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ところで‥‥
紅葉は、色づいていますか? |
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いま、いいかんじですよ。
場所にもよりますが、
東山や北山のほうは見ごろ。
西山は、まだ今週でもいけるかな? |
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ううーん、見たいなあ、紅葉。 |
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そんなこと言わんと、
紅葉が終わってからでも、来てくださいね。
この時期おすすめなのが、
自転車を使って京の町をめぐること。
晴れた日は、ぽかぽかして、
ほんまに気持ちええんですよ。 |
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京都は山に囲まれていますが、
盆地ですから、
町なかは平坦ですものね。
しかも碁盤の目に道が走っているから
わかりやすい。 |
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川ぞいを走ったり、お弁当ひろげたり。
そのへんにちょいと自転車を止めて、
小さなお寺さんをのぞいたりできる。
車では入れない、細い路地もスイスイですよ。
1日1500円(税別)で、
「旅館 銀閣」まで
自転車を持ってきてもらって、
好きなとこで「乗り捨て」もできます。 |
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おおお! |
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しんどくなったら自転車を乗り捨てて、
最後はタクシーで帰る、
なんてこともできるから、
もう、好きなとこへ
ピューピュー行ってしもてください。
乗り捨てるときは
「ここに乗り捨てますえ」と
一本電話をくださいね。
もちろん、一般のレンタサイクル屋さんも
いっぱいありますから、
ご自分で借りに行かれてもいいですよ。
もっと安く借りられるところ、ありますから。 |
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サカベさんおすすめの
「自転車でめぐる京都の1日」って、
どんなかんじでしょう? |
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そうですね、来年の大河ドラマで話題の
新撰組をテーマに
自転車を走らせてみましょうか。
「旅館 銀閣」からは
近藤勇の像がある、新撰組の道場だった
壬生寺(みぶでら)や、
八木邸、前田邸、
角屋もてなしの文化美術館が
自転車なら、わりと近くなんです。
刀の傷あとなんかがあって迫力ありますよ。
もうそれこそ、ぐっさり。 |
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幕末に、新撰組が
そのあたりを拠点にしていたんですね。
そして、襲撃に遭ったりして。 |
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はい。幕末ファンの人は、とくに
新撰組記念館に、行かはったらよろしいです。
ここには「青木さん」ゆうて、
新撰組にくわしいおっちゃんがいるんです。
なんか、いかにも
自分が生きてたみたいに
しゃべらはるんです。 |
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まるで見てきたように(笑)。 |
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資料やら何やら、もう、すごいですよ。
新撰組のことを話しはじめたら
もう、とまらへん。 |
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外では自転車が待ってるのに。 |
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こないだも
「京都の道路工事したら
頭がい骨がごろごろでるわな」
という話で、延々と。
ときには、近くの八木邸、前田邸にまで
ついてきてしゃべってくれたりすることも
ありますよ。
来館者には全員に
土方歳三や近藤勇の句を
短冊に書いてプレゼントしているそうです。 |
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全プレ! |
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しかも、土方や近藤の
筆跡をまねて書くらしいです。 |
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‥‥はー!
京都のおじさんって、パワーがある人が
多いですよね。
なんででしょう。 |
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このおっちゃんに会うには
予約が必要なんです。
「せっかく来てくれたのに
いいひんかった〜」
って、残念がらはるから。
新撰組記念館075-344-6376まで
お電話してみてくださいね。
おひとりでもおふたりでも、
おっちゃんは待っています。
最近は、けっこう人気者になって、
時間が取れないときもあるみたいですけど。 |
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この調子だと、壬生周辺の新撰組だけで
1日が終わりそうになります。
風を切って京都じゅう、
自転車を走らせたいです。 |
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そうですね、では次へ!
おっちゃんとのふれあいで
幕末気分マンマンになったら、
新町通を北にピューッと行って
一気に御所(ごしょ)をめざしましょ。
御所でぜーったい見てほしいのが
蛤御門(はまぐりごもん)!! |
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御所に9つある門のうちの
烏丸通ぞい、西側にある門ですね。 |
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ええ。ふだんは閉まっている禁門で、
火事のときだけ開くようになっていたんです。
だから、「はまぐり」という名がついた。 |
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はまぐり‥‥あ、火を通したら
貝が開くから、ですね。 |
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そうです。
ここは新撰組も加わった「蛤御門の変」の
舞台になったんですが、
後世の火災なども逃れて
当時のまま現存している門なんですよ。
「蛤御門の変」の弾痕も残ってる。 |
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ふえええ。
いまでは、御所のあたりは、
町のみなさんの憩いの場にもなっていますよね?
そんなところにも、そうやって
歴史の跡が残っている。 |
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なまなましいですよ。
めっちゃ雰囲気があるから、
自転車ならぜひ立ち寄ってほしいです。
蛤御門を見たあとは、自転車をとめといて、
御所のなかも歩いてみましょうか。
御所は、ほんっとに、
秋がいちばんきれいだと思うなあ。
木も色づいているし、
京都のどまんなかにあるので、
空が広くて気持ちいいんですよ。
そのままぶらぶら歩くか、
蛤御門から自転車で
御所をクルっと半周して、
梨木神社(なしのきじんじゃ)に
行きましょう。
ここには、京都の三名水の
湧き水があるんです。 |
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へええ、おいしそうですね。 |
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ひしゃくがあって、
飲めるようになっています。
ごくごくと、のどをうるおして、
自転車でまた出発。
ちょっと距離がありますが、
京大の側の道を通って、
真如堂(しんにょどう)へ。
もみじがきれいなことでも有名なこのお寺、
境内も雰囲気がいいし、
ゆっくり見て回っていただきたいですね。 |
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桜の古木があることでも知られていますよね。
春に行くのも、よさそう。
場所が東の端のほうなので、
行きづらかったのですが、
自転車なら
この名刹も満喫できますね |
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真如堂の南には、
金戒光明寺(こんかいこうみょうじ)が
あります。ここは、新撰組を統率した
会津藩主松平容保の兵が
宿舎とした場所なんですよ。
ここからは永観堂に行くもよし、
銀閣寺に行くもよし、なんですけれども
さすがにおなかが減っているでしょう。 |
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水しか飲んでいませんからね。 |
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何を食べましょう? |
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何を食べましょう! |
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京料理のお弁当、おうどん、
いろいろありますが、
グリル好きのサカベ、
今日はとっておきのグリル屋さんを
ご紹介します。
その名も、グリル小宝(こだから)。
場所は、岡崎にあります。 |
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岡崎は、平安神宮や動物園、
美術館があるところですね。
真如堂からだと、自転車で
10分くらいはかかるでしょうか。 |
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そうですね。あのあたりは
古いおうちやお寺が多いところだから、
自転車で走っていても楽しいと思いますよ。
庭から突き出た木に、柿が実っていたりして。 |
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のんびり眺めながら走るとすると、
15〜20分くらい、
みておいたほうがいいですね。 |
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グリル小宝は、ほんまにおいしっくってねぇ、
美術館の帰りなんかに、
ふらふらふらふらっと
引き寄せられてしまうんです。
ハイシライス(ハヤシライスのことです)や
オムライス、クリームコロッケ、
絶品ですよ。
エビフライもスープもおいしい。
ああ、行きたなってきた。
腹ぺこにしみわたる、
ドミグラスソースの甘味と酸味! |
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もう自転車を漕ぐ気が
しなくなってきますね〜! |
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ね〜!
サラダもふつうなんだけど、
なーんか、おいしんですよ。
シャキシャキ感がちがうんです。
あー、行きたい、行きたい。
今日、お昼ごはんを食べそこのうたから。 |
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お気持ちはわかりますが、サカベさん、
新撰組の名所に行きましょう。
さいごにあとひとつ、としたら
どこへ漕ぎ行けばいいでしょうか? |
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そうですね、ここまで来たら、行かないと。
あそこへ!
霊山神社(りょうぜんじんじゃ)へ!
そこには、坂本龍馬の墓と銅像があるんです。
霊山歴史館には、高杉晋作や
新撰組の隊士たちの遺品も
展示してありますよ。 |
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あ、そこ、行ったことがありますよ。
龍馬といっしょに刺された
中岡慎太郎の墓が横にありました。 |
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そう、そう。 |
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龍馬の墓には、千羽鶴や
手紙がいっぱいお供えしてあって
アイドルみたいだな、と思いましたよ。
なかには、
「龍馬先生、
いちどはあんたとのみたかったぜ」
という手紙も。 |
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全国からいらっしゃいますからね。
日本という国が
ごっそり変わろうとしていたときの
時代の息吹を、
自転車を漕ぎ漕ぎ、感じてみてくださいね。 |
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あとは、鴨川ぞいをゆっくり走って、
「旅館 銀閣」までのんびり帰りましょう。
京都は路地奥のふとしたところに
小さいほこらや碑が立っていたりします。
ふだんの観光では見落としそうになる
小さな歴史の足跡を
見つけてくださいね!
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