愛されない虫の広場

第2回

darlingが自宅から鼻息荒く「弱弱クロゴマムシ」の
亡きがらを持参しました。

「ふっふっふ……どうだっ!」って、自慢してどうする?!
あ、原稿まで置いていきました。

『こんにちは。愛されない虫に愛される男です。
虫の死骸を持って来がてら、報告もします。
みなさまの親切メールを読むにつけ、
ぼくには、ある場所が気になりはじめていました。
台所の横の洗濯機の奥の、乾燥機の下のあたりです。
と言っても誰もわからないと思いますが、
そこが、我が家の新宿歌舞伎町の裏手の公園なのです。
そこには、かつて飼っていたレッドテールキャット、
つまりナマズの飼育セットの道具の残りや、
孵化を期待してキープされているスズムシ飼育セットや、
植木鉢の余ったのや、無駄な花瓶が、
無秩序に置かれているのです。
土、エサ、といえば「怪しい」ものの代表です。
ここだな・・・ぼくは、夜中にその様子を見ておきました。
そして、朝になってから、我が家の新宿歌舞伎町巡査に、
そのことを報告してみました。
翌日、その場所は、更地になっていました。
我が家の巡査は、どの土のあたりになにがどうなっているか
なんていう捜査を一切省略して、
花瓶以外全て破棄処分するという明快な行動にでたらしい。
翌日から、あの黒ゴマに似た弱弱クロゴマムシこと、
「死番虫」とおぼしき昆虫は、我が家にいなくなりました。
どこにやつらの巣窟があったのかについては、
捜査の方法が原因追及のためでなく、
悪の根絶を第一義としたものであったために、
不明のままではありましたが、
これでよかったのだ、という市民としての安寧は、
これで戻ってきたのですから、
捜査方法についての批判は批判すべきでないと考えます。
以上、報告を終わります (darling)』

黒ゴマムシ

これがdarling宅の弱弱クロゴマムシだ!

ああ、これはほんとうにゴマだ! ゴマのように小さい。
ていうか、肉眼では細部までわからないほど小さくて、
ちょっと部屋が暗かったらゴマにしか見えない。
これが、たとえば食卓の器にたくさん入っていたら、
お赤飯にかけちゃいそうです。
「おいしいね」
なんて知らずに言っちゃいそう。ああ、想像したくない。
どうです、みなさんのお宅に発生したのとは
同じですか? たぶん、これは例の「死番虫」だと
思うのですが。

というわけで「愛されない虫の広場」第2回です。

前回、「お米につくコクゾウムシを退治するには、
米びつの中に形のままの赤とうがらしを数本いれて
おくのがよいそうです」という情報を掲載しましたが、
「待った!」がかかりました。

 


気になったので、お知らせします。
こめびつに、そのまんま唐辛子を入れっぱなしにすると、
唐辛子から虫がわきます。
レンジ台兼用のこめびつが、
米の虫と唐辛子の虫でいっぱいになり、
粗大ゴミに捨てたことがあります。
今は大きなタッパーを使い、こめびつ先生を入れています。
先生は殺虫剤ではなく、
虫の嫌う成分で追い払うしくみです。
虫の退路を断たないように、密閉してはいけません。
タッパーのふたも甘く閉めていますが、
逃げた虫がどこに行くのか気になります。
母は気持ち悪いと言います。
よく考えると私も気持ち悪いです。

相澤 賀寿子


ええっ? 唐辛子から虫がわく?!?!?!
あらー。
唐辛子って、正倉院の宝物を守ったといわれる
「丁子」(クローブ)じゃないけれど、
完ぺきな防虫剤の役割をするのかと思ってました。
わが家も、お米とか、開けちゃったそうめんの袋とかに
鷹の爪を放り込んでますが、だめなのかなあ。
虫はカラくないのか。ひょっとしてそいつらは、
カライのが好きな東南アジアな虫なのかも。
それにしても、先生っていい人なんですね。
殺さずに、逃がす。
なかなかできないことです。
それにしても逃げた虫たちはどこへ行ったのだろう。

続いてのメールも、唐辛子無力派のご意見です。

 


穀類の乾物は絶対冷蔵庫保存をお勧めします。
お米の中にトウガラシ、これははっきり言って利き目
ありません。わたしはダメでした。
一気に、保存していたカンの蓋がもちあがるほど
発生しました。
ここ最近の雨がもたらす微妙な湿度と暖かさ、
虫達はこれが大好きみたいです。
1匹なら恐くない小さな虫がリピートして現われるの、
いやです。恐いです。
低農薬だって言う事だよ、なんて思ってもどうしても
慰められません。トホホホ。

まだ寒い2月頃に母が花豆、黒豆、小豆をそれぞれ
田舎から送ってきたから、とビニール袋に入れて
我が家へもお裾分けしてくれまして、
それらを早く冷蔵庫に入れれば良かったものを、
根菜類のストックと一緒に常温で保存していたのが
敗因です。過去に輸入モノのパスタの乾麺、
穀物系の健康茶など気絶するくらい虫けらくんに
増殖されてしまった苦い経験から、同じ虫が一日に
3匹出たらどこかで絶対発生してる! 巣がある!
という勘が働き、でもちょっとこわくて捜したくなくて、
でもでもわたしは人の母なのだ、しっかりせい!
と勇気を奮い立たせて、その、送られてきたままの
箱に入っておる豆類をそ〜っとチェックして
みたわけです。スーパーのビニール袋に
それぞれのお豆が二重袋になっておりましたが
そーんなもん、へーきで破って、出てくる、出てくる、
いる、いる、いる、いるーっ!! って感じで、
おりましたの、小豆ぞうむし。山程。
自分で言うのもなんですが、それでも気丈に、
虫を処分してしまえば残りは食べられるはず、
と思い、水に漬け、ざるに流し、をくり返して
悪いところを取ってしまって、さあ、
さっさと白玉ぜんざいにしてしまおう、と
お豆をふやかしにかかりまして、しばらくして
半分ふやけたお豆を見て、また死ぬかというほど
思い知らされてしまいました。
濃い小豆色だった時には解らなかった、
今まさに成虫になって孵ろうとしている小豆ぞうむしたちが
半分ふやけた小豆の皮から、無数に透けてみえたのでした。

相田 静穂

 


コワイ。いや、きもちわるい。
小豆の中に、孵化寸前の虫がぎっしり!!
そ、それを割ったらどういうことになるんだろう。
考えないことにしよう。……ああ、だめだ。
くらくらしてきました。
『バグズ・ライフ』はかわいいのになあ。

で、お米につくコクゾウムシですが、やつらは日光が苦手
なので、天気のいい日に「虫干し」するのがいいみたい
ですよ。日に当てるとサササササッ、と逃げるらしい。
でも、当てすぎるとお米がボロボロになるからご注意。

というわけでまた次回!

1999-04-29-THU

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