感心力がビジネスを変える!
が、
感心して探求する感心なページ。

第3回 
ネットは作り手を正直に伝えるんですねぇ。

前回までのあらすじ:
はじめてサイバーコンセントに出会った日から、
およそ一ヶ月後、わたくしは、
西本69乗組員と
壊れたビデオデッキ「れんたろう」を乗せ、
ミスターコンセント西葛西店へ向かっていました。
ミスターコンセントとは、
サイバーコンセントの親分にあたる
家電修理サービスを行うリアル店鋪で
全国に70店鋪のチェーン展開をしています。

今回登場する人達
サイバー
コンセント
事業部部長
鈴木優


趣味が
犬との会話と
散歩という
事業部長。
タンデム
ワープ社
代表取締役社長
斧田正彦


サイバー
コンセントの
プランニングに
関わる。
タンデム
ワープ社
ウェブデザイナー
中村元


サイバー
コンセントの
ウェブデ
ザインに関わる。
感心力の男
田中宏和


今回は
写真の頭が
切れてしまった
感心力の男。

田中 それにしてもこの辺、団地多いなぁ。
69 中古車とか中古本とか、
その手の店も目立ちますねぇ。


都心から便利なベッドタウンという立地は、
いかにも修理のニーズがたっぷりありそうです。
商圏命みたいな商売だもんなぁ、
と、ぶつぶつ考えながら、
よそ見運転を充分しながら目的地へ車を走らせました。

毎日出血大サービスみたいなド派手な外装です。
ありました。
ミスターコンセント西葛西店!
入ってみると予想以上に狭い店内。
受付カウンターのすぐ後ろには、
赤いチョッキの修理エンジニアの方々が
もくもくと電気製品をいじってます。



「お待たせしました。ビートニックな鈴木です。」
わっ、取材依頼のメールを覚えてくれてる!
「お会いしたかったです。田中宏和と申します。」

お相手は、サイバーコンセント事業部長の鈴木さんに、
サイトの制作・運営のタンデムワープ社の
社長斧田さんに、担当の中村さん。
鈴木さんの片手には、「ドクターペッパー」。
「時々飲みたくなるんですよねぇ、これ。」と、
意を激しく同じくしたわたくしも「ドクターペッパー」。
やはり趣味が合います。
ついでにホットケーキも時々無性に食べたくなりますが、
やはり3口ぐらいで満足してしまうので、
「ドクターペッパー」ジャンルに分類しています。

田中 サイバーコンセントは
いつから立ち上げられたのですか?
鈴木 去年の11月1日からですね。
田中 とにかく最初にページを拝見して
いたく感心しました。
レイアウトであるとか、
ナビゲーションのされ方とか、
リンクの貼られ方とか。
ほんとによく出来てるなあと感心したのが
はじまりだったんです。
まずは、サイトのユーザビリティに驚いたんです。
中村 うれしいですねえ。
田中 で、単に機能的だけじゃなくて、
おもしろいんですよね、読んでいて。
鈴木 はい。「読ませる」っていう部分、
これをすごく大事にしたんですよ。
なにより「売る」ページではなく、
「伝える」ページにしたかったんです。
特に「修理する文化」を伝えたかった。
だから、修理エンジニアを
トップページの真ん中に据えたんです。
田中 その一つ一つのタイトルの付けられ方とかですねえ、
実に工夫されていて、
修理エンジニアの方々が60人も
紹介されているんですけど、
そもそもこのサイトを制作されるのに
かなり時間がかかったんじゃないですか?
鈴木 ええ。長かったねえ。
中村 めちゃくちゃかかりましたね。
斧田 おととしの春くらいに打ち合わせ始めて。
田中 ってことは、1年以上ですねえ。
3人で何度も
打ち合わせされたんでしょうねぇ(笑)。
全体の作りで、いろいろ意識されたと思いますが。
中村 製作上はですねえ、
画面の横幅をうまくおさめるように、
作り直したんです。
田中 あ、一回作ってみたら幅が広がってしまった?
中村 そう、710ピクセルで作ったら
鈴木さんが「こんなんだめだよ」って駄目出しで。
田中 あはははは。それ、ありがちですよねぇ。
中村 ほとんど出来てたんですけど、
全部さかのぼって作り直しました。
それが一番苦労したことですかね(笑)。
あと字の大きさは考えました。
やっぱり、
あの、ちっちゃい字を使いたくなっちゃうんですけど、
ターゲットが
40代以上の男性っていうことだったんで。
ま、要するに鈴木さんと斧田が
ターゲットということで。
田中 ええ、ええ。その二人を通らないことにはねえ。
中村 それからタイトルや見出しの付け方とかも
なるべく女性的にならないように言われましたね。
田中 あー、厳しそうだ。
中村 ここらへんの「修理受付」っていう
ごく普通の言葉なんですけど、
この言葉が決まるまでに二転三転したんですよ。
鈴木 そうですね、言葉ひとつに時間をかけました。
田中 あ、他にどんな候補があったんですか?
中村 何でした? 最初。「見積り受付」とか。
あ、違う、「見積書」というのもあったっけ。
斧田 もっと分かりにくいのもあったよ。
忘れるもんだね。
一同
中村 「物を売る」っていうのと
ちょっと違うじゃないですか。
「サービスを売る」わけなんですけど、
あんまり一般的に知られてるサービスとは
言いがたいところがあるんで、
それをパッと見て何をするところなのか、
分からせるっていうリクエストが強くて、
鈴木さんにはいまだに不満があるんじゃないかなと
思うんですけど(笑)。
田中 さっき「男っぽく」っておっしゃったのが
非常に気になってですね、
ターゲットが40代のまさに自分達だって
おっしゃったんですけど。
鈴木 ええ。
田中 運営されてる皆さんが
実に楽しそうな雰囲気っていうのが
すごく伝わってくるなって思いまして。
特にインターネットのサイトとかビジネスとか
見てると、
やってる人の楽しさが
自然と受け手に伝わりますよね。
ページににじんでくるところがあるじゃないですか。
鈴木 出ますよね、ええ。
で、なんちゅうの、
「販売してます」っていうだけの
ページっていうのは、
ほとんどそれがにじまないでしょ?
田中 ええ。にじまないですよね。
鈴木 にじまないから全然おもしろくない。
その販売から入る切り口は
いっさい取らないと決めたんです。
さっきも言ったように、
「読ませる」とか「文化」とかを常に心がけたんです。
中村 人が見える?
鈴木 そう「人を見せないと」っていう部分で
一番気をつかいました。
それが今言った楽しさ。
あ、これが一番最初のコンセプトだったね。
ホームページ作る最初に
「人が見えるホームページにする」っていうのが。
田中 その人が見える。
しかも、男子校的な良さっていうのを感じたんですよ。
こうページを見渡しても、
女性が全くいないところもそうかもしれないし(笑)。
『科学と学習』にときめくような感じ
というのがですね、
ここにすごくよく表現されているなというかですねえ。
理科魂みたいなのがあるじゃないですか。
男が小さい頃に必然的に持つような。
鈴木 ええ。
田中 で、大体みんな理科できなくて挫折して
理系じゃなくて文系とか文学の方とか
行ったりするんですけど、
その何か理科心というのが
非常に詰まってるなあと思ったんです。
鈴木 ああ。理科の成績、みんな悪かったよな(笑)。

<ワンポイント考察>

実際に送り手の方々に会ってみて、
想像以上の感心力が動きはじめました。
インターネットって、
送り手である個人の「思い入れ」とか
「思いこみ」とか「思いやり」とかを
正直に伝えてしまう媒体なんだと思いましたです。
制作と表現がつながっている媒体だから、
ですかねえ。
「修理する文化」を伝えるために、
ひとりひとりの「個」が輝いているビジネスサイト。
そこには、
「売る」よりは「伝える」の姿勢が根本にありました。
コミュニケーションの結果として、
果たしてセールスのほうはどうなのか?
話題はサイバーコンセントのビジネスに
移っていきます。

田中宏和さんへの激励や感想などは、
メールの題名に「田中宏和さんへ」と入れて、
postman@1101.comに送ってください。

2003-02-26-WED

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