[とある欧州外資系ベンダ企業の Y2K]

さて諸君、
欧州系ベンダとして Y2K を考えると、次の切り口があります。

     1. ユーザ
     2. パートナー企業
     3. EU 本社
     4. 日本支社内

1. ユーザ
騒ぎすぎです。Y2K に限ったことではないけれど、金出したんだから何か問題が
あれば、ベンダは頭を下げてさっさと直すのが当り前という考えが蔓延してる!
金融を見てみましょう。

[いい銀行] ベンダ/SI に頼るのではなく、自らが率先対応。
IT 部門が情報調査、入念なテストを実施しているのでベンダにつまらない
クレームや質問はしてこない。それどころかこちらより情報早かったりする。
例えば他の外資系ベンダが11月に Y2K パッチをいきなり出して、
こちらで気がつく前にうさぎ銀行から、このパッチ適用がうちの製品に必要かどうか
連絡があった。しかもうさぎ銀行でテストした所、関係ないので充てる必要ないと
思うが確認したいという、本当に頭のさがる思い。

[普通の銀行] アンケート回答くらいで他には特に接点がなかった銀行。
銀行がしっかりしているのか、SI をやっているパートナーが
しっかりしているのかは判らない。例:かめ銀行など。

[悪い銀行]
 斜陽な銀行ほどどうやら金融監督庁にいい顔したいらしく、その分ベンダ
への要求が高飛車。アンケートもウチの指定したフォーマット以外は認めない、とワガ
ママをいう。おおかみ銀行なんぞ、「2000年問題で一切障害が起らないことを保証いた
します」書面に社印を押せと言ってくる。こんなことは Y2K
 以外でもできるはずないが、ソフトウェアを全く判っていない人がやってんでしょーね。
 早く口座を閉めようと思ったりする。

2. パートナー企業
ユーザと同じく騒ぎすぎだが、Y2K にも会社のカラーの違いがあって面白い。
大きなパートナーを比較すると

[楽なパートナー]
外資系ベンダのいうことを、ほぼそのままユーザに伝える。
パートナーのエンジニアが、外資系のいい加減なやり方を認識しているので、
ユーザの不満をなんとか納めているのでしょう。

[ちょっと大変パートナー](例:黒ひょう社、らいおん社など)
自社でテストしたり、情報をまとめてから、現場のエンジニアに展開するので、
ベンダの質問やりとりが相当ある。黒ひょう社は重箱の隅をショベルカーで
掘返す質問を延々と繰返す。ユーザから質問があってから初めて考えればいい
ようなことばかりで、こんなことに人と時間をかけるのでは、そりゃビジネス
伸びるはずないでしょ。

[とんでもないパートナー](例:こあら社など)
担当者がお間抜け、ミーティングでもおろおろしがちな叔父さんで、こいつが
こあら社内でうまくY2K 対応を説明できないもんだから、あろうことか自分の不始末
をベンダのせいにして、訴訟をするぞ
 というおどしをかけてきた。こんなつまんない仕
事に時間とられて腹立たしくて仕方ない。

3. EU 本社
Y2K 担当の専門部署はあるのだが、出てくる情報は穴だらけ(他の製品情報等
も同じだけど)。例えばメイン製品である OS の Y2K 対応バージョンはこれこれ、
という情報はあっても、そのオプションや、クライアント製品の Y2K 情報がない
とか。ユーザはシステムの立場の情報が欲しいのに、説明できずに対応にこまった。
質問してもロクな対応は返ってこないし。

開発部門も Y2K は最低限の仕事しかしてくれない。新製品開発と違って、金に
ならない仕事だから当り前だけど。部門をまたがる組合せ製品だと、問題が
タライ回し状態でもー大変。全く連携がとれず、会社レベルで考えて
いる人がいないのがバレバレ。

それでも年末年始の対応はさすがで、31日夜から2日朝までグローバルなミーティング
で状況を報告した。こういう目立つところはしっかり押えている。

4. 日本支社内

営業やSEがもっと情報調べてくれれば、パートナーやユーザの不満/問題を
解決できるのに、これも Y2K に限らず出来ていない。問合せはほとんどそのまま
Y2K 部門にふってくるので、これをさばくのが大変。
金にならない仕事は別の部門におしつける、この考えは変らないでしょうね、
                           



*おわかりだと思いますが、出てくる企業名はもちろん仮名です。
 都合上、割愛部分、多し。