこのうたから。
── お気持ちはわかりますが、サカベさん、
新撰組の名所に行きましょう。
さいごにあとひとつ、としたら
どこへ漕ぎ行けばいいでしょうか?
そうですね、ここまで来たら、行かないと。
あそこへ!
霊山神社(りょうぜんじんじゃ)へ!
そこには、坂本龍馬の墓と銅像があるんです。
霊山歴史館には、高杉晋作や
新撰組の隊士たちの遺品も
展示してありますよ。
── あ、そこ、行ったことがありますよ。
龍馬といっしょに刺された
中岡慎太郎の墓が横にありました。
そう、そう。
── 龍馬の墓には、千羽鶴や
手紙がいっぱいお供えしてあって
アイドルみたいだな、と思いましたよ。
なかには、
「龍馬先生、
 いちどはあんたとのみたかったぜ」

という手紙も。
全国からいらっしゃいますからね。
日本という国が
ごっそり変わろうとしていたときの
時代の息吹を、
自転車を漕ぎ漕ぎ、感じてみてくださいね。
── あとは、鴨川ぞいをゆっくり走って、
「旅館 銀閣」までのんびり帰りましょう。
京都は路地奥のふとしたところに
小さいほこらや碑が立っていたりします。
ふだんの観光では見落としそうになる
小さな歴史の足跡を
見つけてくださいね!

新撰組(しんせんぐみ)って?

すごくかんたんに言うと、
江戸時代の末期(幕末といいます)に
結成された、徳川幕府の警察的組織京都本部。
外国からペリーの黒船は来るわ、
幕府を倒そうという気運は高まるわ、
尊王攘夷が唱えられるわで、
不穏分子が集まりやすかった京都は
(不穏分子はつまり、クーデターを
 起こそうとしていたんですね)
治安が悪化したので、
浪士隊が結成されたのがはじまりです。
新撰組の代表的なメンバーには
近藤勇(こんどういさみ)←この人がリーダー
土方歳三(ひじかたとしぞう)←サブリーダー
沖田総司(おきたそうし)←結核で死んだ剣の名手。
              美少年という噂
などがいました。
おなじみの
坂本龍馬(さかもとりょうま)←明治維新の立役者。
               ハイカラ派、
               外国と貿易したい派、
                海援隊(歌は歌わないほう)
西郷隆盛(さいごうたかもり)←幕府を倒す派。
               上野で犬を連れている人
は、どっちかというと敵にあたります。
あとは、
勝海舟(かつかいしゅう)←幕府の頭のいい人
などもいました。
明治維新に向けて、
日本の歴史がごっそり動いたこの時代、
男たちは京の町で
日本の行く末についてのそれぞれの考え方を
複雑にからませながら、
明日をも知れぬ命をかかえていたのでした。
来年のNHK大河ドラマ、たのしみですね〜。

2003-11-25-TUE

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