「美しき日本 ― 大正昭和の旅」展
江戸博学芸員新田さんと小山さんのさらにくわしい解説
↑これが大阪万博、↓これは愛・地球博。
↑これは大阪万博、↓これは愛・地球博です。
この間、35年の年月が流れたんですね。
いまや飛行機での移動が珍しくなくなり、
国内に海外に、遊びに出かけることは
当たり前になりました。
買い物をするのか、スポーツをするのか、
自然に親しむのかという、
旅先での行動が旅行の関心事となりました。
昭和から平成の旅は、旅することを目的とした旅から、
それぞれのライフスタイルにあわせた旅行へと
移り変わっていったのですね。
さて、今回の展覧会は、
いまの日本人に楽しまれている、
旅や観光というものの考え方のルーツをたどってみて、
それを見つけてみようというものでした。
それは、博物館という、
昔のモノゴトをとっておく場所から、
現在へ何かアイディアやメッセージが発信できないかと
つねづね考えていたからです。
そうすると大正から昭和の初期という時期が、
浮かび上がってきて、
この時期に生きた人びとの努力やアイディアが、
現在につながっていることが、わかってきました。
また、このころの人たちは、
文学や詩歌、絵画などの教養をとおして、
風景の「美しさ」をかみしめるという楽しみ方をし、
それが、「日本八景」の選定運動や
川瀬巴水などの版画の風景に
現わされていったことが、見えてきました。
個々のライフスタイルに応じた旅行が、
近年、増加してきていますが、
それに、大正から昭和の人びとが感じていたような、
それぞれの風景に固有の「美しさ」をみつける旅行を
加わえてみれば、
旅の楽しみが広がるだろうし、
自然環境の保護にも、つながるのではと思います。
博物館でとりあげる「昔」が、
そんなことを言ってしまいそうになるほど、
面白いことを、ぜひ知ってほしいと思います。
「美しき日本−大正昭和の旅」展は、
本日で終了となりますが、
江戸東京博物館では、
江戸から現代までの400年を通覧できる
常設展示室もあります。
こちらのほうも、ぜひぜひご覧になってください。
江戸東京博物館 新田太郎・小山周子
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