ポケットに『MOTHER』。 〜『MOTHER1+2』プレイ日記〜 |
届いたメールの一節に興味深い問いかけがあった。 読んだあとモニターから目をそらし、 部屋の中空を見つめてまじまじと考えた。 しかしながら答えはしかと出てこない。 なかなか興味深い問題である。 そこには、こうあった。 「どせいさんの大きさってどれくらいなんだろう?」 じつに興味深い問題である。 読んですぐに思い出したことがある。 それは以前に『ドラゴンクエストモンスターズ』を プレイしていたときのことだった。 同じくそのゲームをプレイしていた友人のひとりと、 僕は激しく意見を戦わせることとなった。 なぜというに、彼はキラーマシンの大きさを 「自分の腰くらいの背丈」と言ったのである。 ちなみにキラーマシンというのは 『ドラゴンクエスト』シリーズに 古くから登場するモンスターで、 片手に弓を持ち、片手に剣を持つ、 じつにかっちょいいロボットである。 鳥山明さんのデザインしたこのロボットのことを 僕も友人も大好きだったから、 モンスターを仲間にしていく 『ドラゴンクエストモンスターズ』において ふたりともすぐにキラーマシンをパーティーに加えた。 キラーマシンっていいよな、という次元においては、 僕と僕の友人の見解は完全に一致していた。 だからこそ、その大きさの認識の違いに驚いたのだ。 僕にとってのキラーマシンは、 もっと大きな姿をしていた。 それがいったい何メートル何センチなのかと 問われると困ってしまうが、 少なくとも自分の背丈よりは大きいものだ。 なんなら2メートルくらいあってもいい。 やつはその大きさでもって、 僕の後ろをガッシャンガッシャン歩いてくるのだ。 足下はやや土にめり込むくらいなのだ。 その太い腕で弓を引き、 握った大きな剣で相手をなぎ倒すのだ。 それが、よりによって、自分の腰くらいだって? ちょこまかと素速い動きを見せるだって? 小さくて高性能だから魅力的なんだって? ナンセンス! と僕は否定したが、 あいにくそれは友人も同じである。 というか、そもそも僕らには論拠がない。 互いが互いの「思う」をくり返すばかりで 説き伏せる根拠を探そうともしない。 しかたがないから、しばらくのあいだ、 ふたりして「俺の思うキラーマシン」のマネをして そのへんをのしのし歩き回ってみたりしてみたのだが、 僕らが得た共通の認識といえば いい歳をしてキラーマシンごっこもないだろうという まっとうな反省くらいのものだった。 で、どせいさんである。 これは非常に難しい問題である。 例によって確固たる拠り所などなく、 人によって認識は大きく異なるであろう。 ゲームのなかでの大きさを比べてみるならば どせいさんは主人公よりもひと回りほど小さい。 並べて比べてみると、主人公の目の高さが ちょうどどせいさんの頭のてっぺんくらいになる。 しかしながら、これをもって 両者の原寸の差とするのは、ちと早計である。 なぜならロールプレイングゲームは記号の世界である。 そこでは多くのものが、 「そういったものを表す記号」として表現されており、 デフォルメや画一化が施されて当然である。 でなければ、ゲームに登場する ほとんどの人の背丈が同じだということになってしまう。 けれど、同じ意味でここに 最低限のガイドラインを見出すことは可能だ。 つまり、「どせいさんは主人公よりも小さい」 ということである。 そうでなければ、主人公の記号よりも どせいさんの記号をわざわざ小さく表したりしないだろう。 となると、問題は、その差異が どの程度デフォルメされているのかということになる。 件のメールをくれた方は、 「ゲーム画面での大きさどうりだとすると、 子どもと同じくらいということになる。 それは恐怖をともないはしないか」と書いている。 なるほど、ゲームのなかでの大きさどおりだとすると、 どせいさんはけっこう大きい。 あの大きさで何人も集まられたら、 けっこう迫力があると思う。 意味がないことを承知であえて個人的な印象を書くと、 僕のなかのどせいさんは自分の膝くらいの背丈である。 しゃべるときはちょっと腰をかがめなければならないし、 必要であれば両手で抱きかかえることもできる。 そういったサイズが僕の思うどせいさんなのである、 とまとめて日記を終わらせたとしても なんの問題もないとは思うが、 ひとつ、その大きさであることの根拠を挙げる。 それは、『スマッシュブラザーズ』である。 このゲームに『MOTHER2』の主人公が 登場することは以前に書いたが、 そこには3Dのどせいさんも登場するのである。 僕の印象は『スマブラ』における どせいさんの大きさと非常に近い。 近いというよりもむしろ、 「どせいさんってどのくらいの大きさ?」と訊かれたら、 「『スマブラ』に出てくるくらいの大きさ!」 と答えたいくらいである。 『スマッシュブラザーズ』には過去の名作に登場した 数々のキャラクターが出演している。 それらは開発者の熱意により、 ゲームのなかにいちいち丁寧に再現されている。 クオリティーは恐ろしく高い。 ちなみに、『スマブラ』のなかには ステージとしてオネットとフォーサイドが登場するが そのディテールのこだわりには感服するばかりである。 僕は『スマブラ』というゲームを非常に信用している。 それはやや盲目的といってよく、 このゲームをつくった人たちが 半端なことをするわけがないとまで思う。 ちなみに、そう思う根拠は『スマブラ』がよくできていて 非常におもしろいゲームであるからである。 そういったことを含みながら、 ここに改めて僕なりの大きさを提示する。 「どせいさんは自分の膝くらいの大きさ」 これをもって、いただいたメールに対する 返答とさせていただこうと思う。 もちろん、それが絶対にほんとうだということではない。 いつもたくさんのメールをありがとうございます。 すべて読んで励みにしております。 ※文中で紹介した『スマッシュブラザーズ』とは ゲームキューブ用のソフト 『大乱闘スマッシュブラザーズDX』のことです。 |
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2003-08-28-THU
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