COOK
調理場という戦場。
コート・ドールの斉須さんの仕事論。

第25回 感想だけで、泣けるなんて……。


みなさんこんにちは! 「ほぼ日」の木村です。
『調理場という戦場』のAmazon.co.jpでの
売りあげランキングを見ていたら、おととい第9位に!
その時の 『海馬』は第4位……ほんと、うれしいです。

本屋さんでの店頭発売が、近づいてきたせいか、
予約販売にも関わらず、勇んでくださってるんですね。
(Amazonさんは、送料無料だから、買いやすいみたい)

最近のメールでは、
次のようなフレッシュなものも届いているんですよ。
さっそく、紹介させていただきます!





・こんばんわ。
 私はまだ「調理場」を読んでいません!
 でもね、皆さんの感想を読んでいるだけでも
 すごくパワーをもらっています。

 私は、社会人2年目です。
 入社2年目のバイヤーとして
 いろんなことを任せてもらってるのですが、
 これがすごいプレッシャーなんです。
 毎日怒られて、精一杯仕事をやっても追いつかず、
 息のつく暇もないくらいの状態で、毎日毎日
 仕事をしてますが、上の人達は認めてくれません。

 「自分ではがんばっているのに・・・・」
 と自分をかわいそうに思うときがあります。
 だけど、ほぼ日に調理場の感想を書いてる人達って、
 自分と同じような環境にいても
 「がんばっていこう!」
 という気になっている感じがすごく伝わってくる。
 自分の仕事の構え方って、
 間違っているのかもしれません。
 「みんながんばっているんだ」
 と思うと涙が溢れてきました。
 ほんとうは、時々、
 「もっと楽な生き方を選べば良かった・・・・」
 と人と比較をしてしまいますが、
 いや、今は自分の与えられた環境で
 がんばっていけばいいんだと思い直しました。
 この気持ちを見失わないように、早く本を読みたいです。
 そしてこの本を私達の手に届くように
 動いてくださった方々に、感謝の気持ちです。
 ありがとうございます.   
 (ミッキー)






こんな感想をいただけるなんて、
予想もしていなかったですよ。
読んでいない人までもが、
みなさんから届く感想文を読んで涙してくださり、
「早く本を読みたいです。
 この本作ってくれてありがとうございます」
とおっしゃってくれるなんて!
ビックリしました。

でも、確かにこの数回でお届けしている
みなさんの感想文って、それぞれの仕事での
「仕事のやりはじめ」「過去にやってきたこと」
「今やっていること」「これからしたいこと」
をリアルにとらえた上で、
いちばん切実なことをおっしゃってくださるから、
読みものとして感動してくれている人がいても、
不思議なことでは、ないのかもしれません。
なんか、うれしく思ったです。

このメールをくださった
「ミッキー」さんが読んでくださった後の姿を
見てみたいぐらいですもの……期待してくださいね!
今日は、そうした「いつも何度でも読みたいメール」を、
一通ずつ、ひとつずつを長めにご紹介したいと思います。

これからご紹介するみなさんのメールの中には、
「この本は、斉須さんのすごさはもちろんですが
 これを手がけた人の愛情もたくさん詰まっているから、
 いいものができたのだと思う」
と言ってくださる方がいらっしゃいました。

実はほんとうにその通りで、
たとえば、かっこいい装丁を作ってくださり
ブックデザインもしてくださった
アートディレクターの葛西薫さんは、
この本が作りかけの時点、
クリップに挟んだ「紙の束」の状態で
熱心に、一気に読みきってくれたのです。
「ほんとうに感動しました!」
と、CMアートディレクションでお忙しい中なのに、
即、装丁の仕事に入ってくださいました。

原稿作成は、興奮と緊張のまっただなかでおこなわれた。
ブックデザインも、よろこびが具体化する過程だった。
そして、書店発売の前からの感想の嵐には、
読んでいる制作者側こそ、ヒントをいただいている……。
その循環を、とてもうれしく思います。

それでは、もしよろしかったら、
感想メールの数々をお読みくださいませ!







・ほぼ日の皆さま、斉須さん、ほぼにちわ。
 「調理場という戦場」読みました!
 じわ〜っと心にしみこんでくる本でした。
 時間を見つけて、何回も繰りかえし読んでいます。
 グラフィックデザインの会社に勤めて5年、
 勤務時間があって無いような毎日のなかで、
 自分の探っているものが、斉須さんの文章を通して
 少しずつはっきりと見えてきたような気がします。
 何故かダラダラ涙を流しながら読んでしまいました。
 自分の目指すデザインと、会社のトーン、
 クライアントの好みや真剣な想い・・・
 自分の思い描くようにはなかなかいかなくて、
 毎日が葛藤だったりもどかしさでいっぱいです。
 でも、それが「形」になった時の感動は
 何ものにも変えられなくて
 何よりお客様に喜んでもらえると、たまらなく幸せです。
 その嬉しさや充実感って、どんな仕事でも共通ですよね!
 だからキツくてもやめられない
 麻薬みたいなところがあるんですね(笑)
 いろいろややこしいコトは日常茶飯事だけれど、
 自分の気持ちの奥底では、斉須さんと同じく
 ただ「人に喜ばれたい」のが一番で。
 そのために、商品やクライアントの「通訳係」を
 どんな形であれ、どんどんやっていくってことが
 今の自分にまだまだまだまだ必要なことだなあ、と
 あらためて考えさせられました。
 「会社を辞めようか」なんて
 真剣に考えていたこの時期に
 この本に出会えたことは、すごくラッキーでした。
 人との出会いは、
 その人と出会う時期に出会うべくして生まれる、と
 信じているのですが、本との出会いもまさにそうだ!
 そう感じられたのは、この本が初めてです。

 これからもずっと、この本の内容を反芻して、
 ひとつ、自分の中で何かを達成できたら、
 ぜひ、ピッと背筋をのばして(笑)
 コート・ドールに行きたいです。
 その日を楽しみに、自分を楽しみに、
 ていねいに過ごしていきたいです。
 素敵な本に出会わせてくれた
 ほぼ日と斉須さんに感謝しています。
 ありがとうございました!
 (mis)



・ほぼにちわ。
 「海馬」と「調理場という戦場」と、
 両方とも読ませていただきました。
 遅ればせながら、感想を書かせていただきます。
 どちらの本も、読みながら、胸がドキドキしました。
 寝っころがっては読めなかったです。
 気がついたら起きあがって
 前のめりになって読んでいました。
 「知る」って「学ぶ」って、
 そういえば、こんなに面白かった。
 高校や大学で、年に何回か味わうことができた
 「とびきり面白い授業」を
 受けたときの気持ちが蘇りました。
 誰に強制されなくても、人は、真剣に話を聞いたり、
 うなずいたり、メモを取ったりして
 「学ぶ」生き物なんだって、それなら、
 私は、ずっとずっと、こうやってドキドキしながら
 いろんなことを学んでいける人生を歩いていきたい。
 そう思いました……そんなこと、
 あまりにも「まじめだね」って言われるから、
 人には言えなかったけど、
 私はそうやってここまでやってきたんだったな
って、
 改めて確認しました。
 そして、それは「まじめだ」とか
 「まじめじゃない」とかじゃなくて、
 私自身が、私自身の「脳」が欲していた、
 自然な欲求だったんだなと思って、
 なんだか勇気付けられました。
 私は、ずっとドキドキしていたい。それは
 「生きることに慣れてしまわない」
 ということと同じ意味だと
 気付かせてもらって、本当に嬉しかったです。
 青空の下で、思いっきり伸びをしたような、
 私はこれから、自由になんでもできるんだって
 胸を高鳴らせた夏休みの前のような、
 そんな気持ちになりました。
 「人に喜んでもらえることを、
  すごく嬉しいと思える人ならどこまでも行ける。
  どこまでも行ってほしい」
 ……調理場の斎須さんのこの言葉を読んだとき、
 泣きました。
 今の私には、仕事以外、何にもない。
 守ってくれるものも、守るべきものも、
 失いたくないものも、何にもない。

 ただ、あるのは、私の持っている力を
 必要としてくれるのなら、
 全力投球で仕事をしていきたいという気持ちだけ。
 仕事に関しては、死に物狂いにでも、
 毎日、きちんと積み重ねていけば、
 何かの成果は出るという、小さな自信だけ。
 私は、私の28年という人生の中で、
 積み重ねてきたもの、感じてきたもので、
 日々、勝負していくしかない。
 逆を言えば、わたしは、それ以外に、
 自分の人生を紡いでいく方法を知らない。
 それは、時に、自分の存在が無くなって欲しい、
 と願うほど、私を不安にさせることでもあります。
 でも、月に2回、1回が1時間という短い時間でも、
 私との療育の時間を楽しみにしてくれる
 子ども達が居てくれる。その子ども達のことを、
 ひとりひとりのことを、真剣に考える時間がある。
 私にも、まだ、何かできることがあるかもしれない。
 私には何にもないから、できることがあるかもしれない。
 いろんな矛盾や、迷いや、葛藤を抱えながらも、
 気がついたら、また走り出している。
 そんな毎日です。
 誰も、こんなこと言ってくれなかったです。
 ふたつの本が教えてくれたようなこと、
 本当に真剣に、届くように、分かるように、
 教えてくれたことなんてなかったかもしれません。
 みなさん、おっしゃってましたけれど、
 この本に会えてよかったです。
 (ひろこ)



・ほぼ日乗組員の皆さん、ほぼにちは。
 コートドールと海馬の感想メールを、
 毎回読ませてもらっています。
 連載の方も毎回読んでいたのですが、
 先行販売では買わなかったんですね。
 でも、皆さんの感想メールを読んでいると、
 海馬の方は「なんかおもしろそう」という印象。
 コートドールの方は
 「今までの自分を見直すのに、そして
  これからのことを考えるのに
  読んでおいた方がいい本かもしれない」
 と思えてきました.
 ちょうど、離れたところに住んでいるメル友が
 あることをきっかけに
 「今、34歳なんだけど、それでも
  模索中でもいいんだぁ〜って思った」
 というメールをくれたので、
 まだ自分が読んでもいないのに、
 コートドールを送ってあげたいと思いました。

 先日、交通事故にあって入院中なのですが、
 明日退院することになりました。
 明日か明後日か…なるべく早めに
 販売予約、入れたいと思います。
 (Za)



・本はもちろんすぐに読みました。
 「実際に経験している人、
  乗り越えた人の言葉は本当に強い」
 というのがまず第一。
 これはHPで、拝見しているときも
 感じたことなのですが、びしびしと
 言葉一つ一つからエネルギー、パワーを感じます。
 あと、今回本を読んで感じたのは
 斉須さんご自身が本当にやさしくて、
 温かい人だなあということでした。
 料理に対する思いやりはもちろん、
 人に対する深い思いやりの気持ちをとても感じました。
 これは本当にすごいことなのだけど、同時に、
 同じ人間なんだなあ、ということもしみじみ感じました。
 私自身、調理場で働いた経験もあり、
 時間に追われ仕事をする気分、酸欠状態の気持ちは
 本当にリアルに伝わってきました。
 私はそこで挫折したのですが…
 今、別の目標を持ち、がんばっているところです。
 "調理場という戦場"はそんな私にとって
 HPを拝見したときから、
 一種の出会いだったと思います。
 今の私に必要な言葉がたくさんあった。
 たくさんエネルギーをもらいました。
 これから、何か壁にあたるたび
 また何度も読むことになると思います。
 たくさんのエッセンスが詰まっている本なので
 その度に何かを教えられる、
 得ることができると思っています。
 いつまでも手元に置いておきたい本です。
 この本は、斉須さんのすごさはもちろんですが
 これを手がけた人の愛情もたくさん詰まっているから、
 いいものができたのだと思う。
 これからも、いい本をたくさん作ってください。

 楽しみにしています。
 そうそう、今日その目標のために
 試験を受けに行ってきます。
 コートドールにもいけたらと思ったのですが。
 それはもっとがんばったときのために
 とっておこうと思う。
 「お守り」に本も持っていきます。

 長くなってしまってごめんなさい。
 それではみなさん、お体に気をつけて。
 (ひろよ)



・ただ今、海馬を読み終えて、
 『調理場という戦場』を読み進んでいるところです。
 どなたが、感想メールに書いておられましたが、
 『海馬』の実践編という感じがしました。
 読後の感想として、よかった、
 おもしろかったという言葉を書いてしまうのですが、
 もっと奥の方で感じています。
 どう表現してよいか
 言葉がみつからずもどかしいのですが。
 それはそれで、この『何か』という感覚を
 まず、自分が味わいます。

 そして、日々のことに生かしていくのが一番ですよね。
 では。
 (のんち)

  


では、次回のこのコーナーで、お会いしましょう!

2002-07-05-FRI

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