糸井 |
確かに、上場をすると、
守りの仕事もとても増えますよね。
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邱 |
上場をすると、
自分がひとりでやっていた時の逆を、
ぜんぶやらなきゃいけなくなるんです。
個人事業に毛の生えた企業になら利益を出すな、
お金を使えと
税理士の先生にアドバイスをされていたのが、
冒険はするな、節約して利益をあげろ、
と何から何まで逆になるんですから。 |
糸井 |
ガマン仕事が増えますね。 |
邱 |
手足をしばられて生きるようなものですよ。
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糸井 |
そう考えているということは、
事業って、邱さんにとっては
作品のようなものなんでしょうねえ。
小説を書くように、
事業のここをこうしたらこうなって、
ここでは思いがけないことが起きて、
俺がこう考えたからこそ
その時にこうした……。
話をうかがっていると、
そういうプロセスのほうが、
お金儲けよりも邱さんの中では
重視されているように思えます。
邱さんの手がけるひとつの企業の歴史は、
一冊の小説のようにさえ見えますもの。
だから、たくさんの会社を
邱さんはおつくりになったのでしょうか? |
邱 |
ええ。まあ、そうでしょうね。 |
糸井 |
そういう意味では、
邱さんは企業という作品を、
量産してらっしゃいますよね。
でも、邱さんの上場についての考えは、
まっとうでうれしいなあ。
おもしろいです。
世の風潮としては、ずっと
株式の店頭公開が
ブームみたいになっていて、若い人たちは、
「何をしたいか」というよりも先に
「上場する」ということを目的にすえて
発言をしていますもの。 |
邱 |
ことに最近のように、会社を売るために
会社をつくるという考え方には、
同調できませんね。 |
糸井 |
お金の神様ですら、反感を感じるんだあ。
ぼくも、そうだったんです。
……まあだいたい
普通の神経の持ち主だったら、
そうだと思うんですよ(笑)。
でも、お金のことを
きちんとわかっている人に
そう言ってもらえると、スカッとしますよ〜。
うれしいなあ。
聞いていて、気持ちいいですよ。 |
邱 |
お金の亡者のような人を
ぼくはたくさん見てきているから、
お金のためなら手段を選ばない人よりも、
金のことなんか考えないで
一所懸命やっている人のほうが、好きですよ。 |
糸井 |
じゃあ、そこの点では
間違いなく俺は好かれますね(笑)。
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