ポケットに『MOTHER』。 〜『MOTHER1+2』プレイ日記〜 |
よく知られているように、 『MOTHER』に登場するモンスターは 通常のゲームとくらべるとかなりユニークである。 代表的なのは「おじさん」や「おばさん」である。 というか、それはモンスターではなくて人間なのだが、 なんらかの原因によって 正気を失っているという設定になっている。 主人公は、彼らを倒すのではなく、 「目を覚まさせる」ということになっている。 『MOTHER』は、敵を殺さないゲームだ。 だから、ほかのロールプレイングゲームと違って、 「モンスターっぽくないもの」も、 敵役としてしばしば登場する。 たとえば序盤の敵に「カラス」がいる。 カァカァ鳴く、あのカラスである。 ゲームを始めていきなり出会うことになるから 通常のゲームに慣れている人はちょっと腰砕けになる。 おいおい、カラスと戦うのかよ、という気分になる。 あるいは「ムカデ」もいる。 「スネーク」という敵は、どう見てもヘビである。 「タイガー」という敵は、明らかにトラである。 かと思うと、でっかい目玉が 宙に浮いているかのようなモンスターや、 針金みたいなロボット、 ゾンビや幽霊なんかも敵として登場する。 そのへんのバランスは、 はっきりいってめちゃくちゃである。 けれど、めちゃくちゃであるという枠のなかで 奇妙な統一感があるから不思議だ。 ところで、なんでまたそんな話を 長々書いているかというと、 とても気になるモンスターがいるからである。 まえまえから気になっていて、 一度書いてみようかとも思ったのだけれど、 わざわざ書くほどのことでもないかと思って遠慮していた。 けど、今日また新事実に遭遇したので堪えきれず書く。 それは、「くま」である。 「くま」はゲームのなかに「くま」として登場する。 前述した「カラス」や「ムカデ」と同じである。 「くま」というからには、外見がやはり「くま」である。 どこからどう見ても「くま」である。 まあ、「カラス」や「スネーク」が登場するのだから 「くま」がいてもまったくおかしくないのであるが、 どうにもひとつ、気になることがある。 この「くま」、口元が笑っているのである。 なぜか知らんが、半笑いなのである。 主人公の行く手を阻む敵であるくせに、 どう見ても口元がニヤニヤしている。 まるですごくおもしろいことを突然思い出したみたいだ。 しかも右手を軽く挙げている。 「よぉ。ひっさしぶりぃ」という感じで、 右手を挙げながらニヤニヤしている。 この「くま」に出会うたび、 ぼくはヘナヘナと力が抜ける感じがする。 だいたい、森や山道を歩いていて 「くまがおそいかかった!」 というメッセージが出るだけでも 妙に現実的でおかしいのに、 その「くま」ときたら、 ニヤつきながら右手を挙げているのだ。 あまりにも個人的な話で恐縮だが、 ぼくはこの「くま」がかなり気になる。 2003年7月6日時点の フェイバリットモンスターである といっても過言ではない。 「くま」ストラップがあったらぜひほしい。 今日、雪の街に初めて踏み入れた。 印象的なメロディーが流れて、 僕はその風景に少し感動していた。 雪のなかを歩き出すと、モンスターに出会った。 見ると、やつの顔は半笑いで、 右手を「よぉ。また会ったな」という感じで 顔の横のあたりまで持ち上げていた。 違和感があるのは、ヤツの体毛が白いせいである。 名前を見ると、「しろくま」とあった。 |
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2003-07-07-MON
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