『MOTHER』を初めてやった時、
感動したというよりも痺れました。
フライングマンや、忘れられた男を目の当たりにした時の、
言葉にできないあの感じ。
「普通のRPGならば、ストーリーをブレさせる筈の無駄な要素」が、
「絶対に欠けてはならない要素」に化けているという奇跡。
それをやろうとして成功させた糸井さんの心意気が、
僕を猛烈にシビレさせたのです。
そして今回『MOTHER3』では、
最後の方に出てくる“ヨクバのネズミ”の台詞が、
僕を猛烈に痺れさせました。
いわゆる「いい話」を書ける人は山ほどいるけど、
あんな台詞を書ける人は糸井さん以外にいないんでないかなあ。
それはまさに、「言葉にできないあの感じ」だったのです。
さらにエンディングで糸井さんは、
マザー信者の様になってしまっていた僕らに
「冷や水をぶっかける」という行為で
その心意気を爆発させたんだと思います。
エンディングをやり終え、
ぼくはその“水”を真っ正面から浴び、涙が止まりませんでした。
そして、心の底から、こう思いました。
ああ、このゲーム作った人、信用できるなあ
これは、映画でも音楽でも小説でもテレビでも
出来なかった事なんだろうと思います。
ゲームでしか出来ない事、しかも誰もやった事の無い事をやる。
そういう「表現」というものの本当に基本的な、
しかしほとんどの人がやれない事を
こんな形でやってしまった糸井重里という人は、本当に変な人だ。
あの感じ。
言葉にできないあの感じ。
それを感じる、人と分かち合える、
世界でただ一つの、ゲームだと思います。
星野源(SAKEROCK)
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