ポケットに『MOTHER』。
〜『MOTHER1+2』プレイ日記〜

8月11日 夏の『MOTHER2』


お盆休みを利用して、伊豆にある親戚の家へ来ている。
先週末からいるのだけれど、
今日は立ち会わなければならない取材があったので
東京まで電車を乗り継いで出かけた。

記すまでもなく、『MOTHER2』のささった
ゲームボーイアドバンスSPはバッグに入っている。
新幹線と伊豆急行線を乗り継いで2時間半、
僕はのんびり『MOTHER2』をして
過ごすつもりである。

昼過ぎに伊豆急行線に乗り込む。
車両はお世辞にもキレイだとはいえないが、
ボックス席の窓際に座ると懐かしい感じがある。

先の台風が去ったあと、天気はすこぶるよい。
ぎらぎらとした陽が南天から照りつける。
電車となく、レールとなく、付近の家となく、
ひとしくぎらぎらとした陽の下にある。

時刻が来て電車は走り出し、
僕は窓際の席から窓の向こうを見ている。
駅のホームも付近の電線も、
列車が速度を上げるにつれてどんどん後方へ流れていく。
僕はそれをぼんやりと見ている。

ものすごい緑だ。陽を受けて輝いている。

葉はいちいち深緑である。
印象としては硬質で、陽を受ける一部は真っ白く光る。
一方、すぐ下の葉の陰となると濃い黒色である。
僕が絵描きであったなら
そこを黒一色で塗りつぶすのではないかと思えるほど
葉の陰はいちいち闇である。
硬質な深緑と深い黒のどぎついコントラスト。
そこに蝉の声がかたまりとなってかぶさるから、
どうあってもこれは夏の風景である。

ひとつひとつ目で追っていると、
情報量の多さでくらくらとする。

熱海の駅に着くまで、けっきょく僕は
ゲームボーイアドバンスSPを取り出さなかった。
その一時間、軍配は風景に上がった。

新幹線からの風景は単調なために
僕はさっそく『MOTHER2』を始めたが、
どうにも新幹線の揺れは眠るに最適で、
フォーサイドのデパートを探索しながら
僕は眠りに落ちた。

夏の『MOTHER2』は
いろんなものに邪魔されて進行が滞る。

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2003-08-12-TUE


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