Lesson1006
「楽しい」をレッスンしてこなかった自分へ
2021-06-09
なんの制約も目的もなく、ただ純粋に、
「自分が楽しいことをやれ!」
と言われて、
いざやろうとして、
「えっと、楽しいってどうすることだっけ?」
「そもそも私、何が楽しいんだっけ?」
と、とまどっている私のような人は
いないだろうか。
思えば、「楽しい」を目指してひた走る、
って、いままでやってこなかったなあ。
まずは、この読者のおたよりを見てみよう!
………………………………
<書く楽しみ、見失っていないか?>
少し前にTwitterをはじめました。
それまでは人のツイートを読むだけだったのですが、
自分でもやってみると想像以上に面白く、
日常のちょっとしたことや読んだ本の感想など、
色々書きこんでいます。
そのうちいいねやリツイートがつき、
読んでもらえる手ごたえがあって、
より小まめに書き込むようになりました。
ただ徐々にちょっと変だなとも思うようになりました。
どのくらい読んでもらえるのか、
いいねが付くかが気になりすぎ
一喜一憂するようになり、
だんだん自分が
Twitterに振り回されている気がするのです。
まず「書きたいことを書く楽しみ」が
あったはずなのに、
「読んでもらえる楽しみ」に引きずられて、
そこを見失っているのではないか?
“何を一番大事にしたいのか”を自分で考え、
より自由に動くために、
依って立つ枠組みとして、
Twitterの良い習慣を作っていけたらと思います。
(たまふろ)
………………………………
うー、わかるぅー!
生まれて初めてTwitterにつぶやいたときの、
あのまるで世界に向けて言葉を発したような
ドキドキ感。
言いたいことが言えたー! という
スーッとした気持ちよさ。
夢中でやってると楽しいのに、
人の反応に囚われだすと苦痛になる。
「楽しい」、は偉大だ。
「楽しい」、ただそれだけをめざして運動してみたら、
私は日課の運動が、
もう6週間、毎日欠かさず続くようになった。
週2日休んでいいルールなのに、
1日たりとて休む気が起きない。
だって、楽しい、からだ。
しかし、いきなり楽しめるようになったわけではない。
きっかけは、
私の表現クラスの「生徒さん」が、
ヨガの先生に言われたという一言だ。
「気持ちが良いなと
感じられるように調整して行うこと。」
私の運動観を、くつがえす一言だった。
痛いくらいでないと効いてない、
苦しいほどに効果があがる、
ずっとそんな考えでやってきた私だった。
気持ちいいを目指していいんだ!
そこをとっかかりに、
自分が「楽しい」「気持ちいい」と感じるように
運動を調整していったんだけど、
「そもそも楽しい、ってどうすることだっけ?」
昔、母がこんなことを言っていた。
母はその頃、
父の在宅介護をひとりでやっていて
ほとほと疲れてしまっていた。
で、家族や周りの人が協力して、
たった1日だけ、
母が外出できるようにしてくれたのだ。
県北の町から、電車で岡山市まで出て行って、
母は、ひとりで、念願だった「ランチ」を食べた。
その時の母の気持ちは、
「こんなことをしていていいんだろうか。」
罪悪感、
もうしわけないような気持ち、
えたいのしれない不安、恐怖感。
ちっとも楽しくなかったという。
ふだん「楽しい」をレッスンしてこなかった人が、
いざ「楽しい」をやろうとしたら、
恐怖すら感じてしまうこともある。
あのときわからなかった母の想いが、
いまは、よくわかる。
私も、楽しいを目指してみたら、
「ほんとに楽しんでいいのか‥‥」
えたいのしれない不安に襲われた。
考えたら、
夢中でやっている時間は除いて、
(そのときは無自覚にきっと楽しめている)
私が意図して何かやるときは、
運動にしても、映画1本みるにしても、
「自分を伸ばそう」「自分を磨こう」
「ひいては仕事に役立てよう」というような、
(そう思うのはとてもいいことだけど)
効果・効能を焦ってきたな、私。
純粋に「楽しい」を求めてみたら、
ものすごくとまどってんだな、私。
すぐには楽しくならない。けど、諦めない。
自分にとっての「楽しい」「気持ちいい」に
アンテナを張り、
まるでラジオのチューニングを合わせるように、
微細な試行錯誤をコツコツ続けていった。
まず、音楽。
長い間自分が聴き込んで、
カラダに染み透った大好きな音楽をかけて
運動したら、気持ちよーくカラダが反応した。
そして、動作。
いろいろやってみるうちに、
わーい! わーい! と子どものように
楽しめる動作が、いくつかつかめてきた。
これをやると、心のおやつのように楽しい!
カッコイイポーズがあると、気持ちいーい!
そうして長い試行錯誤のすえに、
最近やっと、楽しい! がカラダの感覚として
つかめてきた。
さらに、運動で目覚めた
「楽しいを希求する本能」みたいなものが、
確実に、生活に革命を起こしているのを感じる。
日常の他のことにも、仕事にも、
一見辛そうなことにさえ、
「楽しい」を見つけるアンテナがピピピッ!と
反応するようになった。
「楽しいを求めていい」
楽しいをレッスンしてこなかった自分へ、
まずはそう言い聞かせ、
チューニングし続けることが大切、と私は思う。
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編集・ライター養成講座20周年記念講座
山田ズーニー専門クラス
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『おかんの昼ごはん』について話しました!
録音版をぜひお聞きください。
●「ラジオ版学問ノススメ」(2012年12月30日〜)
インターネット環境があれば、だれでもどこからでも
無料で聴けます。
聴取サイトは、http://www.jfn.co.jp/susume/
(MP3ダウンロードのボタンをクリックしてください)
または、iTunesからのダウンロードとなります。
ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!
▲『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。
『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!
『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
――山田ズーニー。
▲『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。
『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!
▲文庫版でました!
あなたの表現がここからはじまる!
『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)
ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/
おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。
「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!
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『話すチカラをつくる本』
三笠書房
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いちからわかるやさしい入門書。
『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
ちくま文庫
自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!
『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社
『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社
『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書
内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)
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