京都
「知りあいの宿」を
つくろう。




前回に続き、京の台所「錦市場」のご紹介です。
おいしそうなものがイッパイ登場しますよ。


サカベ
わたくし、反省しております。
京の味覚と銘打っておきながら、
前回は、しょっぱなに「はったい粉」、そして
エビ、乾物と、意外すぎるスタートでした。
しかし! 今日はちがいます。
── 待ってました!

サカベ
まずは、この写真を見てください。

── ‥‥‥誰ですか、
このおっちゃんは?

サカベ
打田(うちだ)漬物のおじさんです。
いつも柱のとこらへんにいはります。
昔からいはるんです。
── 柱が写ってませんけど、
いつもは柱のところにいらっしゃるんですね?

サカベ
柱の影に、隠れるようにして、
いはるんですけど、
お顔が目立つんですよ。
顔ごと「いらっしゃーい」ってかんじでしょ。
漬物の袋入れ三十余年の、
ほんまに気立てのいいおじさんなんです。


打田漬物の、試食コーナー。

このお店、試食コーナーがありましてね、
「お口に合うものをさがしていただいて」
って言うてくれはるんです。
「さがしていただいて、
 買うていただいて」って。
── うぷぷぷ

サカベ
「今日はらっきょにしとこ!」
「おおきに」と、
こういうやりとりをするわけです。
── なるほど。
この打田漬物が、サカベさんが
錦市場でイチおしの
漬物屋さんだということですね。


サカベ
はい。季節もので、
今年はまだ出ていないんですけど、
ここの花大根は最高です。
シャリッとした歯ごたえと
ピリッとした辛味がよくて。


10月から出はじめるという、花大根。
── 赤くてきれいですね。

サカベ
寒くなると、葉っぱもののお漬物が
すごくおいしくなりますよ。
いまからごはん用意して楽しみにしてるくらい。
さて、次は120年の歴史、井上佃煮店
佃煮、という名前ですが、
京都のお総菜のいろいろを扱うお店です。
湯葉とゴボウ、
梅干しとニシンのたいたん(煮付け)、
やさしい、京都のおかあさんの味です。


お総菜が、ズラズラズラー。
── こういうお店って
買うのが少しだけでも、嫌な顔されませんか?

サカベ
ぜんぜん!
近所のおばあさんとかが、
買いに来はりますからね。
おばあさん「‥‥どんな‥お‥あじ‥‥」
お店のおばさん「お味見、どうぞ」
おばあさん「‥‥ひ、100グラム‥‥」
そんなやりとりが日常ですから。
── 京の伝統野菜を使ったお総菜も
100グラム単位でチャレンジできますね。

サカベ
でも、「伝統野菜」って
書いてないですけどね。
「これは何?」と訊いても
「菜っ葉のたいたん」
とか言われてしまいます。
それからコレコレ、見てください。
「畑のお肉」っていうんですけど。


これはいったい‥‥?
── 畑のお肉‥‥大豆?

サカベ
ピンポン! 大豆です。
しょうが味のしぐれ煮で
お肉っぽい味がするんですよ。
ヘルシーで、ええよー。
── こんな店、「ほぼ日」(明るいビル)の
近くにあったらなあ‥‥

サカベ

ええよー、からだにやさしいよー。
もうひとつ、うらやましがらせてあげましょ。
のとよの天然うなぎ!
2階のランチは、うなぎが香ばしくて
きっつぅおすすめ!


ランチだけでなくもちろん買って帰れます。

── うなぎ屋さんの2階でうなぎランチ。
はああ(ため息)。

サカベ

すぐ近くの魚力(うおりき)では、
はも焼きも並んでます。
300円から買って帰れますよ。
はもは、うなぎよりもあっさりしています。


くしはお店の人が抜いてくれます。

── ひとり旅だったら、お食事処に入らずに
錦市場でこういうめずらしいものを買い込んで
ホテルの部屋でミニ宴会するのも楽しそうです。


サカベ
じゃ、もうひとつ、
ミニ宴会にピッタリの品を紹介。
何といってもビールに合う!
── ビールに!

サカベ

丸常(まるつね)のジャガバター天と
玉ねぎベーコン天です。


左が玉ねぎベーコン、右がジャガバター。

あつあつの玉ねぎベーコン天は、
そのまま新幹線に持ち込んで
ビールといっしょに味わうのもいいですよ。


ビールといっしょに撮ってみました。

── ふいー!

サカベ
お総菜でおすすめのもう一軒は、錦 平野
ここはお総菜を
きれいにやさしく盛りつけてくれるので
お持ち帰りがしやすいです。


お店の方がやさしく盛りつける。


ほらね。おいしそう。

さて、このあたりからクライマックスへ
突入しますよ。
── はい!

サカベ
だし巻きの達人の登場です。


── あ、三木鶏卵(みきけいらん)!

サカベ
やっぱり、わかりましたか。
そうです、やっぱり、だし巻きは
ここでしょう。
お店の方が、ひとりでいっぺんに
4つ〜5つ焼いていらっしゃいます。
焦げないように、集中してはりますから、
横にいたら怒られそうなんです。
ビクビクして写真を撮りました。
── たまごにだしがタップリで
やわらかいんですよね。
いちばん小さいので315円。

サカベ
錦は、昼間に来てもらったほうが
よろしいですよ。
たまごも焼きたて、
うなぎも焼きたてです。
── 店じまいもけっこう早いですよね。

サカベ
冬なんか暗うなるのが早いから
すぐシャッターをしめはりますので
時間にはご注意を。
そして最後に、
デザートには、サカベおすすめの、
この一品!


── 湯葉やら麩やらが並んでいますが
‥‥どれですか?


サカベ
中央下にある「笹巻麩」です。
5つ入りで787円。
絶品です。
早いこと食べなあかんので、
人にあげるおみやげにはできないのですが、
自分で食べる用に買いましょう。
ふたつくらいならいちどに
ペロっといけますよ。
── 京都に麩まんじゅうのお店は、数あれど、
ここがいちばんなんですね。
ところで、何というお店なんですか?

サカベ
麩房(ふふさ)老舗です。
── 覚えておきましょう。
麩まんじゅうは、麩房。

サカベ

モチモチのきなこ団子。

打田のこんにゃく店にて。
あとは、甘いもんでいうたら、
畑野軒老舗のきなこ団子や
月見だんごもおいしいし、
つけものの打田の別店舗で扱っている
豆腐プリンもあっさりしてて
ああああ、食べたい食べたい!
買いに行ってこよう!
── サカベさん、待ってください。
最後に、錦市場で買物するときの注意点を!

サカベ
買物は
ほどほどに!

── おお!

サカベ
全体的に、いい素材のものを扱っているので
値段が高めだと感じることもあると思います。
お店の方が、愛情込めて
宝石をあつかうがごとく並べた商品に
目を奪われているうちに、気がついたら
両手に大荷物!になってますからね!!
ほな、行ってきますわ!

長年培われた美的感覚で並べられた商品。
お財布のヒモが緩むのもしかたがないのですが、
胃袋は限られているので、
買物はほどほどに、と決めて向かいましょう。
店じまいが早いところもあるので、
近くのどんぶり屋さんやうどん屋さんで
お昼をたべたあとか、
新幹線に乗る夕方前に、ぶらつくのがベストです。
お総菜を自分へのおみやげにして、
帰宅後の夕ごはんにも「京都」を味わいましょう。
秋の錦市場が、みなさんをお待ちしています。

* サカベさんが紹介したお店の場所は、
 錦市場のサイト(←クリックしてください)に
 載っています。
 バスでは四条高倉(しじょうたかくら)、
 阪急では烏丸(からすま)、
 地下鉄では四条(しじょう)で下車。
 タクシーでは「にしきいちば」と言えば伝わりますよ。

 

2004-10-01-FRI

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