ほぼ日刊イトイ新聞 - 『バカドリル』を知ってますか～？

天久	前から、聞きたかったんですけど、カツキさん、ネタによってタッチ変えるじゃないですか。それって結構すんなり決まるんですか？
タナカ	何かに基づいているネタとか、たとえば、折り紙の折り方だったら、あるじゃないですか、折り紙の折り方のタッチみたいなやつ。
──	ありますね。
タナカ	救急のしおりとか。パロデイもとが、ちゃんとあるやつはそれに合わせて一応描くんですよ。
──	へえー。
タナカ	で、ないのは考えるしかないから、めんどくさいんだけどねえ。
天久	（笑）。浮気のやつとか、
タナカ	浮気のやつはね、浮気とかそういうものってほとんどリアルタッチじゃなくてキャラクターにしてるんですよ。法律事務所のHOW TO とかね。
──	うん、うん、うん。
タナカ	法律だとか、公務員系のものってリアルタッチよりも、２頭身とか３頭身のマスコット的なキャラクターにしてやらせるものが多いんだよね。
天久	やっぱり生々しいからかな、お金を扱ったりとか。
タナカ	そうだね、生々しいものはそういうキャラ化しちゃうんだよね。
一同	うーん。
──	じゃ、そういうのを、研究したりしてるんですか？
タナカ	たとえば市民便りとか、市役所とかにあるものとかさ。工場見学とか、そういうものをチェックしますよ。
──	ああ。
タナカ	例えばこれはネタが浮気。ダークだから、キャラクター化してるんです。『新しいバカドリル（下）』より
──	本当の自分の絵柄っていうのはどこらへんなんですか？
タナカ	ないんですよ。
──	（笑）。
タナカ	すっごい不安になって。何年かやってたら自分のタッチって、見つかるんじゃないかと思ったけど、もう20年以上経って全く見つかんなくて（笑）。
天久	（笑）。
タナカ	ほんとに。恐いです。
──	もともとは、叙情派マンガ家として売ってらっしゃったんですよね？
タナカ	そう、叙情派マンガ家なのに。
──	お好きなのは叙情系なんですか？
タナカ	好きなんですけどね、うん。なぜかマンガの発注、ほんとないんですよ。
一同	（笑）。
タナカ	描きたいんだけど。自分で「マンガ家だ、マンガ家だ」ってすごい言ってんのに。
──	マンガ家なのに‥‥（笑）。
天久	あ、あと、僕ね、ぜひ見せたいのが１個あるんです。
──	ぜひ、願いします。
天久	これ、「台無しレシピ」っていうやつで。
タナカ	そうだね。「台無しレシピ」、面白いね。
──	（笑）。
天久	作るんじゃなくて、効率よく、全部台無しにするっていうもの。『新しいバカドリル（下）』より
──	こりゃあ、台無しだ（笑）。まず、卵、割っちゃうんですか。
天久	（笑）。
──	あー。
天久	せっかくの誕生日ケーキをぐちゃぐちゃにして、一旦、ソバにしちゃったりね。
タナカ	（笑）。
──	嫌ですねー。
タナカ	バチ当たるね。
──	ほんと、怒られちゃいます。台無しです。こういうネタが、たっくさん入った上下巻、たのしみですよ～。みんな、立ち読みじゃなくてちゃんと買ってもらえると、いいですよね（笑）。
天久タナカ	おねがいします（笑）！！！
	（おしまい）

『新しいバカドリル』の中から厳選したものを、
少しずつ掲載させていただくことになりました。

落語入門（『新しいバカドリル（下）』より）

天久：
落語って仕草を、扇子と手ぬぐいで全てを表現するでしょ。
それの色んな例です。

タナカ：
最後はね、ほんとに道具として器用に使っちゃうんです。

2008-11-28-FRI

（C）HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN