阿曽山大噴火さんと 裁判に行こう!
裁判という場では、型にはまった答弁のように 事実が淡々と述べられるのだと思っていました。 でも、ちがいました。 法廷にいる被告人、弁護人、裁判官、検察官。 裁き裁かれる4者がひとつのチームのようになって 未来を見据え、結論をみちびくようすは 活気あるミーティングとドラマを足したようにおもしろい! 裁判傍聴のプロフェッショナル、 阿曽山大噴火さんが案内役をつとめます。
阿曽山大噴火さんのプロフィールはこちら
公判3 新件 占有離脱物横領・住居侵入  被害者宅で就寝事件 3
 
おそらく50代、やや長髪。
羽田孜さんに似ている。
 
若めの検察官。
ピンクの
ネクタイをしている。
被告への尋問の際、
なぜか口調が変わり、
ふるさとの訛りが出る。
これまで傍聴した
裁判に比べて、
年齢がかなり上の弁護人。
白髪で、べっ甲の
ような眼鏡着用。
やわらかい物言いで、
「男はつらいよ」の
おいちゃん、
松村達雄さん似。
50代男性。
知り合いの女性の家に侵入した疑いで
法廷に立つ。前科4犯。
Gジャンのベストを着ている。
終始小声でうつむきかげん。
もと交際相手の部屋に
たびたび無断で進入している被告人に、
「一回刑務所行ってみる?」
と問いかける検察官。
被告人が住居に侵入してしまうおもな理由は
お金の無心および酔った勢いのようです。
   
 
いろいろ前科はあるんだけど、
まあ、あなたの場合、
酒さえやめてさ、仕事も決めて、
そんで、家、決められる‥‥よね?
 
 
 
 
はい。
 
 
   
 
NPO団体のやってる施設があるけど、
そういうの、行きたくない?
 
 
   
 
行きたくはないけど‥‥  
 
   
 
住所が決まれば
国からの保護も受けられるから。
 
 
   
   
 
あなたはいま、50歳でしょ?
まだ働けるでしょう。
 
 
   
 
(うなずく)  
 
   
 
土木技術を活かした仕事を
するといいよね。
 
 
 
 
はい。  
 
   

検察官、弁護人からの
尋問が終了しました。
最後に、裁判官です。
   
 
Kさんの家に行ったとき、
どういう気持ちでしたか?
酔ってて、憶えてないの?
拒絶されるとは思わなかった?
 
 
   
 
まさかこんな‥‥裁判になるとは、
思いませんでした。
 
 
   
 
これが犯罪になると
思わなかったんですね。
 
 
   
 
甘えがありました。
 
 
   
 
ほんとに寝てただけなんだけどなあ、という
思いを持っていたんでしょうね。
そこが甘えであった、と。

 

 

 
   
 
求刑、懲役1年6ヶ月。
 
 
   
 
被害者との同棲経験から
甘えがあり、
被告人はもう進入はしないと言っています。
執行猶予つきの寛大な判決を
お願いいたします。
 
 
   
 
最後に、何か言うことはありますか。
 
 
   
 
はい。被害者には申しわけないです。
 
 
   

公判が終了し、
裁判官、弁護人、検察官は
その場で次の公判のスケジュールを
相談しはじめました。
   
 
公判が終わったあとに、
被告人と傍聴人のいる前で、
こうして日程の調整をすることも
初めて傍聴する人には驚きですね。

 

 

 
   
 
次回は判決ですが、どうします?
 
 
   
 
8日の9時40分でどうです?
 
 
   
 
わたし、ちょっと遠いから無理だなあ。
 
 
   
 
それ以上遅いと、おそらく
次に引っ掛かっちゃいますね。
 
 
   
 
なるほど、そうですね。
9時50分だとどうですか。
 
 
   
 
そうですね、
9時50分だと大丈夫です。
 
 
   
   

それにしても、この裁判では、
被害者の女性の心境と
ふたりの関係が気になります。
傍聴を終え、そのことについてしつこく語る
阿曽山さんの動画をごらんくださいね。
   
   

明日、最終回です!
   
 
2007-01-25-THU