うちうちのものを出す。
2009-04-20
いつものように『ダーリンコラム』を
書きはじめたのですが、
どうにも頭も手も思うように動いてくれない。
うまく書けないというだけでなく、
やわらかくも書けない。
いっそ、今週はお休みにしようかと思った。
もともとの『ダーリンコラム』というやつは、
月曜日に掲載するのが原則だったけれど、
けっこう休んでいたのだった。
ただ、お休みです、というのもしゃくだなぁ。
前に書いたものだとか、書きかけたものだとか、
おもしろそうなものがあったら、
それを貼り付けて、お茶を濁そう。
と思って、あれこれ探したのだけれど、
たまたま最初に見てしまったのが、
社内の内部資料というか、
乗組員たちの確認のためのテキストだった。
外に出すには、ちょっと恥ずかしい。
「こうありたい」ということが書いてある。
その「こうありたい」ようなことが、
ぼくらはちゃんとできているか、といえば、
けっこうできているとも言えるし、
できていないということもあるんだと思う。
というか、読む人の気持ちしだいでは、
「口ばっかし」に思われてしまうかもしれない。
それは、うれしくないものなぁ。
だから、内部だけのテキストだったし、
ぼくらの仕事を続けていくための「方法」でもあった。
外に見せないという前提で、あったものだ。
でも、注意深く読み直してみたのだけれど、
これ、外に出してもいいかもしれない、と思った。
外で会っているともだちを、家に呼ぶようなものだし、
誤解されるようなこともあるかもしれないけれど、
ぼくらがやっていること、考えていることが、
他所の、まだ会っていない友人たちにとっての、
なにかのヒントになるかもしれない。
そんなことを、はじめて思った。
そういうわけで、3年くらい前に書かれて、
定例のミーティングのときに配られ、
話し合われたテキストを、ここに貼り付けます。
タイトルは、「ほぼ日」の約束三原則。
お口に合えば、お食べください。
「ほぼ日」の約束三原則
1.できるだけ約束をする。
約束というのは、サービスなりモノなりの「価値」を、
相手にプレゼントすることです。
「約束」とは、価値交換の遅延とも言えるのです。
出合ったら、交換をしましょう。
サービスでも、気持ちでも、モノでも、なんでもいい。
価値を交換しあうから、出合いがうれしいのです。
いつでも、なにか
そのときなりの約束をしましょう。
そうすると、たがいに出合ってよかったと
思えることでしょう。
約束があると、この次に会うこともたのしみになります。
「あの人は、いつもいいものをくれる人。
そして、いつもうれしそうになにかを受け取ってくれる人」
2.できる約束だけをして、守る。
約束を守るということは、価値を偽らないということです。
価値を偽らないということが
くりかえされて、信用になります。
自分を大きく見せるために、
あるいはなにか目的があって、あるいは気が弱いせいで、
できない約束をしてしまうことを、人間はよくします。
できない約束をする人よりも、
できる約束をして、それをかならず守ってくれる人は、
だれからも信じられます。
「あの人は、かならず実行してくれる」
3.約束が守れなかったら全力で謝る。
約束を守れなかったときには、
謝ること、償うことに全力を尽くします。
他のことは考えずに、それだけを一心にやります。
悪い例なら、いくらでもありますが、
そういう場合の、
よい例というのは、隠れていて見えにくいものです。
つまり見返りも見えないのが、謝罪だと言えましょう。
ついでに言うと、相手に謝らせるようなことがあった場合、
こちらにも大きな責任があります。
「がんばってください」
(付録)
なにか頼まれたことを、
引き受けるか断るかの基準は、
「その同じことが、
こちらからぜひやりたいと頼めることか」を、
1日置いて、考えるようにする。
(もうひとつ付録)
約束というかたちで原則が語られる前に、
こういうものがありました。
東京糸井重里事務所の守ること
1.お客さまが利益を得られるように、
我々も利益を得よう。
(顧客満足は、前提なのである)
2.我々だけが知っていることがある。
これを憶えておこう。
(基本的にビジネスは、売り手の先攻なのである)
3.わかっていること以上のことを、
言わないようにしよう。
(背伸びした仕事は、運転できないクルマと同じだ)
4.知らずにうそをついている場合があるので、
気をつけよう。
(形式や、常識、先例は、うその宝庫である)
5.問題は、対立的にでなく、協同的に、解決しよう。
(どっちがどう得するとか損するとかではないはず)
『ダーリンコラム』を休もうとして、
かえってめんどくさいことをやっちまった。
来週は、なんか新しくくだらないことを書きます。