お金をちゃんと考えることから
逃げまわっていたぼくらへ。

第14回 腕があれば、生きていけるのでしょうか?


見本読みのつづきです。
発売まであと1週間あまりになってきました。

わくわくしながら、立ち読みをしてくださいね。
さあ、前々回のつづきを、どうぞお楽しみください。

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【腕があれば、生きていけるのでしょうか?】

糸井 江戸時代には、家が火事で焼けてしまい、
貯めていてもそれがパーになっていたから、
享楽的に見える江戸っ子文化みたいなものに
自分のアイデンティーを見出して、
「宵越しの金は持たない」
と言いたくもなってくるわけで・・・。

そういうところで、どうも
自分も四十八歳ぐらいまでは
生きてきちゃったような気がしてんです。

お金がどうせ消えてしまう社会なら、
そのかわりに頼りになるものは
……腕ですよね。

で、
「おれにはこの腕さえあれば、
 『包丁一本、サラシに巻いて』で、
 どこでも飯を食っていける」
ということになれるようにがんばるとか……。

でも、それは経済から外れているんです。
ただ経済を文化に転換させて
自分のお金のことを捉えているものだから、
やっぱり、そこではお金そのものについてきちん
とわかっていることにはならないわけで……。

ぼく自身に関しても、
そんな江戸時代からの
職人のような気持ちで生きてきたわけです。
こんな現代の今の自分にもそういうことが
起きていたのだと思うと、ちょっとその
「お金を考えられない日本の伝統」
を感じてゾッとしたと同時に、
「ああ、みんなもまだ考えられないんだ」
と思ったという、ぼくには
けっこうおもしろい発見でもあったんです。
江戸時代からの日本は、
破壊があって建設がある、
という歴史ですからね。

しばらく破壊が続いていないと、
今みたいにおかしくなっちゃうというか。
糸井 そうです。
今までは破壊のない状態に、
慣れていなかったわけです。

だから戦後は
「お金を貯める」とか
「お金を動かす」ということについて、
付け焼き刃で考えざるを
えなくなってしまったようなんですよね。

バブルの時なんて、
神田に住んでいた人たちが、
自分は大金持ちになっちゃうかもしれない、
とか思いながら、
狭い土地を守っていたり……。
あれはあれで、つらかっただろうとも察します。
今までにない喧嘩も起きただろうし。
あれはあれで、新しいことだったから
辛かったのでしょうね。

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※明日につづきます。

 注文メールの横に感想を沿えてくださったかたたちの
 文章、やっぱりすごくいいんです。一部をご紹介!

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★お金、向き合ってはいないですねぇ。
 少ない手取りの中から
 いかにして生活していくかで頭はいっぱい・・・。
 何か、よりよく生きていけるための
 ヒントが見つかればと思います

★常々、人の金銭感覚、金銭管理能力は
 どうやって身についていくのだろうと
 不思議に思っていました。
 やはり幼いころのしつけでしょうか?
 日ごろ主人とは家計に関してはもちろんのこと、
 現在主人がやっている
 自営業の会計についてももめます。
 運営方法などではなく、
 あまりに主人がお金に無頓着なためです。
 主人はまさにこの本の題名どおり
 お金の面倒なことから逃げ回っており、
 心配でついつい口を出す私を
 「銭ゲバ」呼ばわりします。
 大人になってからでもお金に対する姿勢は変わるのか?
 まずはこの本を主人とともに読みたいと思います。

★いつも気楽に読ませていただいています。
 (会社のマシンから送りますので手短に)

★私の実家は建築関係の
 下請け業を主にしている会社です。
 小さいながらも従業員も雇って、
 それなりに稼いでいます。
 大金持ちでも貧乏でもありません。
 もともとの金持ちではなかったので、
 お金の使い方が分からない小金持ちです。
 私も小さい頃から、欲しいものはだいたい
 買ってもらえてました。

 けど、そんなに欲しくないものでも
 買ってもらえて・・・
 気がついたら買いたいものを本当に必要なのか、
 いい物なのか、なんにも考えずに物を買うように
 なっていました。
 消しゴムも鉛筆もノートも使い切ったことなかったし、
 洋服も一度も袖を通さなかったモノもあったし・・・
 あげたらキリがないくらい。

 だけど、自分からモノを欲しがる事をほとんど
 しませんでした。
 何かが欲しいって感じることが
 あんまりなかったみたい。
 黙ってても買い与えられたからかな?

 でも、自活してからですね、変わったのは。
 節約って事じゃなくて、なにも考えなしに
 お金を使うことが少なくなったみたいです。
 欲しいものも少しは増えてきたし。
 私も今、世間で言うお金持ちではないことは確かです。
 貯金だって引越でもすれば底をつく程度です。

 けど、不思議とお金に不自由してるって感覚は
 まったくありません。
 小さい頃からずぅーっと、それは変わりません。
 (親に援助してもらっていませんよ。)
 お金の使い方もわからないし、お金ってなんだかも
 わかりません。
 だからこの本を読んで
 少しでもヒントを見つけられれば・・・
 と思い、注文しました。
 間隔をあけて何度も読んでみたいと思います。
 それでは届くのを楽しみにしています。


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みなさん、どうもありがとうございました。
この感想メールを読んでいるだけでも、
お金について改めて考えさせられますねっ。

2001-02-13-TUE

TANUKI
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