| ＜そうこうしているうちに時間はどんどん過ぎていく＞
そうなんだよ、自分よ。
そうなんだよ、おまえよ。
そうなんだよ、あなたがたよ。
そうこうしているうちに
時間はどんどん過ぎていくんだよ。
あわてろということじゃないんだ、もちろん。
走ってばかりいろということでもないよ、もちろん。
休むなら休めばいいし、遊ぶなら遊べばいい。
いつまでも心配ごとについての表をつくったり、
煮え切らない人たちと何度も会ったり、
最高の考えが出てきそうだと、
空っぽの頭を逆さに振ったりしている間にも、
今日は昨日になり、昨日は一昨日になるってことだ。
ウスバカゲロウなら、一日で一生を終えるという。
朝に求愛の鳴き声をたてていたセミは、
翌日に地面に落ちているかもしれない。
だからといって、死に急げということじゃないんだ。
そうこうしているうちに
時間はどんどん過ぎていくってことなんだ。
それだけなんだ。
足りなくなった時間を、買い戻すことはできない。
「時は金なり」、なんかじゃないんだ。
「時は金より」、貴重なんだ。
そうなんだよ、自分よ。
そうなんだよ、おまえよ。
そうなんだよ、あなたがたよ。
まだ時間がたっぷりある若いときには、
さんざん悪ふざけしたり、ぼーっとしたり、
いっぱい時間のむだ遣いをしておけばいいと思う。
そういう経験は、なんどもできやしないから。
でも、増えないんだよ、時間は。
利息もつかないんだよ、時間は。
減っていくばかりの時間を、
自分のために、ともだちのために、家族のために、
おいしいものを分け合って食べるときのように、
味わって使いたいと思うんだ。
阿片窟でうつろな目をして、
偽りの幸福感に浸っているほうが、
ましかもしれないというくらいくだらない時間だって、
ぼくもあなたも経験していることだろう。
監獄にはいることは、食事も運動もできるのに
なぜ罰になるのかと言えば、
それはその受刑者の時間が奪い取られるからだ。
そうこうしているうちに
時間はどんどん過ぎていく。
こんなこと書いているうちにも過ぎていく。
でも、これは自分と、それを読んでくれる人に
あげると決めた時間だから、ケチなことは言わない。
あ、読んでる時間をくれたこと、ありがとう。
そうこうしているうちに
時間はどんどん過ぎていくんだよ。
そうなんだよ、自分よ。
そうなんだよ、おまえよ。
そうなんだよ、あなたがたよ。
|
