佐藤 |
日常の中でも、
会社の中でね、
書類一つとったって、
そういう会社の中で回ってる書類をね、
何かもうちょっと無駄なく
便利にできないだろうか、とか
考えられますよね。 |
田中 |
それは、もう立派に
「デザインをすること」ですものね。
そうやって、自分でもデザインで
なにかを変えていけるんだと思えると、
希望がわきますね。 |
佐藤 |
うん、そうそうそうそう。
それは誰だってできるじゃないですか。
「システムをちょっと考えてやろうかな」なんて、
そんなもの考えて提案したらね、
それが使いやすかったらね、
もう、会社の中で偉い人になります。
問題を解決してくれるやつになりますよ。
で、そんなことの積み重ねで、
自分の周りの環境って
良くなってっちゃうって気がしますよね。 |
田中 |
デザインは、
なにかと環境改善の万能薬ですね。 |
佐藤 |
だから、仕事以外にも、
たとえば事務所のドアの開け閉めが
うるせぇと思ったらね、
「うるせぇ!静かに閉めろ!」って
言うんじゃなくて、
だれが閉めてもうるさくならないように、
あのドアをするためには
どうしたらいいんだろうか、
って考えるっていうね(笑)。
それはもうプロダクトや音のデザインですよね。
だからもう、山ほど身の周りに、
デザインで解決するチャンスって、あるように思う。
たとえば仕事場の照明だって、よく考えてみたら、
「この照明でいいのかな?」ってことになりますよ。
照明のことなんか考えてる人って、
あんまりいないじゃないですか、職場で。
「俺が考えてやろう」って思えば、
「蛍光灯の色を変えていいですか?」って、
会社に言ったっていいわけだし。 |
田中 |
主婦にも役立ちますよね。
家の、ちょっと模様替えっていうのも、
デザインですものね(笑)。 |
佐藤 |
そう、なんかこう、文句言うっていうことは、
そこにチャンスがあるっていうことですよね。
不満に思ってるわけだから。
「なぜ?どうして?」っていう、
「なんでこうなの?」っていう、
不満でもあるわけですよね。
もっといい方法があるだろう、とか、
そこには何か解決する方法があるかもしれない、と。
そんなところから考えると、
すべての人が、
そうやってクリエーターであるべきだと
思いません? |
田中 |
うん、そう思いますね。
問題解決業っていうふうにすると、
今までの職業分類的な人の並びと違う、
新しい人の並びが見えてきますよね。
営業マンもお医者さんもデザイナーも同じで、
そこで問われるのは、
やっぱりクリエイティビティですもんね。 |
佐藤 |
そうそう、政治家だってそうですよね。
アイデアを出すって限りは。
昔、お役所仕事っていう言い方が
あったじゃないですか。
同じことを、
考えもしないで繰り返すっていう意味で。
でも、そういう現場においてもね、
もっと速くしてやろう、
もっと無駄なくしてやる方法ないだろうかな、
って考えたら、それはクリエイティブだよね(笑)。
同じことをもっと無駄なく速く、
もっと楽をしようと考えたら、
それにはアイデアが必要でね。
考えれば出てくるじゃないですか。
だって、楽をしてやろうっていうのも、
ひとつのチャンスだもんね。
だから、お役所仕事を徹底的にやったら、
それはもう、ほんとにクリエイティブですよね。
そうやって考えてくとね、
もう全てのことが、
面白いんじゃないの。 |
田中 |
佐藤さんを一日市長にする自治体が
出てほしいですね(笑)。
でも、あまりお役所仕事を速くすると、
仕事が無くなる人が出てきそうですけど。
そういう、気持ちの持ち方や働き方の見方で、
自分の仕事の質が変わりますもんね。 |