糸井 |
ちなみにですが、邱さんなら、
息子さんへのおこづかいは
いくらあげても平気なわけでしょうけど・・・
年でどのくらいの水準の額を、
息子さんにあげていましたか? |
邱 |
例えばアメリカでひと月アパート借りると
七百ドルくらいかかるだとか、
電車に乗っているわけにはいかないから、
寮から車で移動するための古い車を
友達から買ってもいいだとか、
それと授業料もあるとか……。
そういった計算をしてみると、
仮に一か月に二千ドルかかるとするならば、
二万四千ドルをあげることになります。
いっぺんに、一年ぶんなので。 |
糸井 |
なるほどなるほど。
邱さんがお金をあげるイメージとしては、
月にどのぐらいかかるかをはじめに計算してみて、
12か月ぶん、と。
金額としては、まあ普通だったですか? |
邱 |
普通ですよ。
そんなにぜいたくをするほどの
お金をあげるわけじゃない。
「とりあえずこれを一年間使いなさい。
でも、もう留学途中では送金をしない」
と言っておきました。 |
糸井 |
おおっ。勇気が要りますね。 |
邱 |
留学中に、ぼくの息子が
「今、パリに居ます」って葉書をくれるんです。
でも、パリに遊びに行くお金まで
送ってあげた覚えはないので、
彼は一年分のお金の中から、
自分がパリに行きたい分だけ
節約していたのでしょう。
つまり、だんだん自然に自分で
お金のコントロールができるようになります。 |
糸井 |
実際、できるようになりましたか? |
邱 |
まあ、少なくとも今まで、
「お金をくれ」と言われたことはないですから。 |
糸井 |
ぼく、邱さんの息子さんに
お会いしたことがありますが、
絵描きの人というか、芸術家ですよね。
でも、暮らしのうえでの
社会性みたいなものは、
身についていったのですか? |
邱 |
「そんなにお金は要らない」というタイプです。
あまり欲しがらない。 |
糸井 |
ふーん。
俺、「一年ぶん」というのは、真似しようかなあ。
子どもとお金の関係については、
うちの子どもは女の子ですけど、
やっぱり、考えますもんね……。 |
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