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糸井 |
いまは、アスリートやアーティストの話を
しているんですが、
一般企業の人事面接も
このふたりでできそうな気がしますよ。 |
ふたり |
(笑)。 |
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糸井 |
一般企業も、シルク・ドゥ・ソレイユも、
見ている何かが同じだと思うんです。 |
イーヴ |
キャスティングで
もっとも大切な要素である
「どういうふうに行動を見るか」
ということは、
応用がきくことだと思います。 |
糸井 |
共通する何かが、
もし言葉にできるんだったら
ちょっとでも聞いてみたいです。 |
イーヴ |
それを言葉にするとしたら、
やはり、
倫理でしょう。 |
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糸井 |
ああ‥‥倫理。 |
イーヴ |
はい。
もちろんいいアーチストであるかどうを
判断しなければなりませんが、
この人が別の人といっしょに
パフォーマンスをして、
「スペースを共有するんだ」ということを
頭に入れながら、
私たちは見るようにします。
その意味において
人を選ぶということは同じだ、
というふうに言えるでしょう。 |
糸井 |
シルク・ドゥ・ソレイユで
どういうふうに仲間に入れるか、
というメソッドは、
普遍化できそうですね。 |
マルセ |
我々のキャスティングメソッドは
シルク・ドゥ・ソレイユ特有の
ものですから、なかなか‥‥。 |
糸井 |
いやいや、それはわかっているんですが、
「シルク・ドゥ・ソレイユの
キャスティングメソッド」
というタイトルの本が
もしあったら僕は絶対買うよ(笑)! |
一同 |
(笑) |
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マルセ |
ありがとうございます(笑)。
シルク・ドゥ・ソレイユは、やはり、
いろんな意味で外の世界との仕事です。
ですからやっぱり、
倫理面が大切になると思うんです。 |
糸井 |
人を短い時間で判断するのは
とても難しいと思うんですけども。 |
イーヴ |
そのとおり、難しいです。
ご家族をはじめ、まわりの人々の
反応にも気をくばらなくてはなりません。
アーチストになるという現実を
ご本人にもまわりの人々にも
しっかりとつかんでほしいんです。
1年間、160回も ショーをしなくてはいけないわけです。
自分でメイキャップもしなきゃいけないし、
トレーニングも、新しい技の開発も
しなくてはなりません。 |
マルセ |
やっぱり、いわゆる「スポーツ」とは
ちょっと違うんです。
ですから、シルク・ドゥ・ソレイユは、
いろんなところとの「関係」を
何年もかけて構築していきます。 |
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糸井 |
人を採るための「関係」を。 |
マルセ |
スポーツのいろんな連合、団体、
コーチ、アスリート、
そういった方々と
何年もかけて関係を築きます。
スポーツ界にいた方に
シルク・ドゥ・ソレイユに来ていただくときには、
特に周囲の意向が大切になってきます。
たとえばオリンピックに出場するような方は
その国とともにあるようなことですから。 |
糸井 |
それは、たいへん難しいことですね。 |
イーヴ |
シルク・ドゥ・ソレイユのことを
理解するためには、
サーカス自体の歴史というものを
考えないといけないんです。
それはなぜかというと、
シルク・ドゥ・ソレイユが
サーカス自体の歴史を
変えようとしているからです。 |
糸井 |
聞いててゾクゾクしますよ。 |
マルセ |
そのとおりですね。 |
イーヴ |
サーカスの世界を変えようとしている一方で、
サーカスの世界を尊重しています。 |
マルセ |
サーカスの源はいったい何だったのか、
古いサーカス、伝統的なサーカスを
頭に入れながら
新しいサーカス作りができると
私たちは思います。
これからもシルク・ドゥ・ソレイユは
大規模な変革を
進めていくことができるでしょう。 |
糸井 |
あ、もう時間ですね。
とてもおもしろかったです。
ありがとうございました。 |
イーヴ |
もっと続けましょうか、今晩、
食事でも(笑)。 |
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マルセ |
ぜひ。
(これで、シルク・ドゥ・ソレイユの
スカウトのおふたりのお話は
おしまいです。
次の連載をおたのしみに!)
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