アムスでダンス。
J-POPはオランダの夜に流れる

第4回 スシサウンズ


先日から下で告知させていただいておりますが、
実はリオ吉、主催者が違う
Sushi Sounds(スシサウンズ)という
別のイベントにも関わっております。
「なんじゃこのタイトル」と思われると思います。
リオ吉の抵抗空しく、
「オランダ人を惹きつける日本物はスシしかない」と、
こういうイベント名を付けられてしまいました。
しかし、人間慣れると、何でもいいものになってきます。
ハハ。

きっかけは2000年にアムスで行われた
渡辺貞夫さんのコンサートでした。
西暦2000年はオランダの東インド会社の船、
デ・リーフデ号が大分県に漂着してから
ちょうど400年目にあたる年でしたから、
日蘭両国政府の主導で、というよりお金が出まして、
日蘭双方にていろいろな催し物がありました。
そのなかに渡辺貞夫さんのバンドのツアーもあったのですが、
リオ吉も裏方の一人として関わりました。
そのとき、コンサートに来ていた一人のオランダ人が
日本の音楽のラジオ番組を作っているといって
番組のチラシを渡してくれたのです。

そのときから親友になったのが、Arjan君です。
Arjanは自身がドラマーだった15年ほど前に
まずボアダムスやハイノケイジなどの
日本のアングラ音楽に嵌まり、
そのうちに日本の音楽全体に嵌まって、
音楽雑誌に記事やレヴューを発表してきたりしました。
そうこうしているうちに、レコードやCDも
溜まってきたので、自分で持っているだけでは
もったいないと、ラジオ番組を始めたいと思ったのですが、
どのラジオ局も相手にしてくれません。

ですがそこはアムステルダム。
Krakersスクワット(不法占拠者)の人々がやっている
海賊ラジオ局があります。
スクワットに関しては別の回にまた詳しく書こうと
思いますが、不法・海賊と来ても、
ただ単に無法な人たちなのではありません。
国家や共同体などから与えられる、
または押し付けられる法律や道徳と違う倫理を持ちながら
生きようとしている人たちが多いのです。
例えばラジオですが、公立局は規制が多すぎたり、
民放では商業ベースに乗らないものは放送されません。
ところがこの海賊ラジオ局でなら、
人と違う特色ある放送をする限り、時間が空いている限り、
1時間15ユーロ(2000円)の局維持費を払って
好きな曲を好きなだけ流せるのです。
http://www.radio100.nl/

そうやってArjanは毎月2回、自腹を切って3年間、
日本の音楽を紹介する番組を放送してきたのです。
なんと日本思いな人でしょう。
世界にはいろんなことをやっている人がいます。
頭が下がる思いです。
ところでこのArjan君、
まだ日本へ行ったことがありません。
日本の某政府機関に、活動内容や発表記事などとともに、
日本への取材を援助してくれるよう手紙を出しましたが、
返事も来なかったそうです。
全く記事を書いたことのないロシアからは
音楽評論家として観光局から招待されたというのに。
どなたかArjan君を日本へ呼んであげてくださーい。


Arjan君ことArjan van Sorge氏とその家族です。


彼はDJもやります。

そのArjan君に、アムステルダムの南に隣接する
アムステルフェーン市に2001年に新しく出来た
P60というクラブから、
日本に関するか、または日本人を対象とした
イベントの開催を手伝ってくれるようにとの
依頼が入りました。というのは、
ちょっとした高級住宅地であるアムステルフェーン市には、
日本企業の駐在員とその家族を中心に、
2000人ほどの日本人が住んでおり、市における最大の
外国人コミュニティーを形成しているのです。
事務所を置く日本企業も多く、
市の方でも日本企業の誘致に積極的です。
これも実にオランダらしいといえばらしいのですが、
P60はどっからどうみても
建物のつくりはクラブなんですが、市立なんです。
そういうわけで市の意向として
日本文化を紹介するイベントのプロジェクトが
P60とArjanとリオ吉を中心に始まりました。

ところで、バンドを一組日本からオランダへ呼ぶのに
どのくらいの費用がかかるでしょう?
まず飛行機代、バンドのメンバーと
マネージャー兼音響さん一人分ぐらいは必要。
それからホテル、公演日にオランダに来て
その夜泊まるだけで帰るという八甲田山巡業にしても
メンバー全員分要ります。移動のための車も。
車があっても言葉も良く通じない初めての土地では
迷うだけですから、運転してくれる人も。
楽器を持ち込んだら重くなるので
エコノミークラスでは追加重量代が取られてしまいます。
ピアノとかは持ち込むわけにもいかないので
借りないと、、、、、、あ、ギャラもあるのでした。

という風に決して安いものではありません。
何千人と呼べるアーティストなら一回で可能なのですが、
とてもひとつの会場の公演だけで
アゴアシマクラを賄うことは出来ません。
そこでSushi Soundsは次の方法を取っています。
情報アンテナを高く伸ばして、
欧州をツアーしようとしている
日本バンドの情報を捕まえます。
そしてスケジュールに合う日をブッキングして
その日をSushi Soundsの日とするのです。

こういうやり方で、過去にeX-Girlや
Mummy the Peepshowなどのバンド、
近藤等則さんなどに出ていただきました。
サポートに日本人学校の学生バンドに
出てもらったりもしました。
Sushi Soundsですからお寿司屋さんには
屋台を出してもらい、寿司や串カツを売ってもらいました。
世界広しといえども、串カツ売ったクラブイベントは
ここしかないだろうと自負しています。

ところが、この方法では大きな問題がひとつあります。
ヨーロッパをツアーしているバンドが数ヶ月にひとつか、
来ない時は半年にひとつぐらいしか見つからないのです。
正に、みんなが忘れた頃にやってくる。
はい、ここでさらなる告知です。
日本のミュージッシャンの皆さん
どんどん海外へ出てきてください。
出来るお手伝いは何でもしますので。

ひとつだけ間違いなく言えることがあります。
日本でプロでやっていけてるミュージシャンなら
間違いなく欧州でもライブは通用します。
リオ吉、それに関してはなんらの心配もしておりません。
体格などの身体能力が大きく左右する
スポーツの世界でもあれだけやっていけるのです。
音楽は体がでっかくある必要なんかありません。
日本でプロなら世界でもプロです。

もうひとつ、アムステルフェーン在住の日本人の方で
ほぼ日読者の方、お友達をつれて、
特にオランダ人の友達をつれてご来場ください。
このイベントが始まる理由となった
日本人コミュニティーのサポートが
正直、今ひとつなのです。
ミュージシャンもイベントも
来てくださる人のサポートで育つものです。

下に告知しました24日のイベントは、
来てもらえれば
「日本のクラブミュージックって
 こんなにかっこいいいんだ」
って、きっとわかってもらえる
QypthonePitchtunerのラインナップです。

当面、ダム市のウィンストンでは
DJ中心のバージョントーキョー。
バンドが来たらフェーン市のP60で
Sushi Sounds、という形でやっていきますので、
みなさん、よろしくお頼みもうします。

リオ吉


SUSHI SOUNDS (No.4)
with Qypthone + Pitchtuner


日時2003年10月24日(金曜日)午後9時開場
場所P60 Studsplein 100A, Amstelveen
   アムステルフェーンセントラムの中央図書館横です。

入場料当日8ユーロ、前売り7ユーロ

詳しくは http://www.p60.nl/

Qypthone http://www.qypthone.com/
 コンセプトをつかさどる中塚武、シンボルの大河原泉を
 中心とした音楽チーム、QYPTHONE(キップソーン)。

2003-10-23-THU


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