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ほぼ日 |
この「すごろく」なんですけど、
面白いですね〜。
雑誌の付録ですか? |
小山 |
男の子は「学生」って雑誌があって、
女の子は「少女世界」っていう雑誌が
あったんです。 |
ほぼ日 |
つまり、今でいうと、
学研やベネッセ的な? |
小山 |
そういう感じの、お正月号です。 |
ほぼ日 |
つまり、全国的に流通する雑誌の
お正月号の付録に、
東京での学生生活をすごろくにしたものが
ついてたわけですね。
これ、ええと、女の子からいきましょうか。
ゴールはなんなんですか? |
小山 |
ゴールは卒業なんですよ、女の子は。 |
ほぼ日 |
あ、卒業か。そうか。 |
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小山 |
右下から見るとふりだし。
新入学で、どうやら先生に
部屋に連れて行かれる。 |
ほぼ日 |
あ、寄宿舎に入るんだ。 |
小山 |
そうなんですよ。 |
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ほぼ日 |
で、ええと、左に回るの?
上に行くの? |
小山 |
サイコロを振るわけですね。
で、なんの目が出ると
どこに進め、と指示が出るんです。 |
ほぼ日 |
そっか、時間軸じゃないんですね。
どんなコマがあるのかな。
「帰省」。これ、柳行李に
荷物を入れて、パラソルなんか持っちゃって。 |
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小山 |
ハイカラになって帰ってくるんですよ。
やっぱこれはすごいことだったと
思うんですよね。パラソルですよ。 |
ほぼ日 |
都会であかぬけて、ね。
びっくりしちゃいますよね。
隣の家の幼なじみの太助君とかが、
「おめえ、オキヌちゃんか?」とか言って
赤くなっちゃったりして。
「オキヌちゃん、変わったな、モジモジ」
とかいって。 |
小山 |
あはははは。 |
ほぼ日 |
あ、すみません、勝手にドラマが。
隣が「運動会」ですね。
都会の女学校の運動会。
憧れだった運動会。
その上が‥‥。 |
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小山 |
「同級会」。
寄宿舎で、同じ学年の子が集まって
茶話会をしてるんでしょうね。 |
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ほぼ日 |
仲良くしましょうねって。
そして、ああ、やっと勉強してる。 |
小山 |
「自修」ですね。
ようやくお勉強が入りましたね(笑)。 |
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ほぼ日 |
ほんと(笑)。
この子たち、
学生生活を謳歌してますよね。
ピアノを弾いてるのは‥‥ |
小山 |
「学芸会」。 |
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ほぼ日 |
遊んでばっかですね(笑)。
その上は? 着物着て舞ってますよ。 |
小山 |
「記念会」それから「遠足」「雪の日」。 |
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ほぼ日 |
「雪の日」ってコマがあるんですか!
ははーん、このコマの意味は、
こんな雪の日でも
女学生はオシャレだってことですね。
この外套がオシャレなんですよ。
この女学生のコート。
チェックのコートを着て行くわけ、
手袋をして。
これは田舎じゃありえない! |
小山 |
(笑)。
女学生のチェックの外套は
実物を展示していますよ。 |
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ほぼ日 |
さぞかしかわいらしかったんでしょうね。
それから「當番」。
あ、またやっと勉強が。
でも「試験前」なのに、
芝生の上で、おほほほ、なんて(笑)。
で、「卒業式」と。
‥‥やっぱり勉強してませんね。 |
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小山 |
実際はちゃんと厳しく躾けられ、
お勉強していたんでしょうけどね。
このすごろくでは
誇張されてるんでしょうね。 |
ほぼ日 |
ここに描かれているのは、
夢の学生生活って感じですね。 |
小山 |
そうなんですよ。すごろくって、
ふろくとしては、やっぱり、
ひじょうに人気のもので。 |
ほぼ日 |
いま見ると、美術的にも面白いですね。
かたや、男子学生にいきましょうか。
これは「学生」って雑誌、
男の子向けの雑誌ですかね。
これねぇ‥‥女学生と大違い。
なんというか、むさくるしい(笑)。
この違いはなんなんだ。 |
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小山 |
(笑)ほんと、比べるとすごいですよね |
ほぼ日 |
スタートは入学試験ですね。
次が「勉強家」だ。
女学生とちがって勉強させられてるなあ。
女学生は「おほほ」なんて、
芝生で自習してるのにね、
この人はね‥‥。 |
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小山 |
頭抱えてうなってますね(笑)。 |
ほぼ日 |
「茶話会」もあるんだけれど、
お茶を飲んでるというより、
むしろ議論してますよね。 |
小山 |
言論を闘わしてますね。 |
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ほぼ日 |
体育もきつい。
「ボートレース」。 |
小山 |
ボートレース。隅田川で、
けっこうされてたんですよ。 |
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ほぼ日 |
ちょっと六大学っぽいですよね。 |
小山 |
そうですねー。 |
ほぼ日 |
体育会系の匂いがしますね。
「夏休」もね、あの‥‥。 |
小山 |
ひとりで山登ったりして。 |
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ほぼ日 |
ひとりで山登ったりしてる、
やっぱりね、マッチョですよね。
それから、こっちはなんだろう? |
小山 |
次は、「野球」です。
これは、相手が「S」って書いてあるから、
早稲田大学と交流試合をしていた
憧れのシカゴ大学かな?
っていう感じがするんですね。 |
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ほぼ日 |
シカゴ大学と、交流試合を!
絵はがきにもありましたもんね。
その横がおかしくってね‥‥。 |
小山 |
「アイドルボーイ」。 |
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ほぼ日 |
アイドルボーイってなんですか? |
小山 |
idleは、本来の意味で
「怠けてぶらぶら遊んでいる」
っていうことですね。
目的見失ってますね。 |
ほぼ日 |
草むらで、ビールと缶詰で、
すごい世を拗ねた顔でね‥‥。 |
小山 |
これ、おもしろいのは、
すごろくの作りがヘンで、
入学試験で2が出ちゃうと、
もう即刻アイドルボーイなんですよ(笑)。 |
ほぼ日 |
あはははは! ダメだ! |
小山 |
もう、だから、いきなりダメな人に。 |
ほぼ日 |
いったんアイドルボーイになると、
2が出ると「不合格」で、
4が出ると「放校」退学ですね。
5が出ると「負傷」、
6が出ると「お気の毒様」なんですよ。
お気の毒様って!
道が閉ざされちゃいますよ!
彼の将来はどうなる! |
小山 |
唯一「負傷」からは
立ち直りの道がありますね。
でもまあ、厳しいすごろくですね(笑) |
ほぼ日 |
ははははは。
つまり男の子は、1度踏み外すと、
どこまでも落ちますよ、と、
そういう教訓ですか。
あと、「お正月」っても、
こいつら、帰省しないんですよ。
だって寮の玄関、
下駄とクツがひっくり返ってね、
ぐっちゃぐちゃ(笑)。 |
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小山 |
お正月も帰りたくないくらい
学生生活が楽しかったんでしょうねえ。 |
ほぼ日 |
お正月で3が出るとね、
「餅でもやり給へ」って(笑)。
これ、作った人、センスいい!
すごい面白いです。
次は「柔術」。
先生に、なんか、教わってるんだけど、
火鉢囲んでね、柔道じゃないことを
生徒に教え込んでますね。 |
小山 |
なんですかねぇ。 |
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ほぼ日 |
でも、隣の先生は厳しい先生。
「學年試験」。
その隣は「雄辯会」だって。
口から泡飛ばしちゃって。 |
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ほぼ日 |
あのう「修学旅行」のところにある
「ペケペケ」って何でしょう?
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小山 |
いやー、ペケペケ(笑)。
それはわたしにもわからないんですが
ルール解説には
「不進不退現状を維持する定め」
となってますね。 |
ほぼ日 |
ううむ、これはユーモアですかね。
ゲームのつくりが面白い‥‥
「放校」は、罰ゲームですね。
「三偏廻つてお辞儀」「犬の真似」
「鼻を摘んで舌を出す」「鼠の泣聲」
なんかをさせられる。 |
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小山 |
あー、っていうことは、
もうここにいくと、
すごろく、終わりですね。 |
ほぼ日 |
放校は、ゲームオーバーですね。
で、「撃剣」。
武術の授業、剣道ですね。
そして次は「負傷」。
ゴール間際の辛いこと(笑)。
「卒業試験」も、氷のうぶら下げて
がんばってますよ。
そうとうタイヘンなんだ。
あ、とうとう、「神経衰弱」に。
ノイローゼになっちゃった!
勉強しすぎ! |
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小山 |
そしてやっと「優等」を取って、
「高等学校」がゴールですね。 |
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ほぼ日 |
高等学校って、いまの大学の
教養課程ですよね。
いやぁ、これ、バンカラだ。
高等学校入ったとたん、
無精髭ですよ。
これはこれで憧れたんでしょうね。
すごく自由な香りがしますからね。
この頃って、男子高と女子高は
別々だったわけですよね。
こりゃあ、同じには、できないよなあ‥‥。
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