エナガのねぐら。  カワイイ小鳥の観察記 フロム富士山麓
 
今週のエナガ  1号巣にやってきたヘルパーは…  観察日 2012年4月26日 − 5月2日
 

27日のこと。
先週メスだけで抱卵していた1号巣を見に行くと、
2羽のエナガがピーピーと小さく鳴きながら飛んで来て、
そのうちの1羽が、蛾類の幼虫を何匹かくわえたまま、
巣のあるモミの中へと入って行きました。

▲1号巣にやってきたヘルパー。

はやくもヘルパーがあらわれたんですね。
よかった!

あれ、でも、餌をもって巣に入るってことは、
卵が孵化したのかな?どうかな?
うーん?と思いながら観察を続けていると、
なんと、巣の周辺に、エナガが3羽も
いることに、気づきました。
出現したヘルパーは、ペアだったようです。
(なんと豪華な布陣じゃ)

1号巣のヘルパー出現と時期を同じくして、
そこから210メートル離れたところで営巣していた
7号巣のペアがいなくなっているので、
7号巣ペアが1号巣のヘルパーになったのだろうと、
私は、推測しています。

7号巣ペアは、
はじめに2号巣を作り、
それを引っ越して6号巣、
さらに引っ越して7号巣と、
都合3個目の巣作りに挑戦していたのですが、
最後には繁殖をあきらめてしまったようです。
少々残念ではありますが、
でも仲間と力を合わせて子育てをするのは、
彼らなりに、理にかなった方法なのかもしれません。

このあとは毎日、
定期的に巣に餌を運んでいるところを
確認しておりますので、
5月2日現在までは、
順調に育っているようです。
このまま行くと、5月10日前後に巣立つと思います。
雛が何羽いるか、巣立ってみるまではわかりませんが、
たっくさん育っていると嬉しいですね。

さて今週は、あらたに8号巣を発見しました。

▲桜の奥、一等高いモミの中腹に8号巣。

発見は28日早朝で、
つづく29日夕方までの2日間、
猛烈な勢いで巣作りをしていました。

懸命な様子が可愛らしいので、
何枚も貼りましょう!

▲パタパタしながらコケをむしる!

▲むしりすぎ!(でもこのまま飛んでった)

▲協力してマユほぐし。

と、もうほんとうにすごい勢いで、
朝から晩までずっと働いておりましたが、
30日にはパッタリと姿が見えなくなりました。
ふうむ。もう中止してしまったのでしょうか。
また後日、見に行ってみようと思います。

さらに話は変わり、
隈笹の薮に造巣した5号巣の近況。

こちらも無事に孵化までこぎつけたようで、
両親の餌運びを確認いたしました。

やっほー、がんばれー!

▲親が持って来たのは、蛾のようですね。

あまりの可愛さに
「ああ俺もエナガになりたい」
と思う時もありますが、
彼らの食べ物を見たときには、
「いや、やっぱり、人間がいいです」
と考えなおす私です。

 

その7 群れの争い

先週twitterで「エナガのねぐら」を検索してみて、
「エナガでご飯三杯ところか、ビール五杯いけますね」
と書かれてらっしゃる酒豪さんを見つけました。

というわけで、エナガ酒豪のみなさん、こんにちは。
今日は、エナガの群れ同士の争いについて、お話します。

昨年12月11日、いつものように早朝から
エナガの群れ(J12)について歩いているときのこと。

Jグループは12羽とただでさえ大所帯なのに、
急に人数が増えて周囲に20羽くらいいるように感じて、
「ん?へ?あれ?」などとあたりを見回していると、
突如ピピッッ!などと鳴きながら、
盛大な追いかけあいが始まりました。
何組ものエナガたちが、互いを追いかけたり、
となりで追いかけあってる組に乱入したり、
単に枝に止まってピーピーと声をあげていたり、
と、まさに上を下への大騒ぎです。

はじめての体験ながら、
中村先生の著書で読んだ知識があったため、
「エナガの群れ同士の喧嘩騒ぎだな」とピンときました。

よおし撮影してやろう、と思ったのですが、
あまりにも高速で追いかけあっているので、
まったく撮影できません。
かろうじてエナガの形がわかる写真が、
1枚だけ、撮れました。

▲くっ。ピンボケ。残念!

取っ組み合いをしている2羽のエナガが、
ピンボケながらも、かろうじて写っています。

ぐるぐる追いかけたり、
向き合った状態で羽ばたきながら、
地面までスルスルーっと落ちたりするのですが、
その、地面まで落ちている瞬間の写真です。

冬のエナガの群れは、
テリトリーが隣接する他の群れと出会った時に、
こうしたとっくみあいの喧嘩をすることで、
群れの境界=テリトリーを形作るようです。

はじめて眼にするエナガの争いは、
ふだん仲良く暮らしているエナガからは、
まったく想像できないくらいの激しさでした。
見ているこっちがドキドキするくらいの。

騒動はほんの1分ほどで収まり、
あっというまに両群とも消え去りました。
あとには、静まりかえった冬の森に、
胸を高鳴らせたオッサンが、
ひとり佇むばかりなり。

年が明けて1月30日の早朝、
今度はE6とL10の争いに遭遇しました。
この時の私はピピッッの声にコンマ5秒で反応して、
なんとか2羽の衝突の瞬間を捕らえました。
その写真がこちらです。

▲右下の2羽に注目。

拡大してみましょう。

▲ゴフゥッ!

ああ…なんか…エナガさん、
スッゴイ蹴ってますね。
(おもわず「さん」付け)

争いの瞬間でさえ、
どことなくおかしみがあるエナガたち。
ああ…かわいい。

それでは皆さん、また来週〜!

 

2012-05-08-TUE
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