アジオ&アジコ |
博士こんにちは! |
博士 |
あいさつなんて後回し!
さあ、いまスグ出掛けるぞい! |
アジオ |
なんですか博士、そんなに慌てて。 |
アジコ |
ホント。一体どこへ行くんですか? |
博士 |
ドブ川だよ、ドブ川!
埼玉のドブ川がいまゴールドラッシュなんじゃい! |
アジオ |
それってもしかして先月の29日30日の2日に渡り、
合計1700万円の現金が見つかったっていう例の? |
アジコ |
遅いわよ、いまさら!
噂を聞いたお調子者が
さっそく押し寄せたっていうけど
さすがにもう打ち止めだったらしいわよ。 |
博士 |
結果なんていいの!
ゴールドラッシュだよ?
男のロマンじゃないか! |
アジコ |
真冬のドブ漁りがなんでロマンなのよ! |
アジオ |
でもそんな大金、どうして捨てたんだろう? |
博士 |
放流したんじゃない?
数年後には利子がついて
またドブ川をのぼってくるんだよ。 |
アジオ |
シャケかよ!
そんなことよりボクたちには
もっと素晴らしいお宝があるじゃない! |
アジコ |
そう! 味写という立派なお宝がね! |
博士 |
おお、よくぞ申された!
味写こそが真のロマン!
目先の現金に惑わされるではありませんぞ。 |
アジオ |
さっきまで目の色変えてたのは博士でしょ! |
博士 |
葉加瀬太郎さんはそんな人じゃないぞ! |
アジコ |
(完全に無視して)じゃあ今週の一枚目、
ハンドルネーム・まおまおさんからの
作品で〜す!
|
アジオ |
火事だ〜!!
おじいちゃんの頭が火事だ〜!! |
アジコ |
大変! バケツリレーよ!
早くお風呂の残り湯を! |
博士 |
これ! 慌てるでない。
ホレいま一度火元を確かめてごらん。 |
アジオ |
そう言われてみると‥‥確かに不自然だね。 |
アジコ |
毛のない‥‥いえ、火のないところに
煙だけ立つなんて。
じゃあバルサンかしら? |
博士 |
火事でもなければ、バルサンでもない。
煙の正体は後ろに掛けている掛け軸の模様なんだ。
それが偶然にもおじいさんの頭と
ピタリと一致したんだって。 |
アジコ |
本当に偶然かしら?
いままさにお肉を頬張らんとする瞬間に
こんなミラクルを起こすなんて‥‥
凡人には出来ない芸当だわ。 |
アジオ |
これはおじいちゃんの演出だよ。
焼き肉の美味しさをことばではなく
ビジュアルで伝えたかったのさ! |
博士 |
美味しくてほっぺたが落ちるというのは
よく聞く表現だけど、
それ以上に美味しい場合は
頭から煙がのぼるというわけか。 |
アジオ |
世界中に感激を伝えたいのさ。
インデアンの「のろし」が
ヒントになったんじゃないかな? |
アジコ |
もしくはエクトプラズムじゃない?
幽体離脱するほどの美味しさを
表現したかったのよ。 |
博士 |
そのためにこれほど趣向を凝らした
トリックアートを仕立て上げたというわけか。
なんて偉大なアーティストなんだ、
このおじいちゃんは! |
アジコ |
ホットプレートに対する
ライバル心もあったはずよ。
ワシの方がホットじゃい!っていう。 |
アジオ |
この意気込みが戦後の復興を支えたんだよ! |
博士 |
たしかにこの作品には偶然以上の必然を感じるね。
このおじいちゃんが確信犯か否かは
もはや問題じゃない。 |
アジオ |
それより大切なのはほとばしる生命感だね。 |
アジコ |
お年寄りが頭から煙を上げて肉を喰らう‥
その意味不明なワイルドさに拍手よ! |
博士 |
これこそが男のロマンじゃな。
よし、ではテンションも上がったところで
次の作品を拝見しようか! |
アジオ |
合点だい!
お次は栃木県のハンドルネーム・nuntaさんの
作品だよ!
|
アジオ |
‥‥‥結局なにがしたいんだ!
このオバサンは!! |
アジコ |
超能力でフォークを曲げたいのよ。
このオバサン超能力者なのよ。
ホラ見て、この集中力! |
アジオ |
プラスチックのフォークを?
先っぽにイチゴが刺さったままで? |
アジコ |
イチゴが刺さっていた方が注意を引くでしょ。
決定的瞬間を可愛い孫娘に
見逃して欲しくないのよ。 |
アジオ |
娘さんはカメラ目線じゃん。
フォークなんて
まったく視野に入ってないじゃないか。 |
博士 |
ひょっとしてこのオバサン、
イチゴを見るの初めてじゃないのかな? |
アジコ |
そういわれて見ればそんな表情にも見えるわね。
珍奇なる赤い果実を前にした
困惑と逡巡が伝わるわ。 |
アジオ |
よく見てよ。
もうひと口かじってるじゃないか。 |
博士 |
う〜ん、じゃあギネスに挑戦中かな? |
アジオ |
どんな種目? |
博士 |
人は何時間、孫に無視されながら
食べかけのフルーツを
フォークに差したままでいられるかレース‥‥? |
アジオ |
なんでもアリかい!
逆に知りたいわ! いままでの最高タイム! |
アジコ |
なによ。
アジオ君ったら人の意見にケチつけてばっかりで。
アナタの意見はどうなのよ! |
アジオ |
最初はまさかと思って、
自分の中で否定したんだけど‥‥
たったいま確信したよ。
このオバサンの表情でね‥‥ |
博士 |
もったいぶらずに早く教えておくれ。 |
アジオ |
生まれ変わりなんだよ‥‥このオバサン。
マリーアントワネットの‥ |
アジコ |
マリーアントワネット!? |
博士 |
18世紀末のフランス王妃、
フランス革命で断頭台の露と消えた
あのマリーアントワネット!? |
アジオ |
「パンが無いなら
お菓子を食べればいいじゃない。」
マリーアントワネットのこの有名な台詞は
ご存知だよね。 |
アジコ |
もちろんよ。
ベルバラは私のバイブルですもの。 |
博士 |
当時、フランス王室の圧政に苦しんでいた市民は
パンさえろくに食べられなかったという。
しかしそんな状況を聞かされた
当のアントワネット王妃は
涼しい顔でこういったらしいね。 |
アジコ |
ならばお菓子を食べればいいじゃない。
いかに王室が民衆に無関心であったかを伝える
有名なエピソードね‥‥ってまさか! |
アジオ |
その、まさかさ。
オバサンはこのケーキに乗っかったイチゴを
ひと口食べて悟ったんだよ!
自分の前世をね‥‥ |
博士 |
前世で口走ったあの台詞が
目の前のケーキと
オーバーラップしたというわけか‥‥ |
アジコ |
だとしたらこの表情は‥‥ |
アジオ |
ボクの口から言えるような、
そんな生易しい感情じゃないよ。
ベルサイユ宮殿での華やかな宮廷生活、
そしてその後革命の名と共に押し寄せた
耐え難い悲劇‥‥激動の生涯が
走馬灯のように駆け巡っているはずさ。 |
アジコ |
可愛い孫の誕生日に‥‥
そんな! 酷い! あまりに酷すぎる! |
博士 |
しかしさすが元王妃だね!
ご覧なさい、この表情!
前世の苦渋を噛み締めながらも
全存在を賭けて受け止めようとしているよ。
己の運命をね。 |
アジオ |
そう、それに悲観ばかりじゃないハズさ。
民衆に市販のお菓子が行き届く‥‥
そんな時代に生まれ変わったことに
彼女、心の奥では感謝してるんじゃないかな? |
アジコ |
ロマンねえ‥‥
時空を超えた、これぞ歴史ロマンだわ! |
博士 |
うん。
今週はなんとロマンに満ちた
味写作品が集まったことだろう!
さあ、ふたりともちゃんとごあいさつ申されよ。 |
アジオ&アジコ |
まおまおさん、nuntaさん、
大変美味しゅうございました。
夢と勇気をありがとう! |
博士 |
うん、よろしい。
やはり味写こそが現代のお宝だったということが
これでバッチリ証明されたようだね。
さあ全国のみなさん、この夢見がちな中年に
味写という名の財宝を
思うさま送りつけてくだされ! |
アジオ&アジコ |
よろしくお願いしま〜す!
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