ふじた ミコノスでは日中、
どんなふうに過ごしているんですか?
よしもとさん ゆっくり起きて、朝ごはん食べて
昼間は車でビーチに行って泳いで、
夕方一度ホテルに帰ってシャワーを浴びて、
また街に出ていく、という感じかな。
ふじた 街ではショッピングもされますか?
ばななさんの小説の中でも
ミコノスのアクセサリーショップが
出てきますけど。



▲ミコノスタウンにはアクセサリーショップがいっぱい。

よしもとさん もちろんしますよ。
だって、ほかにやることがないし、
ずっと食べてるわけにもいかないし。
ゆーないと どういうものを買うんですか?
よしもとさん なんだろう、いろいろ。
ビーズのアクセサリーも買ったし。
そうだ、あと、
何ともいえないお店があるんですよ。
「これ、そのへんの浜辺の石だろう!」
っていうような石を研磨して
金や銀と組み合わせて作った
アクセサリーのお店があるんです。
そこのお兄さんはゲイで、
とにかくすっごくセンスがいい。
そこにはいつも行きます。
ゆーないと へぇ~!
よしもとさん それから、海綿のお店もありますよね。
ふじた ああ、海綿、はい。
天然のスポンジですね。
よしもとさん そう、狭い店内に海綿をたくさん積んで
売っているお店があるんですけど、
そこのおじさんが、
海綿が乾かないように
いつもずーっと水をかけているんです。
前回行ったとき、同じ場所になかったから、
引っ越したのかつぶれたのかわからないですけど、
天井まで海綿がふわふわっと積まれている、
あの売りかたは生まれてはじめて見ました。
1つ1つの値段もかなり違うけど
あれはどういう値段の
つけかたをしているんだろう‥‥?



▲海綿のお店。天井まで海綿が積まれています。


ふじた あれ、命懸けで獲ってるらしいです。
よしもとさん え?
ふじた 海綿はギリシャ語で「スポンゴ」と言うんですけど、
エーゲ海の東にあるカリムノスという島が
質のいい海綿が穫れることで有名なんです。
その島にいるスポンゴ獲りのダイバー達は、
海をすごく深く潜って獲っているから
潜水病に苦しんだり、潜水事故で
亡くなったりする方も多いらしくて。
よしもとさん そうなんですか。
じゃ、大切に使おう。
普通に使ってたけど、大切に使おう。
ねえ、あれってどういう形で海の中にあるの?
ふじた あれは海綿動物の一種なので、
海底に、モサッと塊で生息しています。
よしもとさん ああ、モサッと。
売っているものは、
それを切って、1回漂白していますよね。
ふじた あ、そうです。
黄色いのは漂白していて、
茶色いのは無漂白です。
よしもとさん 値段の差はそういうのも
関係しているのかな。
ふじた はい。あと大事なのが密度らしいです。
大きくてキメが細かいのが良いそうです。
よしもとさん なるほどね。
このあいだ、日本ですっごく小さいのが
1000円くらいで売っていたんですけど、
それに比べたらギリシャのって
すごく大きいですね。
ふじた はい。かなり大きいです。
エーゲ海の代表的なお土産ですね。
よしもとさん うん、その海綿の店では、
お店のおじさんが
呼び込みをしてました。
ふじた ショッピングのほかは、
どんなふうに過ごしているんですか?
よしもとさん 散歩したり‥‥あと、夕陽を見たり。
みんなが夕焼けを見に行く場所、ありますよね。
えーと‥‥どこだったかな。
ふじた リトル・ヴェニスですか?
海に沿って、ベネチア風の建物が
並んでいるところ。



▲リトル・ヴェニス。海岸に沿って建物が並ぶ。


よしもとさん うん、そこそこ。
そこも行くし、
まぁ、べつの港でもいいんだけど、
ただ夕陽が沈むのを、とりあえず
みんなでじっと見るわけです。
それで「まあ、沈んだし、行こうか」
みたいな感じで、また動き出す。
で、ミコノスは意外に
この夕陽を見る場所が穏やかじゃなくて
波がザッパンザッパンしてるの(笑)。
それがちょっと印象的でした。
みんなガヤガヤしてるし。
ふじた 波打ち際ギリギリのとこで
食事をとってる人とか。



▲波がくるギリギリのところまでテーブルが。


よしもとさん うん。濡れてる人さえいました(笑)。
そういうのいいですね、のどかで。
イタリアのカプリとかサルデーニャで
同じことをやるかっていわれたら、やらない。
ふじた 同じように
夕陽を見たりしないんですか?
よしもとさん まぁ、見てる人は見てるんでしょうけど、
たとえばカプリだと、
もっとスノッブな感じなんです。
そもそもカプリって、切り立った崖だから
浜がほとんどないんですけど、
もし夕陽を見るなら、
どこかの屋上のバーで‥‥という感じ。
だいたいカプリでは、
夕方になったらみんな
叶姉妹みたいな服に着替えて、
それぞれパーティに出かけて行くんです。
あとはもうベタベタの観光客。
どっちかしかいない。
ふじた じゃ、たとえば、カプリで
ちょっといいもの食べようと思ったら‥‥
よしもとさん とんでもないパリッとした格好して、
それも世界レベルでパリッとしてないと
お店に入れてくれない。
ふじた ひぇー。
サンダル禁止とか
そんなレベルじゃなくて。
よしもとさん ないないない、もう全然ない。
ゆーないと カプリ怖い!
よしもとさん そう、私もカプリ怖い(笑)。
ちょっとね、カプリは深すぎたな。
ふじた そういう意味でいうと、
ミコノスは、どんなお店も、
サンダルで適当な格好してても
問題ないですよね。
よしもとさん そうそう。
それが、すごくいいと思う。
(つづきます)

2014-03-19-WED




※3月26日(水)午前11時~4月1日(火)午前11時の間、
 消費税改訂の準備のため「ほぼ日ストア」が休止期間に入り
 商品をご購入いただくことができませんのでご注意ください。
 4月1日(火)午前11時以降は、消費税が8%になります。

写真協力:ミコノス島でのばななさんの写真/よしもとばなな事務所 提供 ミコノス島の風景写真/Kinji Hayakawa 提供