ポケットに『MOTHER』。
〜『MOTHER1+2』プレイ日記〜

7月3日 丘の上の屋敷の闇のなか


丘の上に幽霊めいた屋敷が建っていて、
そこに何度も挑戦している。
屋敷に巣くうモンスターは強さがまちまちで、
ある程度レベルを上げても
一回の戦闘で窮地に陥ってしまうことがしばしばある。

とくに、突然強烈な一撃を繰り出す敵がやっかいだ。
体力満タンの状態から
一発でHPが尽きてしまうだなんて、
いまのゲームでは考えられない。
それでも、屋敷のなかをヒリヒリしながら
探索していくのは楽しいと感じる。

古いゲームだから、
屋敷のなかの闇の表現はほんとうに真っ黒である。
差し込む光に舞う埃の表現などなく、
踏みしめたときに軋む床の音などない。
闇は、画面を黒で塗りつぶすというだけで表現される。

闇のなかに浮かぶ階段を降りていくとき、
そこには数色しか表現がない。
闇と階段の激しいコントラスト。

なんて気持ちの悪い音楽。

そこで突然背後から話しかけられる。
その印象的な文字列に、
地下鉄のなかで思わずびくりとしてしまった。
どういう内容だったかは書かない。

闇の中を手探りで進む僕は、ひとりではない。
メガネの友だちといっしょなのだ。

出会ったとき、
彼はお世辞にも頼もしいとはいえなかった。
正直いうと、いまも頼りない。
でも、彼は戦友ではなくて友だちだから
頼りないけれども心強い。

例の、強烈な一撃を持つモンスターと、
運悪く出くわしてしまった。
これはまた出直すことになるかな、と覚悟した。

やつの繰り出した最初の一撃を
メガネの友だちがヒョイとよけた。
闇のなかで体をよじる彼を、僕は想像する。
そして、メガネの彼はそのまま攻撃に転じる。

SMAAAASH!!

一切が崩れ落ちるような効果音とともに炸裂。
強烈な一撃を持つ敵は、おとなしくなった。

もの言わぬメガネの彼が、
もの言わぬがゆえに、
突然頼もしくなったように思える。

なにもかも闇のなかに僕が見る勝手な風景。
幽霊めいた屋敷のなかを僕らはふたりで進む。

ヒリヒリしながら、友だちと進む。

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2003-07-04-FRI


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