COOK
調理場という戦場。
コート・ドールの斉須さんの仕事論。

第26回 大切な後輩に向けた、手紙のように。


こんにちは! 「ほぼ日」スタッフの木村です。
『調理場という戦場』が、最近、じわりじわりと、
先行発売ではない層にも、伝わりはじめているようです。
それが、ほんとうにうれしいのです。

「ほぼ日」の糸井重里は『調理場という戦場』について、
最近の「今日のダーリン」で、次のように述べていました。

「料理は、ねぇ・・・・あれは、手紙だね。
 便箋に一文字ずつ手書きでしたためた
 手紙ですよ、あれは。
 赤ピーマンのムースやら、梅干しと紫蘇のスープやら、
 小羊のローストやら・・・・ふ〜〜〜っ。
 斉須さんが、調理場で、
 客席に向かって一通ずつ手紙を書いて、
 読むよね、客席にいるぼくらも、真剣に」


斉須さんの料理も、この『調理場』という本も、
どちらも、大切な人への手紙のように制作しています。
ただ、みなさんからの感想を読んでいてわかったのは、
そういう作り方をしているのは、
こちらだけではない、ということなのです。

みなさんの読んでいる最中の姿にも、
そしてほぼ日への一通ずつのメールにも、まさに
「便箋に一文字ずつ」のような真剣さが通っているのです。
それがほんとうにうれしかったです。

駆け出しのかたが、何度も、
時にはおなじセリフをつぶやきながら、読んでくださる。
また、現役であり、なおかつ指導をする立場にいる人が、
大切な後輩や、自分の会社のスタッフに、
この『調理場という戦場』を手渡ししてくださる……。

今日は、そんな気持ちがあふれているメールを、
たくさん、紹介してまいりますね。
じっくり読んでくださり、
ほんとうに、どうもありがとうございます!







・こんにちは。
 「調理場という戦場」読ませていただきました。
 ほぼ日でこのコーナー発見してから
 とても気になっていて、思わず2冊購入しました。
 1冊は、自分で読むため。
 もう1冊は、プレゼントしたい人がいたもので。
 私は、某広告代理店でクリエーターの新人研修を
 企画・運営する仕事をしております。
 かつてはコピーライターを13年ほどやっていました。
 毎年毎年、広告クリエーターとしての
 野心を持ち、希望と不安を胸に
 やってくる若者たちと出会い、
 私自身もいい刺激を受けています。

 私が、初めて受け持った年の
 (新任の先生が初担任受け持ったみたいな気持ちでした)
 新入社員の子が、今年、
 TCCの最高新人賞をとりました。
 そして、彼に、斉須さんの本をお祝いに贈りました。

 斉須さんの言葉には、
 「料理」を「広告」にいれかえれば
 ほとんど、そのまま広告クリエーターの話にも
 見えるようなところが、いくつもありました。
 料理という分野に人生賭けてる人がいる。
 広告という分野に人生賭けている人もいる。
 それは、本質的にはとても近いような気がします。
 生み出すものは違っても
 生むための苦しみや楽しさは同じです。
 料理人のことを、クリエーターと
 斉須さん自身も何度もおっしゃっていました。
 だからこそ、
 広告をつくることに一生懸命になりすぎて
 ときどきつらくなる・・と言っていた
 彼に、贈りたかったのです。

 糸井さんが帯に書いていらしたとおり
 この本は、どんな職業のひとにも通じるものがあり
 いろんな職業のひとを励ます力を持っていると思います。
 かっこいいシェフからの言葉は、
 彼がへこんだとき、迷ったとき
 きっと励まし続けてくれると信じています。
 素敵な本をありがとうございました。
 (YOU)



・はじめまして。
 20年前、代官山の美容室に勤めていた私は
 ダーリンの奥様の樋口様のシャンプーを
 担当させていただいたことがあります。
 私のシャンプー&マッサージを、
 お世辞かもしれませんが
 「上手ねえ」と誉めていただきました。
 これには感動でした。
 二年間ひたすらシャンプーばかりで
 情けない気持ちになっていた時に
 凄くタイムリーな樋口様のお言葉に
 勇気のような自信を与えていただいたのです。
 小樽出身の田舎者には素人に誉めてもらうより
 女優様に誉めていただくのは100万倍の効果でした。
 当時この職場はゴタついていてすぐ退店したのですが
 『お客様の満足と感動を提供していければ
 流行るお店は作れるなあ』と技術、技術と
 追いかけていた私の思考の転換点でした。
 美容師も斎須さんの職業と共通点も多く
 『調理場という戦場』は
 わかるなあという場面が多かったです。
 12年前に独立し、いまは美容室六店舗と
 美容薬剤(パーマ液など)メーカーを営んでおります。
 社員に『調理場』を配って
 ミーティングに使用させていただこう
 と考えております。

 これからも素敵な本のリリースを楽しみにしております。
 ・・・『脳みそ』の本も、勉強になりました。
 (や)



・ほぼ日の皆さま、斉須さま
 「調理場という戦場」を昨日読み終えました。
 他のほぼ日読者の皆さんより遅くなってしましましたが、
 斉須さんのひとことひとことを、噛みしめて読みました。
 連載当初から自分の魂にすごく反響するものがあって、
 単行本化を待ち望んでいました。
 電車の中で「はしがき」を読んだら
 涙が出てしまったので、一度閉じて、
 深呼吸してから再び読みはじめました。

 流し読みだけはしたくなかったので、
 同じ文を繰りかえし読み進めました。
 自分の今の仕事に対するスタンスと照らし合わせて、
 「ダメだ、もっとやらなくちゃ」とか
 「このやりかたでも大丈夫だ」とか
 斉須さんの人生を振り返りながら
 自分の人生を見ることができました。
 仕事の悩みが大きすぎて、恋愛とか、
 将来設計とか、何も思い浮かびません。
 でも今は、それでいいんだと思います。
 悔いのないよう、すべてを注ぎ込んでやるつもりです。
 斉須さん、ありがとうございました。
 お体に気をつけておいしい料理を
 作り続けてください。
 僕は大阪に住んでいますが、
 きっといつかコート・ドールに食べに行きます。
 (あきら)



・『調理場という戦場』とても、よかったです。
 斎須さんが、決して生まれついての器用な人ではなくて、
 だからこそ、斎須さんはいつも、何かを学んでて・・・。
 たとえ反発しても「そんな人間は認めないよ」とは思わず
 その哲学をみつけ、よい所は受容できる。
 「前に進みたいなら、自分の足で歩く以外に方法はない」
 斎須さんが実践してきたことは、
 誰もが避けたいきつい事で・・・。
 でも、それをやり遂げた斎須さんだからこその言葉は
 とても大きかったですし、重みがありました。
 「海馬」と全く違うけど、全く同じだと思いました
 (↑日本語になってないけど、そう感じたのです)。
 斎須さんが人間臭くて・・・
 生きてるってのが伝わってきたんです。
 何も諭してないし、何も教えてないのに、
 読んでいて、たくさん諭されたし、たくさん学んだ。
 人の人生って、すごい。
 できちゃうし、やれちゃうんだ。

 「海馬」と似てるって思ったところは、
 ベクトルの向きです。
 だって、頑張りすぎた天才の基本的な思考がよくわかる。
 いま、満腹な感じです。
 斉須さん、飾らないそのままの言葉で、
 少しでも読者に伝わるようにと、
 その気持ちが一文一文から、伝わってきました。
 わたしは「コート・ドール」のお料理を
 食べたいと思いました。
 かしこまったお店はコチコチになるので、
 苦手だけど、ちょっとおしゃれをして、
 清潔にして行きたいと思いました。
 それは「食べる人の事を一番に考るべきだ」
 という斎須さんの思いに触れたからです。
 足に静脈瘤があるとのこと、
 いつでもバトンを渡す準備があるとのこと・・・。
 ちょっと心配だけど、どうか健康でいてくださいね。
 ステキな本を本当にありがとうございました。
 (tomo)



・こんにちは!
 すご〜く勇気づけられました!
 斉須さんの本を読んで、胸がぐわっ〜と熱くなり
 池谷さんの本を読んで励まされました。
 2冊続けて読むと、効果が倍増っす!
 私は寝る前にと読み始めたのですが
 止まらず、その夜は興奮して眠れませんでした。

 (なんか逆効果?)
 2冊とも「私に活力注入」という感じの
 ものすごい本ですね。
 2歳半の娘がしょっちゅう物をあちこち
 置き忘れては「ないっ!(涙)」と
 私に向かって怒っても
 「そういえば、池谷さんの本に書いてあったっけ」
 と広い心で見ていられます。
 「最近、忘れっぽくなって」とブルーになった夫にも
 「それはねっ」と励ませます。
 ありがとうっっ!
 対話形式の本だと面白いんだけど
 要点をぱっと掴みにくかったりしますよね。
 章ごとに要点がまとめてあって
 本の章立てからも
 読者に「分かって欲しい」「活用してね」
 というのがひしっと伝わってきました。
 本当にありがとうっ!
 (しおちゃん)



・「調理場という戦場」を読んで。
 こんにちは、いつも楽しいhpをありがとうございます。
 そして、この素敵な本も作ってくださって・・・。
 この本、なぜかなんでもないところで
 涙がぽろぽろ出てしまう。
 言葉と言葉のあいだに挟まれたちいさな隙間が、
 わたしの心の中の琴線に触れるからなのでしょうか。

 わたしが昔躍起になって頑張ったこと、
 頑張っても報われなかったことや、あきらめたこと、
 そんな言葉や形に表しにくいささやかな気持ちを、
 まっすぐな言葉で本にしてくださったというか。
 今も30を越えたのに、形になるような仕事や足跡が、
 なにも残らなかったこと、
 中途半端であきらめやすい性格を叱責するのでなく、
 諭してくださったというか。
 そのときどきでこの本を読んだ時にきっと、
 いろんな気持ちになるんだろうなと思いました。
 だから、ときどきは思い出して
 読み返したい本になりました。
 ありがとうございました、素敵な本を作ってくださった
 「ほぽ日刊」のメンバーさん、そして斉須さん。
 (真由美)



・はじめまして。
 「調理場という戦場」読みました。
 斎須さんが最後のほうで、若い人のメールで
 「何をしたらいいのかわからない」
 という事に鉄槌を食らったとおっしゃってましたね。
 僕も「最近の若者」なので
 そういう気持ちを、半分くらい持ってます。
 でも、本当に鉄槌を食らったのは僕のほうです。
 「若い人であっても、意識のブヨブヨした
  いやらしいところを持っている人がいますから、
  それを見かけ場合には、
  ぼくは徹底的にやっつけますね。
  年齢が若いから、とか、経験が少ないから、
  ということで情けを持つ気はないのです」
 意識のブヨブヨしたいやらしいところをもってる人。
 きっと、それ、僕の事です。
 そして、それは、他人から本当に
 徹底的にやっつけられないと、
 そう簡単には直らないような気もしてます。
 殴られて目が醒めるような思いに駆られました。
 でも、それと同時に、そういう部分を育ててたのも
 自分なのだと思います。気を抜けばいつでも、
 殴られる前の自分に戻ってしまう気がします。
 だから、僕はせめて、まずは、
 それを自覚しながら生きていこうと思います。
 僕自身、つきたい職業があるのですが
 (人を楽しませる仕事です)、
 その仕事はまだ、歴史も浅いので
 周りの流れや色々なものに、簡単に流されてしまいます。
 だから、好きな所は好きなのだけれど、
 好きでない部分もとっても多かったのです。
 また、弱い自分がそこの
 悪い方の雰囲気に馴染んでしまって、
 (弱いから、そういう方に馴染みやすい)
 何も見えなくなる自分も、とても怖かったのです。
 それでちょっと躊躇してました。
 でも、この本を読んで少し安心しました。
 人をもてなすって事の肝は、たぶん、どの職業にも
 共通してる事なのかなって思えてきました。

 肝なんて言葉を使ってしまいましたが、
 本当はまだ何もわかってないんだと思います。
 でも、ただ、こっちに進んでもいいのだなって、
 やっと、うすぼんやりとだけど、
 分かってきたような気がします。
 口先ばかりの「もてなす」という言葉に辟易していて、
 どうしたらいいのか分からなくなっていました。
 そんな時にこの本に出会えたのは、
 ほんとうに良かったです。
 ほんとに目からウロコを落しながら読んでました。
 そして、料理人という職種を
 こんなにも羨ましいと、思った事はないです。
 (何年も調理場の中で生きてきた斎須さんには、
  自分と同じモノを見ても、
  どんな見え方がしているのか想像も付きません。
  他人とは、見え方が違うのは当然でも、
  それが圧倒的だと、僕には思えます)
 きっと、この本に書いてある事は、
 今の自分には分ってない事もたくさんありそうです。
 そして、気軽には読めません。
 でも、ゆっくりと時間をかけて、読みたいと思います。
 ありがとうございました。
 僕も、いつかコートドールに行ってみたいと思います。
 (でも、僕はせっかちなので、
  タイミングが合ったら、行ってしまいそうです。
  歳不相応と思われるかもしれません。
  生意気かもしれません。
  でも、斎須さんの手紙のような料理を
  一度身体で感じてみたいのです)
 それでは、失礼します。
 (なおき)

  


では、次回のこのコーナーで、お会いしましょう!

2002-07-15-MON

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