YAMADA
おとなの小論文教室。
感じる・考える・伝わる!

ふしぎな都市論 ―― おとなの小論文教室放課後

今日は、いつものレッスンはお休みして、
ちょっと雑談しようと思います。

文章は、書き手の想い、
つまり、「根本思想」に大きく影響されます。
で、都市にも「根本思想」があるとしたら?

以下は、そんな
ふしぎな都市論です。
友人のこんな話から、お聞きください。


僕はアメリカ横断してうんざりした目にあいました。

アメリカはサンフランシスコからシカゴまで
車借りてドライブしたんですけど、
「無意味に広い」の一言ですね。
(三日で飽きちゃうから
横断なんてことはやめたほうがいいですよ。)
歴史もないし、
都市をちょっと離れれば物もないし、なんにもない。

なんにもないとこにいろんな種まいて
ボワっとでてきたのがアメリカ。
広いという意味では中国なども広いですけど、
だだっぴろさ+歴史の無さ+メディアの発展度が
各所に微妙な鬱屈さをあらわす原因になっていますねえ。
殺し合うような問題は起きにくいですけど、
全体的に暗くて病んでますよ、やっぱ。

その点、日本、特に東京は面白いですねぇ。
フクザツさ、というか
多様性というか・・・の深みが全然違いますね。
最近思うのですけど、

街にも人間の意識と同じように
表層意識な部分と潜在意識な部分がある
と思うのです。

東京はこの潜在意識な部分が、
非常に広くて深いような気がしますね。
もしくは上と下とのバランスが取れているというか。

だいたいみんな上に見えてる氷山の一角ばっかり見て、
その上で生活してると思っているけど、

実は潜在意識な世界にも
どっかで片足つっこんでるんですよ。
そんで、上の部分に見えてくる
文化とか経済とかに大きな影響力を持っている。
でもほとんどchaosなのでuncontrollableです。




ズーニー返信

都市にも潜在意識がある。
そう考えると色々腑に落ちます。

片田舎に生まれた私は、
過疎の町にいることが、たまらなく苦痛で寂しかったです。
潜在意識が寂しいのかな。
若い人はいつか出ていこうとし、
住んでいるひとも都会の方を向いていて、
いま、ここに、人の意識がない町って。

巨大リゾート施設が倒産したりするのも、
もとは、まったくなーんにもない。なんもないとこに、
あれだけのものを建てちゃってるんだものね。
表面と潜在意識が見合わないというか。

反対に、ほっておいても、人が自然に集まって、
人の流れができる場所って潜在意識が深いのかも。
確かに、片田舎から東京にでてくると、すごくバランスが整う。
特に成城はいい。

都市の潜在意識はどこにあるんだろう?
人の心の中? 土?


友人Fからの返信

基本的には街は人の集まったところですから、
人が少なくって人の意識が無い街っていうのは
意識も潜在意識も大仰では無いですよね。

無いわけじゃなくて、例えば
backgroundに土着の文化や信仰みたいのがあって、
どんなに小さな街であっても
それが街の色となって出てきてると思うんですよ。

日本の街っていうのは往々にして歴史が長いですからね、
こういったbackgroundが
例え絶滅寸前で、か細いものであっても、
長い歴史を持って
ずっと街を支えてきたものなのだから、
薄っぺらいものではないと思うんですよ。

非常に深い潜在意識なのだけれど、
幅が無いんですよ、たぶん。
良く言えば純粋。

外からみるとそれがまたいいんですけど、
住んでる人は退屈でしょうねえ。。。
アメリカの片田舎なんかは浅くて狭いから、
外から見てもかなり退屈。

> 巨大リゾート施設が倒産したりするのも、
> もとは、まったくなーんにもない。なんもないとこに、
> あれだけのものを建てちゃってるんだものね。
> 表面と潜在意識が見合わないというか。
> 反対に、ほっておいても、人が自然に集まって、
> 人の流れができる場所って潜在意識が深いのかも。

東京も元は江戸幕府がぽこんとできたわけで、
巨大リゾートと似てなくもないんですけど、
結局一番効果的なのは金と権力みたいなものなんでしょうね。
最初に人が集まってきて定着するには
どうしてもこれらの要素が必要です。
それから文化やらなにやら
いろいろ集まったり生まれたりしてきて・・・って感じ。

で、もう一点重要なのが、適度なゆるゆる感。

ちゃんと勤労してる人以外の
あまり現実的でない連中を許容するだけの
法的・経済的・精神的ゆるゆるさが重要です。

でもあんまりゆるゆるすぎて
表層意識が侵略される事態になると、
また良くない事になりそうです。

そのへんのバランスがいいんですよ、きっと。

東京の場合このゆるゆるさは
無関心からきてると思うんですよね。

無関心はよろしくないなんて最近よく言われますが、
無関心ゆえに誰でも適当に
居場所をみつけられるんじゃないすかね。

> 確かに、田舎から東京にでてくると、
> すごくバランスが整う。
> 特に成城はいい。

僕は車で四六時中うろうろしてるんで感じるんですけど、
1km移動すると雰囲気が変わるんですよ。
これはきっと歴史のなせる技だと思うんですよね。
江戸や明治のころからひきついだ土地々々の差異が
今風にアレンジされてるんですよね、たぶん。

時間的のみならず
空間的な多様性もフクザツさに色をそえてるんですねえ。
ズーニーさんは成城がいいっていうけれど、
僕はもしかしたら成城じゃなくて
浅草がいいと思うかもしれない。
そんな感じであの狭い中に
どんな人でもどこか気に入る場所がありそうなぐらい
バリエーションがあるのは凄いですね。

> 都市の潜在意識はどこにあるんだろう?
> 人の心の中? 土?

都市は人のつくるものですからねえ。。
人と人の創ったものすべてじゃないでしょうか。
どのへんまでを表層と見て
どっから先を潜在意識として見るかは、
人それぞれの想いに
ゆだねられるところだと思いますが。。。



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ふたたびズーニーです。
今日はこんなふしぎなまま、おしまいにします。
あなたもちょっと、この雑談に交じりませんか?

2001-10-10-WED

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